ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社:
年齢も役職も関係ない。会社を変革したい人が内省を通してリーダーシップを学ぶ
ユニリーバ・ジャパン・Uリーダーシッププログラム(UJUL)とは(前編)
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長
島田由香さん
ユニリーバ・ジャパンで感じた「なぜ一番になれないのか」という課題
実際にユニリーバ・ジャパンに入社されて、どのような印象を持ちましたか。また、課題と感じたことはありましたか。
入社して持った感覚は、「もったいないな」です。ユニリーバ・ジャパンには優秀で、素晴らしい人材が揃っています。一言で言うと「心根」がいい。人をサポートしたい、助けてあげたい、役に立ちたい、と誰もが思っています。それは、私たちが作っている製品が、もともとは一つの石鹸から始まり、以来、世の中を良くしようと130年間続いていることからもわかります。とにかくユニリーバ・ジャパンの人材は優秀で、製品もいい。しかし、なぜ一番になれないのか。それが課題だと思いました。
ビジネスで勝つことは、とても重要です。特にGEにいた時には、そのことを強く感じました。結果を出して勝っているからこそ、できることが増えていきます。勝つことを一度経験すると、見えてくる世界も大きく違ってくる。そこに、人と組織が成長し、勝つことの意味があるのだと思います。私がユニリーバ・ジャパンに入社した2008年当時、利益は出ていましたが、トップラインは伸び悩んでいました。そのような状態の中で私が感じたのは、「この素晴らしい人たちとこの素晴らしい製品で勝ちたい」ということでした。
GEのようなアメリカ企業の意思決定、働き方、物事の進め方と、ユニリーバのような欧州の企業のそれとでは、違いがあります。私はそのことに、しばらくしてから気づきました。どちらが良い・悪いという問題ではありません。スタイルや好み、自分に合うか合わないかの問題だと思います。すると、それまで「遅いな」とか「なかなか決まらないな」と疑問に思っていたことにも、理由があることがわかりました。欧州は、国の集合体です。いろいろな国があり、文化、言語、人種、宗教なども違います。多国籍であるユニリーバの企業としての成り立ちとビジネス展開が、まさにそのことを表しています。
事実、指示命令一つを取っても、一様ではありません。例えば、ユニリーバで「これをやろう」となった時、「『これ』って何だろう?」が最初の議論になります。「これ」に関わる全員が「これ」を理解するまで話をしますので、当然時間がかかります。しかし、話し合いの中で思いもつかなかったような斬新なアイデアが出てくることもあります。よく考えて話し合うことで、全く違うものになっていくこともあります。
このような変化を「また変わった」と取る人もいれば、「より良い方向に、フレキシブルに変化した」と取る人もいるなど、その感覚もそれぞれ異なります。この欧州スタイルの「良さ」が分かった時に、納得がいきました。アメリカと欧州、どちらにも良い点があるのです。私は幸いにも、その両者の文化を経験することができました。今では、ユニリーバ・ジャパンがもともと持っている良さに、GEで感じられたような「やり切る」「勝つ」という要素を加えることで、より良い会社になると考えています。