育成の成果にこだわり、研修効果を“見える化”
人のあらゆる可能性を切り拓く、
新時代に求められる教育のカタチ
アルー株式会社 代表取締役社長
落合 文四郎さん
夢が溢れる世界のために、人のあらゆる可能性を切り拓く
落合社長が経営者として大切にしていることを教えてください。
会社は、まずお客さまのためにあるものという思いがあります。顧客の課題を解決するのがビジネスである、という考えが大前提にあります。「会社は何のためにあるのか」「どんなふうに顧客に役立っていくのか」。この問いに常に真摯に向き合うことを大切にしています。
当社はおかげさまで2018年12月に、東証マザーズに上場しました。ただ、もちろん上場がゴールではありません。上場の目的はあくまで企業の継続性を担保することです。人材の育成は、一朝一夕に成し遂げられるものではありません。アルーのサービスを、5年後も10年後もその先も、当たり前に提供できる体制を築くこと。より一層、研究や商品開発に投資をしていくこと。透明性やガバナンスを整備し、長期的・継続的にお客さまの支援ができる体制をつくることを目的にしています。
アルーのミッションは、「夢が溢れる世界のために、人のあらゆる可能性を切り拓きます」。夢が人を育て、人が夢を創る。そんな循環が自然と生まれている世界は希望に満ちあふれています。夢ある社会を実現するために、あらゆる人のあらゆる可能性を信じ、サポートをする存在であることが私たちの願いであり、アルーの存在価値だと考えています。
落合社長が「これから挑戦したいこと」は何でしょうか。
シンガポール政府が行っている「WSQ」という取り組みをご存じですか。「WSQ」とは、「Workforce Skills Qualifications」の略で、「労働者技能資格」という意味です。
シンガポールでは、あらゆる職業に必要とされるコンピテンシー(技能や能力基準)を提示し、それらを高めるためのトレーニングの紹介や資格取得費用の補助を行っています。「WSQ」を取得すれば、シンガポール国内で就職や転職をする際に履歴書などでアピールすることも可能です。
企業や組織の枠を超えて、個人が能力を高めるべく努力できることが「WSQ」の利点。日本でも「簿記」や「宅建」「MBA」など個人で取得できる資格はありますが、それらは仕事で必要とされる能力のほんの一部です。「世の中には私が知らなかった、こんな職業やポジションがあるのか」「この職業に就くためには、〇〇の能力を身につけることが必要なんだ」と万人が知れる「WSQ」の仕組みはすばらしいと思います。「人が資源」と考えるシンガポールでは、政府主導で個々人の能力や生産性を上げる取り組みが行われているのです。
日本でも、国家戦略の一つとして同様の取り組みを行うべきですが、まずは民間企業としてできることにチャレンジしたいという思いがあります。日本の働く環境も刻一刻と変化しています。定年は延び、副業や転職をする人も増加傾向にありますよね。個人の“学びたい”ニーズはこれからますます増えていくでしょう。企業という枠を超えて、個人の可能性を切り拓く支援をしていきたいと考えています。
最後に、人材ビジネス業界で働く若い皆さんにメッセージをお願いします。
私も、人材育成業界に携わって15年。まだまだ若輩者ではあるのですが、ここでは私がアルーの社員によく話していることについてお伝えしたいと思います。それは「教育という仕事に熟達しましょう」ということです。
教育も採用も評価も、人にまつわる仕事は、時に相手の人生に大きな影響を与えます。仕事のやりがいを感じられる分、責任も大きい。だからこそ、今の自分自身の能力やスキルに満足せずに、「より多くの経験を積もう」「より深い知識を得よう」と追求する姿勢が大切です。年齢が若くても、キャリアが浅くても構いません。今の自分から一歩でも前に進もうとする真摯な姿勢に、人は信頼を寄せてくれます。人材ビジネスは、とても奥深い世界です。経験すればするほど深みが生まれ、仕事の楽しさも増えていくでしょう。その楽しみも存分に味わってほしいと思います。
また、人材教育や育成に限った話をすると、日本では教育のスペシャリストが育ちにくいという構造があります。大手企業をはじめジョブローテーションの一環で、教育に携わる人が多いからです。しかし、海外を見わたすと人材育成は立派な専門職であり、この道のスペシャリストが国家戦略にも起用されています。日本のなかで人材育成の熟達者を増やしていくことも、私の願いであり、アルーが成し遂げるべきことだと考えています。
社名 | アルー株式会社 |
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本社所在地 | 東京都千代田区九段北一丁目13-5 ヒューリック九段ビル2階 |
事業内容 | 人材育成研修事業 |
設立 | 2003年10月29日 |
日本を代表するHRソリューション業界の経営者に、企業理念、現在の取り組みや業界で働く後輩へのメッセージについてインタビューしました。