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HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

株式会社リンクアンドモチベーション代表取締役会長

小笹 芳央さん

「モチベーション」「アイカンパニー」の次は「リンク」を打ち出し、
企業と個人を変革する

2012/12/03
小笹芳央さん
企業の優位性を支えるのは「人」に他なりませんが、現代では特に、人の「モチベーション」が、企業の成長や活力を大きく左右します。この分野のパイオニアとして、さまざまな角度からモチベーションに関する事業活動を行っているのがリンクアンドモチベーション代表の小笹芳央さんです。モチベーションに着目したビジネスを創業した経緯をはじめとして、モチベーションをテーマとした事業活動の内容や、モチベーションに関するさまざまな問題や今後のあり方、人材業界に対する考え方などについて、お話を伺いました。
プロフィール

小笹芳央(おざさ・よしひさ)●1961年大阪府出身。早稲田大学政治経済学部卒業後(株)リクルート入社。2000年、(株)リンクアンドモチベーション設立。気鋭の企業変革コンサルタントとして注目を集め、経営者としても、創業から8年で同社を東証一部に上場させた手腕には定評がある。 講演会やテレビ(フジテレビ「とくダネ!」、テレビ東京「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」他)・ラジオ出演でも人気を博している。主な著書に『モチベーション・マネジメント』『1日3分で人生が変わる セルフ・モチベーション』(以上、PHP研究所)、『「持ってる人」が持っている共通点』(幻冬舎)。

リクルートでの経験から「モチベーション」をテーマに起業

―― なぜ「モチベーション」に着目し、どういう経緯で経営コンサルティング会社を創業されたのでしょうか。

私は1986年に新卒でリクルートに入社し、2000年に独立起業するまで14年間勤務しました。この間の勤務内容は大きく二つに分かれます。前半の7年間はリクルートの人事部に籍を置き、人材の採用、初期教育に携わりました。後半の7年間は、顧客企業向けに組織人事関係のコンサルティングを行う部署を立ち上げ、その責任者を務めました。14年もの間、ずっと人事、組織、採用などの分野に携わる中で、企業経営にとって人材のモチベーションがとても大きな意味を持つことを強く感じるようになりました。

時代の変化と共に、働く人たちのモチベーションも多様化してきたのです。お金とポストを働く目的として重視する人が減り、もっと自分らしさを発揮したい、自分の専門性やスキルを発揮したいと考える人が増えてきました。実際、多くの経営者の方々と話をする中で、「これまでの社員のやる気を高める方法が通用しなくなった」という声をよく聞くようになりました。

また、社会や経済がソフト化・サービス化していく中で、企業の優位性を決めるポイントが、工場や設備、機械などの箱モノやハードから、働く人のホスピタリティ、クリエイティビティ、モチベーションといったソフトへと移行してきたのです。そういう意味でも、ますますモチベーションは大事であると認識を強めました。ただ、そのモチベーションが多様化し、束ね方が難しくなってきていました。だからこそ、コンサルティングのテーマとして手がけるべきではないかと考えるようになったのです。

株式会社リンクアンドモチベーション代表取締役会長 小笹芳央さん Photo

人材ビジネス業界を見渡しても、モチベーションに特化した会社はありませんでした。だとしたら起業して、その分野の見識を高めてデータベースを蓄積していけば、オンリーワンかつナンバーワンの会社になれるのではないかと考えたのです。そこで、モチベーションに特化したコンサルティング会社として、世の中にその存在を問うために、リクルートという看板から飛び出していこうと決心しました。社名にもモチベーションを冠として付け、強くメッセージを発信していこうと考え、今から12年前の2000年にリンクアンドモチベーションを立ち上げました。

―― 創業される時に、事業として成功する確信はありましたか。

創業した2000年当時、世の中は大変な不況でした。ただありがたいことに、前職時代にお世話になったベンチャー企業の経営者の方々から、モチベーションを事業の柱とした会社を立ち上げるのなら、ぜひ依頼したいという引き合いがかなりありました。そんな背景もあって、何とかいけるかもしれないという感覚はありました。

確信を得たのは、人材を募集した時の反応です。仕事の引き合いが続く中、この状態では創業メンバーの7人で仕事を回していくことは難しいと考え、創業した翌月に中途採用の求人広告を出しました。その時のキャッチコピーが「企業経営で一番大切なことが、後回しにされている」でした。当時、成果主義の人事制度が流行していた中で、一番大事な社員のモチベーションがないがしろにされていませんかというキャッチコピーを打ち出し、求人広告を出したところ、何と220人もの応募が殺到したのです。この結果を見て、この事業はいけるなと思いました。この後、事業が順調に伸びていったこともあり、定期的に採用を行っています。翌年の2001年から新卒の採用活動をスタートしました。

リーマンショックを乗り越え、V字回復

―― 創業後、貴社は急成長を遂げられ、「モチベーション」を世の中に広く浸透させましたが、この12年間の中でポイントとなった出来事について教えてください。

2000年の創業から2005年までは、需要の増大に対して人員を増やし、商品・サービスメニューのラインナップを増やしていくことに注力してきました。モチベーションという言葉の普及に努めるために、講演会、本の出版、雑誌への執筆などを積極的に行ったのです。こうした活動を行っているうちに、2002年にサッカーのFIFAワールドカップが日本と韓国で共催され、サッカー選手たちがインタビューに答える時、モチベーションという言葉を多用するようになりました。これで広く世の中に対してモチベーションという言葉が市民権を得て、大きく追い風が吹く格好となりました。このように2005年までがモチベーションコンサルティングとして、創業当初の事業を拡大・再生産してきた時期です。

次の2006年から2010年までの5年間は、モチベーションというテーマで、さらに自分たちの事業領域を広げていきました。B to Bのサービスを展開している企業のM&Aを活発化し、事業の幅を広げていったのです。例えば、採用のアウトソーシング、企業の販売促進やPRなど周辺の事業を獲得し、規模を拡大していったのがこの時期です。そして、2007年には東証2部へ上場、翌年の2008年には東証1部へと上場を果たしました。この結果、よりM&Aがやりやすくなりました。

そして、2011年からは我々の持つ「モチベーションエンジニアリング」という基幹技術を企業向けだけではなく、直接消費者に届けていこうとしています。具体的には、学習塾、パソコン教室、資格取得支援を行う会社を獲得しました。これまでのB to Bの事業と、学習を中心とした個人のキャリア支援、また進学・転職・キャリアアップなどを支援するB to Cの機能を強化しています。

―― 一方でこれまで、困難に遭遇したことはありますか。

2008年秋に起こったリーマンショックです。多くの企業が社員の育成やモチベーションの向上が大事だと認識しながら、当面の大不況を乗り切るために、教育研修などの人材周りのコストを大きくカットしたのです。創業以来、ずっと増収増益だったのが、2009年は事業の撤退や縮小を行い、初めて減収減益を経験しました。この1年間は非常に厳しい時期でした。

―― そのような厳しい状況を、どのようにして乗り切ったのですか。

短期間にマイナスの判断、つまり撤退・縮小を行い、またそのために社員には我慢してほしいということを真正面から伝えました。全社員に向けて、撤退判断の経緯と具体的な内容を説明し、経費削減や賞与カットなどを行いました。今思うと、当時、考えられる施策のすべてを、一気に実施したのが良かったと思います。先延ばしにしていたら、おそらくその後も負の影響を長く引きずったのではないでしょうか。

こうした時は、トップ自らが明確に方針を示して、情報を明らかにすることがとても大事です。そうすることで、現場との信頼関係も構築されます。実際、その後は早い時期にV字回復を実現できました。


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