裁量労働制における給与明細記載項目についてのご確認
専門業務型裁量労働時間制を導入いたしました。
つきましては、裁量労働制対象社員の給与明細に記載すべき項目についてご教示賜りたく、ご連絡申し上げました。
現状、みなし労働時間は「1日8時間」と設定しており、実働時間についてはWEB勤怠システムにて管理しております。なお、残業や休日出勤等は一切発生しておりません。
このような状況下において、給与明細の記載項目として、
「出勤日数」「基本給」「控除項目」「支給総額」の4項目を明記するのみで問題がないか、
ご確認いただけますと幸いです。
お忙しいところ誠に恐縮ではございますが、ご確認のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
投稿日:2025/07/10 14:25 ID:QA-0155216
- emiさん
- 東京都/情報処理・ソフトウェア(企業規模 51~100人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
ご提示の「出勤日数」「基本給」「控除項目」「支給総額」の4項目のみの記載であっても、法令違反ではありませんが、実務上・トラブル防止の観点からは、補足項目の追加を強く推奨いたします。
2.法的な記載義務(労基法第108条、同施行規則第54条)
労働基準法上、給与明細(賃金台帳)には次のような事項の記載が義務付けられています:
労働日数
労働時間数
賃金の種類・計算方法
基本給・各種手当の額
控除額の内訳
差引支給額
ただし、これは「賃金台帳」の要件であり、「給与明細書」はこれを簡略化して運用しても法違反とはされていません。とはいえ、労働時間数や手当の内訳が不透明な場合、労使間でのトラブルや説明責任が問題になる可能性があります。
3.御社の運用と実務的な観点からのアドバイス
【現状】
裁量労働制対象社員
みなし労働時間:1日8時間
残業・休日出勤:発生なし
勤怠管理:WEBシステムで実施
給与明細:出勤日数・基本給・控除・支給総額を記載予定
【推奨追加項目】
以下の2項目は、裁量労働制においても記載しておくことで誤解を避けやすく、説明責任を果たしやすくなります。
推奨項目→理由
みなし労働時間(1日8時間)または「みなし労働時間制による支給」等の表記→裁量労働制に基づく労働時間設定であることを明記しておくと、労使の誤解を防げます。
支給内訳(基本給・裁量手当などに分ける)→任意基本給に裁量労働手当を含んでいる場合でも、明示しておくと後日の説明が容易です。※分けないこと自体は違法ではありません。
4.注意点
現在は残業・休日出勤が「一切発生していない」とのことですが、万一将来的に時間外労働が発生した場合は、「みなし時間を超える労働」の割増賃金が発生する可能性があるため、実労働時間の記録と給与明細上の整合性にも注意が必要です。
健康福祉確保措置の履行記録(休日取得状況など)についても、勤怠管理と合わせてバックアップできる体制が望ましいです。
5.まとめ
記載項目→法的義務→実務推奨→コメント
出勤日数→△→○→実際の労働日数と区別して記載するのが望ましい
基本給→○→○→必須
控除項目→○→○→必須(社会保険、税等)
支給総額→○→○→必須
みなし労働時間の補足→×→◎→誤解防止・説明責任のため推奨
支給内訳の明示→×→○→紛争予防の観点から可能なら明示を推奨
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/11 09:27 ID:QA-0155256
相談者より
大変勉強になりました。
ご教示ありがとうございます。
投稿日:2025/07/12 09:00 ID:QA-0155342大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、給与明細の記載事項につきまして特に法的な定めはされておりません。
従いまして、文面内容のみでも違法性はございませんが、残業や休日出勤等が現状無いとしましても、今後もそうである保証はございませんので、そうした定型的な項目については記載されておかれるべきです。
投稿日:2025/07/11 09:36 ID:QA-0155258
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
|このような状況下において、給与明細の記載項目として、
|「出勤日数」「基本給」「控除項目」「支給総額」の4項目を明記するのみ
|で問題がないか、
結論、法的な観点では問題ありません。
給与明細については、支給・控除の金額について、内訳と最終合計金額
がわかれば大丈夫です。
給与明細については、ご記載のような詳細な法令ルールはない為です。
一方、好ましいか否かの観点では、給与の金額に影響する勤怠項目は、
明記することが良いでしょう。
仮に欠勤が生じた場合は、欠勤控除が発生したとします。
その場合、欠勤控除の金額だけでなく、欠勤控除の根拠となる、
欠勤日数が明記されていないと、社員は理由がわからず、
給与計算担当者への問い合わせも多く発生するものと思案します。
以上より、法的な問題はありませんが、給与の金額に影響するような
勤怠項目については、給与明細上も明記いただくことをお勧めいたします。
投稿日:2025/07/11 10:16 ID:QA-0155266
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
その他、
「欠勤日数」、手当がある場合には、「各種手当」、
今後、休日出勤、深夜勤務がありうるのであれば、その項目、
「控除額計」、「差引支給額」は必要です。
投稿日:2025/07/11 13:54 ID:QA-0155302
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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