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キリンビール株式会社:2007年問題・女性社員をめぐるシステム改革

キリンビール株式会社 人事部 企画担当 主査 藤谷淳さん

人事とは、人が人を評価する、人が人の人生を左右するかもしれない、大変な仕事である。 その重責に、現役人事部員たちはどう向き合っているのか?(聞き手=ジャーナリスト・前屋毅)

Profile
藤谷淳さん
藤谷淳さん
人事部 企画担当 主査

ふじたに・じゅん●1962年生まれ。85年同志社大学経済学部卒業後、キリンビール入社。高崎工場労務課、人事部労務担当から、94年1月労働省(当時)へ委嘱調査員として出向、96年4月医薬事業本部学術営業部、2001年10月四国地区本部総務部長、2003年四国地区本部香川支社長を経て、同年9月より現職

2007年からホールディングカンパニーの体制に移行しますので、
人事部は「全体最適」と「各社最適」も考える必要がありますね。

前屋:キリンビールは2007年からホールディングカンパニー制に移行するわけですが、人事部にも変化があるでしょうね。

藤谷:そうですね。これまではキリンビールのビール部門を主に意識した人事部でした。もちろん、医薬など、他の部門も担当していましたが、やはり主力がビール事業ですから、そこが中心になっていますね。ホールディングカンパニー制になることで機能が分散しますから、それぞれの会社の人事や制度が求められてくると思います。そして今の人事部が持っている機能は、ホールディングカンパニーと新たに間接部門機能を統合する会社が半々で持つようになるのかな、というイメージで話を進めているところです。

ただ、そういう体制へスムーズに移行できるかどうかは、むずかしい面も少なくないと考えています。私個人のことを考えても、今は全体のことをやりながら、ビール部門のこともやって、医薬品などの部門についての仕事もやっているわけです。それを2007年からは、各部門に特化してやっていかなければならない。一人の人が幾つかの機能を持っていることが多く、はっきりと区切りがつけられるのかなという感覚があります。現在の人事部は全部で40人くらいいますが、どこで線引きして分けるのかはむずかしい問題です。ただ、ヒトは半分に切り分けることができませんから、割り切りは必要になるでしょう。

前屋:しかし体制さえ整えば、今までやっていたことの一部だけをやれるので、特化できていいのではないですか。

藤谷:これまでは常に「全体最適」で考えるのが仕事でしたが、ホールディングカンパニー制になって「各社最適」を考えるようになると、全体最適を考える力が弱まりはしないかなと少し大袈裟かもしれませんが個人的には心配もしているところもあります。

ただ、2007年から会社を分けるのは、各会社が自分の事業を、より成長させていく仕組みをつくるのが大前提です。各会社のことと、グループ全体のバランスを考えながら、人事もやっていくことになると思います。

役所と民間の交流制度で労働省に出向して働いた経験があります。
役所のマクロ的な視点を学ぶことができる、貴重な機会でしたね。

前屋:藤谷さんは、人事の仕事は長くやっていらっしゃるんですか。

藤谷:1985年に新卒で入社したときには、今はなくなってしまったのですが群馬県の高崎にビール工場があって、その労務担当に配属されました。工場の人事セクションですね。そこに3年弱いました。その後、人事部に異動になって、6年間くらいいました。それから労働省、現在の厚生労働省に2年半くらい出向していました。役所と民間の交流制度で、当時で10人くらいが各社から出向してきていましたね。

出向していたときに、ちょうど地下鉄サリン事件が起きて、大騒ぎになったことを覚えています。薬害エイズ裁判が話題になったときでもあり、労働省と同じ建物だった厚生省の周りを人の鎖で取り囲む抗議行動があり、それも目撃しましたね。その少し前には阪神淡路大震災もありました。いろいろと大きな出来事があったときに、霞ヶ関の労働省にいて貴重な経験をさせていただきました。

その後に医薬の営業本部に6年ほど。それから四国の高松で総務と営業をそれぞれ約1年。営業は、営業成績が悪かったもので、すぐにクビになっちゃったんですけどね(笑)。当時はキリンビール全体の数字が良くないときでした。今は当時に比べると少しは良くなってきていますから、もう少し営業をやらせてもらえていれば、と思ったりもします(笑)。

営業の仕事は「おもしろいな」と思ってやり始めたんです。過去のビール業界の営業というのは、お客様は業界・流通の皆様だという面がありました。それをキリンビールでは、最後に商品を選んでいただく消費者の皆様こそがお客様であり、そのお客様に喜んでいただける価値を届けることが営業の仕事だという方向に大きく舵を切り始めようとしていた時期でしたので、なおさら営業の仕事をおもしろく感じたのかもしれません。ただ、業界を取り巻く方々には、「キリンビールの言うことはわかるけれど、これまでの長い慣習もあるので受けいれられないこともある」という雰囲気もありました。私自身、「これまで言ってきたことと違うじゃないか」とお叱りを受けたこともありましたし、その理由を繰り返しご説明するのが仕事になっていたように思います。なにしろ私は営業の仕事は初めてなのですから、それまでの慣習も含めて営業のイロハを全く知らない。だから説明は本当に大変(笑)。でも、そんな大きな変革がはじまった場面にいられたことで、「営業は大変だけれどもおもしろい」と思えたのかもしれません。ただ、素人では荷が重いという会社の判断があったのだろうと思いますが、人事に戻ってきて、今年で3年目になります。

前屋:先ほどの労働省への出向ですが、何をやっていらっしゃったのですか。

藤谷:出向前に「どういう部署に出向したいか要望してもいいですよ」と言われたんです。それまで人事労務の実務は長いことやってきたので、労働関係の法律の仕事なら何とかなるかもと考えていたんですね。しかし、せっかく知らない世界を体験するのだし、霞ヶ関という国全体のことを考えるところに行かせてもらうのだったら、国が政策立案をする様子を少しでも知りたいと。そうしたら、大臣官房政策調査部の配属になりました。

大臣官房政策調査部で、いろいろな経験をさせてもらいましたね。こんなふうに国は政策をつくっていくのかとか、国会議員の中にはすごい人もいるけど、そうでない人もいるな、とか(笑)。労働省の方々には非常によくしてもらい、「一緒に国会に行ってみましょう」とか「首相官邸で大きな会議があるから見学してみれば」などと、勉強に連れていっていただきました。海外の労働事情の調査にも行かせていただきました。

前屋:その出向から戻ってきて、会社に報告をしなければいけないと思うのですが、どういうふうに報告されたのでしょう。

藤谷:労働省への出向にあたって、そのミッションを会社側に質問しました。それに対して、一つは経験の幅を広げること、もう一つは、幅広い人間関係をつくっていらっしゃい、ということでした。だから会社のカネではなく、自分のカネでいろいろな人たちと相当に飲みましたね。

前屋:労働省での経験が、今の人事の仕事に役立っていると感じることはありますか。

藤谷:今でも役所の方々とおつきあいをさせていただく機会があり、話を聞かせてもらったりすることがありますね。一時期、国家公務員と民間の企業が癒着するので一緒に酒を飲んではいけない、といった決まりができて、出向から戻ってきた直後は、話をする機会がなくなり、役所が何を考えているかを知ることができなかったのですが、ようやくそんな機会が少しずつですができていますね。

人事労務の関係で法律が作られるときに、国家公務員の人たちは国全体でマクロ的に物事を見ていきます。しかし民間企業の中で考えるときには、なかなか、そういう見方ができない。自分の企業だけの事情に左右されてしまうので、視点がミクロ的になりがちです。だから、民間のミクロ的な視点と役所のマクロ的な視点とを摺り合わせるチャンスがあると、自分の考え方の視野を広げられるように思います。

キリンビール

4つの「キリン・スピリット」を基に「人間軸」の評価をします。
「考え抜く」「やり抜く」「自由闊達」「誠実で倫理的」が基準です。

前屋:そうすると、藤谷さんが現在、主にやっている仕事は、どういう内容ですか。

藤谷:人事制度に関する政策立案ですね。これまでは主に管理職の人事制度作りをしてきました。現在は一般職の人事制度の見直しをやっています。さらに、再雇用制度や女性社員の活躍支援(ポジティブアクション)の仕事もやっています。今、必要とされている制度まわりのことを中心にやっているわけですね。

管理職と一般職の人事制度の作り直しは、年功制的なものの見直しが基本になります。過去においてキリンビールは安定していた会社だったので、年功的な要素が強かったと思います。ある時期から大きく舵を切ってきたのですが、完全に払拭できていませんでした。ここを思い切って変えようということだと考えています。

ただし、成果主義一辺倒では昨今、指摘されているように問題もあると考えており、キリンビールでは、「人間軸」と「成果軸」の両面から評価する制度にしようとしています。「実力主義」という言葉を使っているのですが、実力の評価には、短期の成果だけでなく、長期的な視点や高い倫理性も求めていきたいと考えています。経営を担っていくには倫理性が大事な要素になると考えています。

成果を測る方法は、他企業と同様にMBO(目標管理)の仕組みが導入されています。当社で導入してから15年以上になりますので、相当程度定着していると思います。

これまでの人事評価はシステムとしてはMBOを中心に置いていましたが、実際の評価の場面では「人間軸」を大切にしてきたと思います。ただ、その「人間軸」がどういうものなのかがはっきりしていなかったと考えています。

これを、「キリン・スピリット」という言葉で呼んでいるのですが、4つのキーワードを使って評価することにしました。社員研修の講師をお願いした方々から、社員を全体として評価していただくと、「一人ひとりは基本能力が高くて優秀だけど、全体として見ると弱い点がありますね」と言われることが少なくありませんでした。その弱点が本当に共通していたのです。

当社の経営理念として最も大切なのは、「お客様本位」「品質本位」ですが、これを実現する上で、今の組織や社員に不足しているものは何か、逆にキリンビール社員に昔から脈々と流れている良い点は何かを考えてみたのです。

その結果として、出てきたものがキリンスピリットです。「考え抜く」ことをしないという弱点がありました。だから、ポイントの一つは「考え抜く」。また、一つの事柄を「やり切る」ことをしない弱点もありました。だから、「やり切る」もポイントです。大人しいという傾向もあったので、「もっと自由闊達にやる」もポイント。半面、キリンビール社員の良いところとして、「誠実で倫理観が高い」ことがあるので、これは更に伸ばしていくと。これら4つのスピリットを「人間軸」評価の基準に落としたものをつくりました。そして、成果と人間の両方で評価できるようにしたわけです。両方の軸で高い評価を受けられるような管理職を育てていくことが、今回の人事制度改革の重要なポイントだと思っています。

前屋:成果軸でも人間軸でも高い評価を受ける層が多いのが理想的ですが、現在のキリンビールの状況はどうでしょうか。

藤谷:すでに本社の部長職など上級管理職の評価を行いました。こういうクラスの人ですから、両方の軸ともに高い人が多いわけですが、どちらかと言えば成果軸の方が高いという人のほうが多いように思います。人間軸の評価は、メンバー側の診断も併せて行ないました。上司、自らの評価とメンバー診断を組み合わせて見ることで、まだ伸びる余地を見つけることができる、と私たちは考えています。やはり、両方で高い評価の人がトップに立つことが求められている時代だと思いますから。

前屋:人間軸で努力の余地があるとわかれば、さらに伸びていけるわけですからね。

藤谷:そうです。1回の評価で終わりではなくて、仮に今回は低い評価だったとしても、今回の評価を踏まえて更にがんばっていただきたいというのが制度導入の真の意味合いだと考えています。

前屋:年功的な要素が残っていたという話でしたが、そのあたりは、どのように改革を進めていらっしゃるのですか。

藤谷:社外の方によく「キリンビールなら、一定の年齢になると関係会社に出て、そこでずっと働けるんでしょう」、と言われるのですが、そういうシステムは昔からキリンビールにはありません。60歳の定年を過ぎてからも居続けるシステムはありません。

藤谷淳さん Photo

また、社内のポストの数も以前と比べると組織もフラットになり、減っています。そうすると、若い人がポストになかなか就けません。これを今回、改めようと考えて、職務グレードの仕組みを導入しました。狙いは、能力とやる気のある若い人には昇進させて、試しにやらせてみる。すでに、抜擢されてポジションに就く若手が出はじめています。すべてがうまくいくわけではないと思いますが、そういうことが実施できるようになってきたことは、変化の一つだとも思います。

総合職に加えて一般職の女性もモチベーションをもって仕事ができるか、それがキリンビールにとって大きなポイントだと私は考えています。

前屋:高齢者の再雇用が問題になっていますが、年金をもらう年齢まで会社が高齢の社員の「面倒をみる」のか、それとも「積極的に活用する」のか。キリンビールの場合は、どのように考えているのでしょうか。

藤谷:ご存知のとおり、世間でいわれているのは、団塊の世代が一度に定年を迎える、いわゆる「2007年問題」です。ただし、キリンビールの場合は、管理職クラスと一般職クラスでは状況が違っています。管理職クラスは、2007年問題はほとんどありません。一方で、製造現場は非常に大きな影響があります。というのは、団塊の世代が入社したころ、キリンビールは調子がよくて、2年おきに工場を造っていました。

工場を造り、18歳から20歳くらいの人を大量に採用していました。昔のビール工場では非常にたくさんの人手が必要で、私が入社した20年前でも、工場の社員は500人以上いて、その他に600人くらいの臨時社員がいましたからね。今では近代化が進んで、社員は100人前後に減っていますが。

ともかく、工場一時期に大量採用した人たちが定年を迎える山が、これから10年間くらい続くことになります。そして山がなくなると、その後の世代がドンと減ってしまいます。大量採用の後は、しばらくは採用していませんから。この危険な状態を乗り切るために、再雇用制度をうまく活用できるかどうかは、キリンビールにとっては大切なポイントになると考えています。

前屋:再雇用制度と並んで現在の大きな問題といえば、女性の問題がありますね。

藤谷:そうですね。女性の問題は二色に分かれていると考えています。一つは、世間でいうところの総合職の問題ですね。非常に能力の高い女性を採用できたと思っても、途中で辞めていってしまうのです。なぜ辞めるかといえば、キリンビールの場合は、転勤が多いからだろうと考えています。結婚して子どもができるくらいのタイミングで、転勤になる。会社としても能力の高い女性たちには、働きつづけてもらわないとあまりにもロスが大きくて困ると思っています。この部分が女性の活躍を考える時に世間的にもまたキリンビールにおいても中心的な課題になると考えています。

もう一つは、一般職の問題です。キリンビールでは一般職をこの10年ほど採用していません。その結果として、平均年齢が上がっていて、今39歳くらいになっています。一般職の女性たちは転勤がなくて、同じところに長く勤めていますから、その場所では一通りの仕事は経験しています。となると、今以上に自分の能力を高めていく「余地」がその場所であるのか、そこが見えなくなっているんですね。それがモチベーションの問題として出てきているように思います。

女性の問題というと、世間では総合職ばかりに目が向けられがちです。私たちも、総合職の女性は、キーパーソンだし、がんばってほしいと思っていますし、そのための仕組み作りも進めて行く予定にしています。

ただ、現在、キリンビールには女性社員1300人のうち、総合職は約300人、約1000人は一般職です。一般職の女性が本当にモチベーションをもって仕事ができるかどうか、そこも企業運営の中で大きなポイントになると私は考えています。会社としても、その方向で考えようとしています。

一般職の人も、多様だと認識しています。家族もあり、その場所から離れられないという人もいれば、もっといろいろな仕事をやってみたい、全体を見る仕事に就いてみたいというような人も実際にいます。そういう人を一般職だからと言って一括りにしてしまっている点は改めるべきだと考えています。これはキリンビールに限らず、日本の企業にとって共通の課題だと思います。

前屋:そのために、キリンビールとしては、どうしようとしているのですか。

藤谷:キリンビールでは、東京を中心とした首都圏と大阪を中心とした近畿圏に、ほとんどの仕事が集中しています。だから地方の小規模支店だと、一般職の女性が1人に営業担当が5、6人というところもあります。そういうところで一般職の女性たちに「能力を向上させろ」と言っても、限界があります。

その時に、内勤だけでなく、例えば、地域のお客様とキリンビールをつなぐような仕事ことはどうでしょうか。現状では支社長や支店長がやっている仕事ですが、一部の場所で権限移譲を受けてやっている人が出始めています。そういう役割を果たしている女性は、社内だけでなく、社外からも非常に高い評価をもらっていますよ。男性が行くよりも、当たりの柔らかい女性が出向くほう喜ばれると思いませんか。(笑)。そのほかにも、一般職の女性がやれる仕事は、いくらでもあるはずだと考えています。にもかかわらず、総合職と一般職の区分けにこだわって、一般職の女性に能力を発揮できる仕事を与えていなかった。それを改めようと考えているところです。

もう一つには、転勤を厭わない一般職の女性には、転勤してキャリアアップできる仕事に就けるようにしたいと考えています。ただ、転居を伴う転勤の経験がない人ばかりですから、チャレンジして転勤してみて、難しいことがあれば元の職場に復帰できるような仕組みが必要かもしれません。さらに、子育ての期間は転居を伴う転勤がないようにする仕組みも必要だと考えています。

仕事に関する能力は、男女の格差は基本的にはありません。しかし、家庭に関する責任は女性の負担が重くなっています。そのあたりも、会社としてケアしていく必要があると考えています。

前屋:そうしたことを含めて、女性の働く環境づくりということで、すでに考えていること、実行していることはありますか。

藤谷:総合職女性社員は、新卒採用後、最初は地方勤務を経験してもらう仕組みを考えているところです。新卒採用の女性の多くが東京で暮らしてきている人たちなので、東京に居れば気分的にも楽だと思います。環境も友だち関係も変わりませんからね。しかし、入社時点の比較的制約条件の少ない時期は地方勤務を経験し、それと逆に、結婚後や子育て時期は東京など勝手がわかっている地域に戻ってもらって仕事してもらうようにすれば良いのではないかと考えています。

前屋:育児支援も重要な問題ですよね。企業内に保育所をつくっている企業も多いようですが、キリンビールはいかがですか。

藤谷:「次世代育成支援対策推進法」に基づく行動計画のなかに、「企業内保育園を検討する」と入れました。これを書いたときには、本社の近くに物件まで探して、本気でつくるつもりでした。ただ検討した結果、自社だけで企業内保育所をもつメリットがとても少ないということがわかってきました。キリンビールは女性社員の数がそれほど多いわけではありませんし、しかも全国に散らばっています。ですから1社だけでやるのではなく、何社かが手を組んでやれば、デメリットも抑えられて成功するように思います。

前屋:キリンビールの人事部としては、やることが、たくさんあるわけですね。

藤谷:これまでの3年間でシステムづくりをやってきましたから、これからの3年間は、そのシステムに「魂」を入れていくことに力を入れていきたいと思っています。

前屋:ありがとうございました。

藤谷淳さん

インタビューを終えて 前屋毅

現在の人事部は、じつに多くのテーマを抱えている。今回の取材をつうじて、そのことを改めて実感した。

若手から管理職、高齢者、そして女性まで、それぞれに人事部として取り組まなければならないテーマがある。しかも、どれもが緊急に答えをださなければいけないものばかりだ。その答えが間違っていれば、企業そのものの力を削ぐことになってしまう。

それは、「人材力の時代」になりつつあることを示してもいる。いくら優秀な人材を採用しても、その能力を「人材力」と呼べるほどに高めていかなければ、それこそ「宝の持ち腐れ」になってしまう。宝は宝として活かしてこそ、その意味がある。それには、そのための方策を考えて答えをだし、実行していける人事部の力こそが必要になってくる。

キリンビールは昔から大手として知られているだけに、古い体質を引きずっていると思われがちだ。しかし今回の取材で、さまざまな人事テーマに積極的に取り組んでいることがわかった。そして高齢者の再雇用や女性の活用が、キリンビールにとっては大きな可能性を秘めていることもわかった。これまで優秀な人材を採用してきたからこそ、それも可能なのだ。宝を、さらに宝として磨きあげることが可能なのである。今もっている宝を、どのように本来の宝として輝かせるのか、それも「人材力の時代」には大事なことになってきている。
(取材は2006年7月7日、東京・中央区のキリンビール本社にて)

まえや・つよし●1954年生まれ。『週刊ポスト』の経済問題メインライターを経て、フリージャーナリストに。企業、経済、政治、社会問題をテーマに、月刊誌、週刊誌、日刊紙などで精力的な執筆を展開している。『全証言 東芝クレーマー事件』『ゴーン革命と日産社員――日本人はダメだったのか?』(いずれも小学館文庫)など著書多数。

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