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【ヨミ】ナイテイトリケシ 内定取り消し

「内定」は、企業が卒業予定の学生を採用する際の慣行として、卒業後の正式な雇用契約の前に行う通知。法律上、「解約権留保つきの労働契約の成立」と見なされるため、企業側の自己都合による内定取り消しは契約の一方的破棄にあたり、合理的理由が認められないかぎり無効となります。
(2008/12/15掲載)

内定取り消しのケーススタディ

経営環境の急変で「売り手市場」一転
悪質な内定取り消しには企業名の公表も

米国のサブプライムショックに端を発する急速な景気悪化は、ここ数年来、拡大基調にあった企業の採用活動を一変させました。2008年夏以降、「経営悪化」を理由に、企業が新卒学生の採用内定を取り消すという事態が続出し、2010年春に向けて就職活動を始めた大学3年生にまで動揺が広がっています。2008年11月末の厚生労働省の緊急調査によると、内定取り消しは全国87事業所で331件(高校生含む)にのぼり、年度途中ながら、すでに前年の約8倍にまではねあがりました。最終的には、山一証券や北海道拓殖銀行が破綻した1997年度末の922件を上回るのではないか、との予測もあります。

そもそも「内定」自体の定義が厳密ではないため、その取り消しは、解雇のように労働基準法で厳格に制限されているわけではありません。しかし最高裁の判例では、採用内定はたとえ文書などを交わさなくとも労働契約の成立と見なされ、契約解除が容認されるのは「客観的に合理的と認められ、社会通念の上で相当と是認できる場合」にかぎるとされています。倒産ならやむをえないものの、経営悪化や業績不振を理由に内定を取り消すのは難しいと指摘する法律の専門家が少なくないのはこのためです。一部には、取り消しにあたって“見舞金”を提示する企業もあるようですが、それでも学生が承諾せず、従業員としての地位保全を求める仮処分申請や裁判を起こせば、企業側の不利は免れません。また仮に取り消しが認められたとしても、民事上の損害賠償を負う可能性が十分にあるため、注意が必要です。

景気悪化はどこまで続くのか――不況の底が見えない以上、2009年以降も内定取り消しが起きないという保証はありません。しかし就職氷河期の苦い教訓があるだけに、企業の雇用調整については、世論やメディアだけでなく、行政も厳しい目を向けつつあります。厚労省は2008年12月、内定取り消しを行った企業に対する指導を強化し、悪質な場合は企業名を公表できるよう職業安定法の施行規則を改正する方針を打ち出しました。

企業は、経営環境の変化を内定取り消し事由としてあらかじめ就業規則に定め、内定通知や入社承諾書でもその事由を開示するなど、最低限の予防策を講じておく必要があるでしょう。くれぐれも安易な内定取り消しで企業のブランドやレピュテーション(評判)を損なわないよう、慎重かつ誠実な対応が求められます。

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