長期間の入社延期への対応
介護で入社延期になった方に再選考は可能でしょうか。
中途採用で内定通知を出した50代男性の方がいます。
内定承諾も受け、入社準備で連絡のやり取りをしていたところで、父親の容体が急変+母親の認知症で入社を延ばしてくれないかと打診がありました。
本人がどうにもできない事由であり、重要な人材でもありましたので快諾していたのですが、その後も仮設定で先延ばしにした入社日の延期が続き10か月になります。
その間に配属予定だった部署の管理職は変わり、事業内容的にも当初お伝えしていた内容から変わる可能性が高いです。また、その方が本当に入社するのか不明な状態で採用枠も曖昧なままで人員が常に足りていない状況です。
ついては、内定通知を無効にして最終選考から再選考をしたいのですが、これでは解雇と同じような法的リスクがあると聞いています。
本来の労働契約が履行されないまま相当期間が経過しており会社としても弊害を被っているのですが、穏便に進める方法はないでしょうか。
ご回答よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/20 12:27 ID:QA-0152547
- 人事ひよこさん
- 東京都/電気・ガス・水道・エネルギー(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答させていただきます。
ご記載内容を拝見する限り、貴社が正当な内定取り消しを行うにあたる、
合理的な理由はあるものと思案いたしますので、解雇には該当いたしません。
父親の容体が急変+母親の認知症があるとは言え、入社日を10カ月もの間、
猶予することは一般的ではない印象です。
内定者には、きちんと会社の状況等を記した文面にて、内定を取り消す旨の
通知を送付するとともに、弁明があるのであれば弁明の機会を与える、
再選考のご案内をするなど、内定者への対応には、一定の配慮を交えながら、
進められると宜しいかと存じます。
投稿日:2025/05/20 17:19 ID:QA-0152565
相談者より
法的リスクの懸念と希少なスキルを持った人材ということもあり、不用意に期間が延びてしまいました。
頂いたアドバイスで対応検討してまいります。ありがとうございました。
投稿日:2025/05/21 16:16 ID:QA-0152668大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
父親の容体が急変+母親の認知症などは、面接時には想定できないことですし、
会社の責任ではありませんので、入社延期にも業務上の都合があり、
仮に、内定取り消しとしたとしても、不合理とはならないでしょう。
すでに10ヵ月延期ということですから、
例えば、
2か月後に出社できない場合には、会社としても、誠に残念ですが、
業務上の都合上、内定取消とさせていただきますなどと説明すれば、
十分と思われます。
投稿日:2025/05/20 18:32 ID:QA-0152575
相談者より
法的リスクの懸念と希少なスキルを持った人材ということもあり、不用意に期間が延びてしまいました。
頂いたアドバイスで対応検討してまいります。ありがとうございました。
投稿日:2025/05/21 16:16 ID:QA-0152669大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再選考(内定無効や取り消し)に法的リスクはありますが、状況によっては可能です。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
再選考(内定無効や取り消し)に法的リスクはありますが、状況によっては可能です。特に、長期間にわたる本人都合による入社延期、会社に与える影響が顕著、当初の雇用条件と状況の大きな乖離などがあれば、合理的理由に基づいての対応は正当化される余地があります。
【内定の法的性質】
一般的に、内定通知書(内定承諾後)=始期付き・解約権留保付きの労働契約とみなされます(判例:大日本印刷事件など)。
よって、企業側から一方的に内定を取り消す場合は「解雇」と同様に扱われる可能性があり、合理的な理由が必要です。
単なる「入社延期」や「不在期間の長期化」だけでは、会社都合による内定取消と見なされ、トラブルにつながる恐れがあります。
【再選考(もしくは内定無効)を行うための安全なステップ】
(1) 状況整理・証拠確保
入社延期の経緯、連絡記録、延期理由、期間、会社への影響などを文書で整理しましょう。
「事業内容変更」「部署変更」「採用枠の逼迫」などの客観的な事情の変化があることも明記しておくと有利です。
(2) 本人に再度意思確認(期限付き)
以下のような文書を送付します:
「〇月△日までに入社意思を明確にお示しいただけない場合、または入社日を確定いただけない場合には、内定の継続は困難と判断せざるを得ません」
この意思確認を行うことで、会社側が一方的に内定を取り消すのではなく、「本人が入社意思を示さなかった」とみなす形を取ることが可能です。
(3) 本人の反応に応じて判断
本人が再度入社延期を希望した場合
→「入社日が確定できない状況が継続しており、当初の契約内容(雇用条件や部署等)に著しい変更が生じた」ことを理由に、再選考の必要性を説明する。
本人が応じない/連絡が取れない場合
→ 内定無効(契約未履行状態の整理)として、労働契約が成立しなかったと主張する余地あり。
【再選考を提案する場合の表現例(本人に送付する文面案)】
現在までのご事情を理解し、最大限配慮し入社延期に対応してまいりましたが、当初の予定からすでに10か月が経過しており、業務体制や部署の構成、業務内容に変更が生じております。
このままご入社いただくことが双方にとって適切か再検討が必要と考えており、改めて最終面接を実施の上、双方の合意をもって今後の方向性を決定したく存じます。
お手数ではございますが、〇月△日までにご意向をお知らせいただきたく、お願い申し上げます。
※トーンとしては「内定を取り消す」のではなく、「環境が変わったため、双方合意のもとでの確認プロセス(再選考)が必要」として伝えるのがポイントです。
【補足】リスク低減のために今後できること
入社延期の申し出を受け入れる際に「内定取り消しもあり得ること」を文書で明示しておく(例:期限付き猶予)
内定通知書に「事業内容変更や長期入社延期の場合には再検討の余地がある」旨の文言を盛り込む
再延期の際には、都度、確認書や誓約書の形で入社意思と予定日の文書化をしておく
2.まとめ
項目→内容
法的リスク→一定のリスクあり(特に不意の取り消し)
安全な対応→本人の意思確認を行い、再選考として整理
条件→事業内容の変更、長期の延期、採用事情の変化があること
表現→「再選考」や「双方合意の再確認」とするのが穏当
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/20 19:28 ID:QA-0152580
相談者より
ステップや文面案もご提示いただき大変助かります。
頂いた内容を主軸に対応を検討してまいります。ありがとうございました。
投稿日:2025/05/21 16:17 ID:QA-0152670大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
だらだらと採用の先送りを認めてしまった責任が会社にはありますので、一方的通告ではなく、いつまでに入社・就業ができない場合は再選考となる旨をまずは伝えてはどうでしょう。
その方の能力がどのように図るかにもよりますが、能力、状況どちらであっても入社のような決断ができないようでは、およそ戦力化は難しいように思います。
投稿日:2025/05/20 21:30 ID:QA-0152581
相談者より
法的リスクの懸念と希少なスキルを持った人材ということもあり、不用意に期間が延びてしまいました。
頂いたアドバイスで対応検討してまいります。ありがとうございました。
投稿日:2025/05/21 16:17 ID:QA-0152671大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、既に10カ月も経過しているという事でしたら、もっと早い段階で入社期限を決められるべきであったといえるでしょう。
家族の件であっても、当人側の自己都合である事に変わりはございませんし、一時的な遅れであればともかく、これ程長期に渡って入社を猶予された事自体が不合理な対応であったといえるでしょう。
対応としましては、これ以上の猶予は困難である事をお伝えされた上で、長くても1か月以内の入社の線で依頼され、それが無理であればお断りされる事で差し支えないものといえます。
投稿日:2025/05/20 22:24 ID:QA-0152584
相談者より
法的リスクの懸念と希少なスキルを持った人材ということもあり、不用意に期間が延びてしまいました。
頂いたアドバイスで対応検討してまいります。ありがとうございました。
投稿日:2025/05/21 16:18 ID:QA-0152672大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
内定取消しの正当性
以下、回答させていただきます。
1.内定取消しの正当性についてご理解していただくことが重要であると考えま
す。
2.本件、採用内定の通知によって、始期付の「解約権が留保された」労働契約
が成立したものと考えられます。
3.採用内定の取消しに際しては、話し合いにおいて、判例(大日本印刷事件 最
高裁 昭和54年7月20日判決)を踏まえつつ、合理的な理由があること、社会通
念上相当であることについてご理解を得るために、例えば、以下の三点を丁寧
に説明することが考えられます
(1)採用内定の取消しについては、採用内定当時知ることができず、また、
知ることが期待できないような事実(理由)が必要とされている。今回の
事情はこれに当てはまると考えている。
(2)労働契約の変更については両者の合意が必要とされている。必ずしも応
じる義務はないが、本人ではどうにもできないことであり、重要な人材で
もあったことから、これまで「始期」について何回も変更に合意してき
た。
(3)入社が不明な状態で採用枠も曖昧なままで人員が常に足りていない状況
である。先延ばしにはできなくなっている。配属予定だった部署の管理職
は変わり、事業内容も当初お伝えしていた内容から変わる可能性が高い。
投稿日:2025/05/21 06:57 ID:QA-0152595
相談者より
判例に基づいた説明ポイントをご教示いただき大変ありがたいです。
こちらを説明時の要点として対応してまいります。ありがとうございました。
投稿日:2025/05/21 16:20 ID:QA-0152673大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
採用内定の取消に関して、裁判例では、その取消事由については、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる。としています。
つまり、「採用内定当時知っていれば採用しなかった」と言えるような、重大な事由がなければならないということです。
父親の容体急変+母親の認知症は、当然、採用内定当時には知り得なかった事実であって、御社に非はなく、それがために10ヵ月も入社延期状態が続いているという現状を考慮すれば、内定を取消すことには合理性も認められるでしょう。
入社延期状態が10ヵ月に及んでおり、人事戦略上これ以上の延期は容認できないと毅然と伝えたうえで、改めて入社の意思を確認するとともに、〇月〇日までに入社できない場合は内定を取消す、といった体で文書で(できれば、内容証明郵便等で)通知することで差し支えはないものといえます。
投稿日:2025/05/21 08:21 ID:QA-0152599
相談者より
分かりやすく解説いただきありがとうございます。
法的リスクの懸念と希少なスキルを持った人材ということもあり、不用意に期間が延びてしまいました。
頂いたアドバイスで対応検討してまいります。ありがとうございました。
投稿日:2025/05/21 16:20 ID:QA-0152674大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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