ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社:
年齢も役職も関係ない。会社を変革したい人が内省を通してリーダーシップを学ぶ
ユニリーバ・ジャパン・Uリーダーシッププログラム(UJUL)とは(前編)
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長
島田由香さん
ユニリーバ・ジャパンは、会社に変革を起こしたい人が変革をリードするためのリーダーシップを学ぶ場「ユニリーバ・ジャパン・Uリーダーシッププログラム」(UJUL)を2014年に導入しました。役職や年齢は一切関係なく、社内公募で集まった有志が数ヵ月をかけて深く内省し、立場を超えた全社的な視点に立って、自分自身と会社の今後を考えるというプログラムです。このように「変革を生み出すリーダーは自分の内側にいる」という、内省を促すプロセスをベースに置いたリーダーシップトレーニングは、あまり例がありません。このプログラムを企画したのは、同社取締役人事総務本部長の島田由香さん。どのような目的でUJULを導入したのか、実際の効果はどうだったのか、また、今後の展開をどのように考えているのか――。『前編』では、UJULを導入するまでの経緯を中心に、島田さんから詳しいお話をうかがいました。
- 島田由香さん
- ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長
しまだ・ゆか●1996年慶応義塾大学(SFC)卒業後、パソナに入社する。2000年コロンビア大学大学院に留学し、02年組織心理学修士を取得後、GEに入社する。08年ユニリーバ・ジャパンへ入社後は、営業部門のHRパートナー、リーダーシップ開発マネジャー、HRダイレクターなどを歴任し、13年取締役人事本部長へと就任する。14年4月より現職。学生時代から人事とモチベーションに対して強い関心を持ち、これまで一貫して人・組織と関係するキャリアを送っている。小学校6年生の息子を持つ一児の母親でもある。
学生時代から、人と組織に関わる人事の仕事がしたかった
最初に、島田さんのこれまでのキャリアについてお聞かせください。
学生時代から人と組織に関することに興味があり、慶応義塾大学(SFC)では企業組織・人事分野の第一人者である花田光世先生のゼミに所属していました。現在、まさに好きなことを仕事にできているので、良い意味で仕事とプライベートの境目がなく、毎日の生活がとても充実しています。
大学を1996年に卒業した後、最初に就職したのが、幅広く人材ビジネスを展開するパソナです。パソナにはベンチャー企業独特の文化があって、本当に自分がやりたい仕事をやらせてもらいました。全て非常によい経験でしたが、中でも、給与計算業務のアウトソーシング会社をジョイントベンチャーで立ち上げた時に出向した経験がとても印象に残っています。パソナには4年間お世話になりました。いろいろと仕事を経験していく中で自分なりに自信もつき、そこにもっとアカデミックな知識や理論を加えて、実務と学問とを融合したいと思うようになりました。次は海外で学ぼうと考え留学を決めた際、ニューヨークにあるコロンビア大学大学院を選んだのは、私が学びたいと考えていた組織心理学の学部があったからです。
2年間の留学経験を経て入社したのがGEです。GEには、6年余り在籍しました。「HRリーダーシッププログラム(HRLP)」を終了した後、最初に本採用となったのが不動産部門の人事でした。ここではOD(組織開発)やHRビジネスパートナーなどを担当しました。また、融資ビジネスではHRリーダーを担当するなど、GEではいろいろな側面から人事の実務・マネジメントを経験することができました。そして2008年8月、ユニリーバ・ジャパンに入社することになったのです。
どうしてユニリーバ・ジャパンで働きたいと思われたのですか。
もともと私の心の中に、消費財メーカーの人事をやりたいという思いがずっとありました。その理由は、大学時代にまでさかのぼります。今でも“モチベーション”は私のライフテーマなのですが、大学生の頃から、とにかく人と組織に関わる仕事をしたいという思いがありました。就職活動では当然、人事部の仕事を目指しましたが、人事はどの企業にも存在するので、一体自分はどのような業種の会社の人事をやりたいのかをいろいろと考えた結果、作っているモノや提供しているサービスが、働く人のモチベーションに関わるようなところがいいと思ったんです。
私はどちらかというと“直感型”の人間だと思います。実は直感というのは、自分自身に対してものすごく多くのメッセージを送っています。その場に実際に立った時どのように感じるかということが、私にとってはとても大事なことなんです。初めてユニリーバ・ジャパンを訪れた時、ちょっとした瞬間に見えた社員の笑顔、廊下を歩いていて感じる雰囲気、取り次いでくれた方の何気ない言葉遣い……そういったものが飾らず、とても自然に感じられ、素直に「いいな、この会社」と思いました。