退職金制度改定時の不利益変更について
現在経理部門で勤務しており、人事の専門家の方に相談させて頂きます。
現在当社では退職金制度改定を予定しており、経営への影響を確認する為退職給付債務の計算を行いました。結果、現行制度に比べ少なくてすむ結果となったのですが、労組の方より不利益変更ではないかと指摘を受けております。
大幅な減額となるわけではないのですが、不利益変更にあたるのかどうか苦慮しております。
不利益変更の判断に退職給付債務の結果はどの程度影響するのでしょうか。
不利益変更の判断基準についてもご教示いただけますでしょか。
宜しくお願い致します。
投稿日:2010/03/16 19:55 ID:QA-0019750
- *****さん
- 東京都/情報処理・ソフトウェア(企業規模 1001~3000人)
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退職給付債務につきましては、ご周知の通り一定期間にわたり労働を提供したこと等の事由に基づいて、退職以後に従業員に支給される給付のうち認識時点までに発生していると認められるものを指しています。つまり、それ自体は会計上の概念に過ぎませんので、制度変更に至る会社の経営事情を説明する上では役立つでしょうが、直接不利益変更問題の判断材料にはならないものといえます。
勿論、退職金制度自体を何らかの形で変更した結果、ある年齢で退職した際に従前の制度よりも実際に支給される退職金額が減るのであれば、そうした制度変更自体が労働条件の不利益変更に当たるものといえます。
このような労働条件の不利益変更につきましては、労働契約法第9条に定められている通り、原則として労働者との合意を得ることが必要とされています。
仮に労働者の合意が得られない場合におきまして、退職金制度見直し等就業規則の変更による不利益変更が認められるか否かについての判断基準につきましては、労働契約法第10条で以下のように示されています。
「変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。」
いずれにしましても、退職金制度は重要な労働条件の一つですので、変更がやむを得ない経営状況であっても労使間で真摯に協議された上で改定を進められるべきです。
投稿日:2010/03/16 23:46 ID:QA-0019754
相談者より
投稿日:2010/03/16 23:46 ID:QA-0037717大変参考になった
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