所定内賃金と基準内賃金の違いをご教示ください
大変恐縮ですが、表題の件、数冊の人事賃金関連書籍や相談部門に問い合わせしてもしっくりした回答が帰ってまいりません。ぜひ明確な違いをご教示いただきたくお願いいたします。
投稿日:2006/01/13 09:54 ID:QA-0003318
- *****さん
- 大阪府/ゲーム・アミューズメント・スポーツ施設(企業規模 1001~3000人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 佐藤 貴則
- 株式会社エスティワークス 代表取締役 特定社会保険労務士
定義について
法律で定められているわけでは無い以上、私自身はオフィシャルな言語定義は無いと認識していますが、あえて言うならば、所定内外の賃金性差が影響を及ぼす残業代の計算基礎になるかどうかという点だと思います。
まず単純に支給総額-所定外賃金=所定内賃金と定義します。
所定外賃金とはいうまでもなく「残業代などの変動費」です。
つまり毎月固定的に支給しているもの全てを含めたものが「所定内賃金」と考えられます。
それに対し、労働基準法(則21条)によって定められた
■家族手当
■通勤手当
■別居手当
■子女教育手当
■住宅手当
■臨時に支払われた賃金
■1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
所定内賃金からこれらの計算基礎対象外となっている賃金を除く「割増賃金計算基礎に関する基準」内のものが「基準内賃金」として定義できるかと思います。
いずれにしても、法で定められた基準内についてはこれを遵守する必要がありますが、所定内外の規定については、就業規則等で明確に規定しておく必要があります。
特に注意していただきたいのは住宅手当で、一律支給してしまうと割増賃金の計算基礎となってしまう場合がありますので実態に即した基準に分けて支給するようにしてください。
あくまでも私見ですがご参考になれば幸いです。
投稿日:2006/01/13 10:43 ID:QA-0003320
相談者より
投稿日:2006/01/13 10:43 ID:QA-0031350大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
所定内賃金と基準内賃金の違いについて
所定内賃金については、労働基準法に則って各社の就業規則で定められた所定労働時間を勤務した場合に支給される賃金を指すものであり、統一された用語であるといえます。
これに対して、基準内賃金とは従来より慣用的に使われてきた用語であり、所定内賃金と同義語として使われる場合もあれば、各社の定める基準によって異なる場合もあります。
後者の場合には、一般的に賞与(またはまれですが退職金の場合もあります)の算定基礎額としての基本給及び一部の諸手当を含む場合が多いかと思います。
投稿日:2006/01/13 14:06 ID:QA-0003322
相談者より
投稿日:2006/01/13 14:06 ID:QA-0031351大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
所定内賃金と基準内賃金の違い
「所定内賃金」「基準内賃金」のいずれも労基法等では一切使用されていません。
■「所定の」というのは「予め決められた・・・」という意味ですから、「所定労働時間」のように労基法で「予め決められた時間」がある場合や「所定の様式」のように「予め準備されている様式」がある場合以外は、使用すること自体が的確性を欠くことになります。
■「基準(内)」も基準自体が不在なら、内、外を区分しようがありません。その意味で、エスティワークス様が、労基法の「割増賃金の算定基礎」を基準と定義されているのは、意義のあることだと思います。
■「問い合わせしてもしっくりした回答が帰ってこない」理由はご理解頂けたでしょうか。弊職は、特別の場合以外は「所定内賃金」は使わないことにしています。
■「割増賃金の算定基礎」にしても、企業ごとにインセンテイブ賃金の導入などで支給項目の入れ替わりも激しく、労規則21の限定列挙項目だけでは対処しにくい環境にあります。基準内賃金も企業ごとに、労基法の趣旨に則り定義していかなくてはならないでしょう。
投稿日:2006/01/13 14:08 ID:QA-0003323
相談者より
投稿日:2006/01/13 14:08 ID:QA-0031352大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
所定内賃金と基準内賃金の違い(2)
以下を参考にしてみてください。日本の賃金決定にあたって権威ある人事労務用語辞典6版(日経連、現在は日本経団連)に掲載されている所定内賃金の箇所からの引用です(原文のまま)。
所定内賃金〔英語訳;scheduled wages〕
「所定労働時間内の労働に対して支払われる賃金。正確には所定労働時間内賃金で、基準内賃金より定義も明確で、賃金比較などの際に疑義が生じにくい。労働基準法の割増賃金の算定基礎になる「通常の労働時間または労働日の賃金」には家族手当、通勤手当、別居手当などが含まれず、所定内賃金とは異なるので注意が必要」
投稿日:2006/01/13 18:06 ID:QA-0003326
相談者より
投稿日:2006/01/13 18:06 ID:QA-0031353大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
基準内賃金について(追加)
先ほどの辞典に、基準内賃金については以下のように記述されています。
基準内賃金
「賃金のうち、基本的部分と考えられているものをいう。産業・企業によって、その内容は多少異なるが、一般的には、平常勤務に対して支払われる基本給、能力給、奨励給、生活補助給などの合計が基準内賃金で、それに対し、平常勤務以外の労働に対して支払われる時間外手当、宿日直手当、呼出手当、特殊業務手当などを基準外賃金とするところが多い。所定時間内賃金と同義に使われる場合もある。」
投稿日:2006/01/13 18:20 ID:QA-0003327
相談者より
投稿日:2006/01/13 18:20 ID:QA-0031354大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
所定内賃金について(追加)
何回かに分けての回答で申し訳ありません。
所定内賃金(給与)についての定義は明確であり、厚生労働省賃金構造基本統計調査(賃金センサス)・日本経団連賃金総覧・東京都中小企業の賃金事情など信頼ある賃金資料にもその旨、表記されています。(内容によっては一部通勤手当のみ除外するなどはあります)
所定内賃金は、単に定義付けの問題だけではなく、賃金水準分析、賞与、退職金、モデル賃金化を図ったうえでの賃金設計に至るまでさまざまな面で大変大きな意味合いをもっています。
例えば賞与について、「平均支給実績○ヵ月」などという言い方もされていますが、会社独自に設定した算定基礎額からの月数の場合もあり、所定内賃金比(月数)と読み替えたうえで他社と比較しないと意味がありません。(とある会社では、基本給の一部について、名前を変えたうえで基準外に移したなどという話も聞くところです。)
退職金支給月数についても同様です。
以上について、賃金の基礎理論編としてとりまとめた拙著「仕事の基本がよくわかる新しい給与体系と実務」〔同文舘〕にも記述しておりますので、もしよろしければ参考にしてみてください。
投稿日:2006/01/14 10:51 ID:QA-0003331
相談者より
投稿日:2006/01/14 10:51 ID:QA-0031356大変参考になった
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