高年齢雇用継続給付金について
当社はほとんどが出向社員で、今回プロパー社員が初めて定年を迎え、引き続き再雇用契約を結びました。
当社の再雇用者の給与は、給与月額分と給与から算出した年2回の賞与額を12等分した額を加算し報酬月額として支給されています。
高年齢雇用継続給付金は賞与は含めないとなっていますが、給付金請求の際は報酬月額から賞与の加算分を除いて申請すれば良いよいのでしょうか。
賞与の月割り分を含めると高年齢雇用継続給付金は支給要件を満たしません。支給要件を満たさない場合は本人の不利益になるということで、再雇用社員が求めれば会社は支払い方法を変更する必要がありますか。
わかりにくい文章で申し訳ございませんが、よろしくお願いします。
投稿日:2025/07/24 12:04 ID:QA-0155792
- ALOHAさん
- 大阪府/運輸・倉庫・輸送(企業規模 31~50人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
ご相談の内容は、再雇用社員の賃金に賞与の月割額が含まれている場合、高年齢雇用継続給付金の支給要件の判断においてどのように扱うか、および、給付金支給に不利になる賃金設計を会社が是正する義務があるかという点と理解しました。
以下、順を追ってご説明申し上げます。
1.高年齢雇用継続給付金の「支給要件における賃金」の考え方
高年齢雇用継続給付金の支給要件を判断する際の「賃金」は、原則として「毎月支払われる報酬(月額給与)」が基準になります。
2.重要ポイント
賞与は「賃金」ではあるものの、「高年齢雇用継続給付金における賃金」には含まれません。
したがって、賞与を月割りにして毎月支払っている場合であっても、それが実態として賞与に相当するものであれば除外する必要があります。
3.参考
「賃金に賞与等を含めて月額化して支払っている場合においても、実質的に賞与に相当する部分については高年齢雇用継続給付の支給要件を判断する際の賃金に含めない」(厚労省通達・Q&A 等)
4,ご質問:「賞与の加算分を除いて申請すればよいか」
はい、その通りです。
再雇用者の「報酬月額」に賞与の月割額が含まれていても、実質的に賞与であると判断される部分(12等分した賞与見合額)については除外して申請してください。
そのうえで、基本給相当額(毎月の固定的賃金)で給付金支給要件を満たすかどうかを判断します。
5.給付金の要件を満たさない賃金設計をした場合、会社は是正義務があるか?
(1)原則として、会社に義務はありません。
高年齢雇用継続給付金はあくまで雇用保険の給付であり、会社の義務ではありません。
従って、再雇用者が「給付金がもらえるように支払方法を変えてほしい」と希望しても、会社側に応じる義務はないとされています。
ただし、実務上の配慮として:
一部の企業では「給付金の支給を受けやすくするように」再雇用者の賃金設計を工夫していることもあります(例:賞与の月割り分を除く/毎月の給与とは別項目にするなど)。
再雇用者が給付金を受給できないことで大きく不利益を被る場合、労使間で協議し対応を検討することは望ましいとされています。
6実務対応の提案
再雇用者に不利益が生じないように、以下のような対応をご検討ください。
項目→対応策
賞与月割額の扱い→就業規則・雇用契約書上で「賞与の前払ではなく、毎月の報酬である」などと記載していないか確認。記載がある場合、再検討が必要。
給付金受給への影響→高年齢雇用継続給付のシミュレーションを行い、本人に制度の内容・影響を説明。
本人希望への対応→「給付金を受けられるようにしてほしい」という希望が強い場合は、月額報酬から賞与相当分を切り離す給与設計(例:基本給+業績連動賞与など)を検討。
7.結論まとめ
給付金の申請にあたっては、賞与相当分は除外して算出する。
会社は、給付金支給のために支払方法を変更する法的義務はない。
ただし、本人の不利益が明確な場合は、労使で協議・検討する姿勢が望ましい。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/24 14:08 ID:QA-0155793
相談者より
とりとめのない質問にもかかわらず、丁寧で分かりやすいご回答を頂きましてありがとうございました。ご回答を参考に賞与分を除いた金額で高年齢雇用継続給付金の申請を進めていきたいと思います。
ありがとうございました。
投稿日:2025/07/24 16:38 ID:QA-0155798大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
毎月12等分して支払う、賞与が、賞与として認めらる性質かがポイントであり、
賞与として認められる性質であれば、毎月の賞与加算分を除いて申請いたします。
賞与として認められるポイント3つ
・賞与は、会社業績や本人の評価に連動して金額が決定されるものである。
・規定上も、賞与を12分割して、毎月支払う旨を規定している。
・給与の内訳として、給与の基本給などの固定金額とは切り離して、
賞与月割り分としての金額を契約上も給与明細上も明示している。
仮に、評価に関係なく、常に固定額を支給していたり、
契約上も基本報酬と位置付けている場合は、賞与としてはみなされない
リスクがございます。
上記を改めて、ご確認いただければと思います。
投稿日:2025/07/24 14:33 ID:QA-0155794
相談者より
お忙しい中丁寧にご回答いただきましてありがとうございました。
再雇用の嘱託社員契約を結ぶ際に入手した給与月額計算書には、給与分と賞与分それぞれ計算して求められた月額報酬が書かれていますが、嘱託社員の給与は各人別に定めるという規定だけで、賞与を12分割して支払うなど細かな規定はありません。一度ハローワークで相談してみます。
ありがとうございました。
投稿日:2025/07/24 17:19 ID:QA-0155799大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
賞与金額も確定した年俸制であれば、
賞与金額も含めるということになりますが、
給与から賞与を算出して、便宜的に12等分している場合には、
年俸制ともいえないところもありますので、
給与明細で、明確に分かれているのであれば、
賞与分は除いて請求することができる可能性もあります。
ただし、年俸制かどうかについて、
ハローワークにより見解が異なる可能性もありますので、
管轄のハローワークにも確認してください。
投稿日:2025/07/24 17:20 ID:QA-0155800
相談者より
ハローワークにより見解が異なる可能性があるんですね。給与明細では給与分・賞与分とは分けられていないので認められない可能性があるということですか。
お忙しいところご回答いただきありがとうございました。
投稿日:2025/07/24 17:52 ID:QA-0155801大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、御社就業規則で賞与として定められているものであれば、給付金の主旨から月割であっても原則除外されるのが妥当といえるでしょう。
そして、こうした公的給付金の支給要件に関しましては、法令で定められていますので、要件を満たさなければ支給されないのは当然の措置になります。
すなわち、不支給=会社による不利益な取り扱いとはなりえませんので、支払方法を変更される必要性はないですし、逆に給付金目的で所定の制度を意図的に変更される方が問題があるものといえるでしょう。
投稿日:2025/07/25 19:10 ID:QA-0155826
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/08 12:35 ID:QA-0156581参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。