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越境学習を支援するサービスの導入メリットと種類・選び方・ソリューション企業一覧

越境学習を支援するサービスの導入メリットと種類・選び方

越境学習とは、所属する会社や組織を越え、これまでとは違った環境や機会から学びを得ることをいいます。個人のキャリア開発という観点だけでなく、不確実性の多いビジネス環境に対応できる人材を求める企業側にとっても有益性の高い学習方法であり、積極的に推進する動きが活発化しています。

越境学習が必要とされる背景やメリットを整理するとともに、越境学習を支援するサービスの種類や選び方・比較ポイントを紹介します。

1:越境学習とは

越境学習とは、所属している組織の枠組みを越え、異なる環境に身を置くことで新たな学びや視点を習得することをいいます。

具体的には、社外のセミナーや勉強会への参加、ボランティア活動、地方創生への参加、副業などの方法があり、自宅でも勤務先でもないサードプレイスでの交流や体験を通じて学びを得ることができます。

越境学習を通じて、所属する職場だけでは習得できない知見・ノウハウを獲得できることから、人材育成の一環としても注目が集まっています。

2022年3月に発刊された『越境学習入門』などの著書を持つ、法政大学大学院教授の石山恒貴氏は、越境学習を「自分にとってのホームとアウェイを行き来することによる学び」と定義しています。

1-1:越境学習が必要とされる背景

企業が越境学習に注目する理由として、大きく二つの点が挙げられます。

一つ目は、VUCA時代(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)といわれる今、自ら課題を発見し、事業・組織を変革していく従業員が強く求められていることです。

越境学習は、慣れ親しんだ職場から離れ、まったく異なる環境に身を置くことで自身の強みや個性を生かすことを学ぶ方法です。従業員のキャリア自律を進めるうえでも、その効果に注目が集まっています。

二つ目は、従来型の人材育成の手法では習得できない知見・ノウハウを得られることです。これまでの人材育成ではOJT(On The Job Training)またはOFF-JT(Off The Job Training)が主流でしたが、同じ職場に属する従業員同士では、新たな気づきや革新的な着想を得ることが難しいという側面があります。

越境学習によって、社外で得た新たな価値観やアイデアを社内に持ち込めるという点にも期待が集まっています。

経済産業省も越境学習を推進しており、NPOの現場で社会課題に向き合う「未来の教室」事業を実施しています。

経済産業省が主導し、令和元年度「大企業人材等新規事業創造支援事業費補助金(中小企業新事業創出促進対策事業)」事業の一環として、「越境体験ルーブリック&スタートアップ出向モデル契約書」が作成されました。ルーブリックは、企業が越境体験を導入するにあたって留意・工夫すべき点や、実際に越境体験をする際に学びとなる要素をまとめ、評価指標として整理したものです。また、スタートアップ出向モデル契約書は、大企業の人材の育成を目的として、スタートアップ企業に在籍型出向をさせるケースを前提に、出向契約において定めておくべき主な条項の例を示したものです。

このルーブリックやモデル契約書の作成にあたっては、越境学習を支援するサービスを提供している企業数社が協力しました。

このようなことからも、人材育成における越境学習への世の中の期待がわかります。

越境学習イメージ

1-2:越境学習に取り組むメリット

越境学習に取り組むことで、企業・従業員の双方にメリットがもたらされます。

企業側のメリット
  • 自社にないノウハウや視点、情報を獲得することで、事業や組織の競争力強化につながる
  • 若手世代の経験値を高めることにくわえ、ミドル・シニア世代が新たな知見・価値観を習得する機会となる
  • 従業員のエンゲージメントが高まり、定着率の向上が期待できる
従業員側のメリット
  • 既存の職場に所属しながら新しいことに挑戦できる
  • スキル・ノウハウの棚卸しができ、自分自身の可能性を知る機会になる
  • 仕事や働き方について考える機会を得ることで視野が広がる

日本の人事部 人事白書』の2022年版では、「越境学習」について調査しています。越境学習を行っている企業に「その効果」を自由記述形式で聞いたところ、主に以下のような声が挙がりました。

  • 外部組織で意識が高まった社員が社内のロールモデルとなり、多くの社員に影響を与えている
  • 優秀人材のリテンションにつながっている
  • 常に市場や他社、外部環境などを意識する視座・視点が身についた
  • ベンチャー企業で意思決定のスピード、責任の重さを体験できている

2:越境学習を支援するサービスの種類

越境学習の効果に期待が寄せられる中、さまざまな支援サービスが登場しています。

2-1:副業・複業支援

副業とは、本業以外の就労のことです。複業は、複数の仕事を持つことをいいます。従業員の副業・複業支援では、従業員の意向やスキル・ノウハウを生かしながらマッチングするサービスが数多く提供されています。

本業で得たスキルを生かして働くケースと、まったく異なる業界・職種を経験しながら能力開発に取り組んでいくケースがあります。昨今は収入増を目的とするだけでなく、本業以外の仕事を通じてスキルアップやキャリア形成をしたいというニーズが増えており、副業・複業のあり方も広がっています。

副業を支援するサービスは、副業人材のマッチングサービスと、副業する従業員を支えるサービスとに大別されます。副業人材のマッチングサービスには、「再委託型」「あっせん型」「プラットフォーム型」「メディア型」などがあります。副業する従業員を支えるサービスは、「バックオフィス支援」「コミュニティ支援」などがあります。

2-2:レンタル移籍

レンタル移籍とは、他の企業に人材がレンタルとして移籍することをいいます。移籍させる企業側は、従業員に社内では得られない経験を積んでもらうことで人材育成につながるメリットを得られます。一方、人材を借りる側は、リソース確保やノウハウの獲得によって事業を強化できる点がメリットです。

現在は、大企業がベンチャー企業に一定期間レンタル移籍するケースが多く見られます。移籍期間は6ヵ月から1年というケースが多いようです。レンタル移籍のサービスでは、こうした企業間のマッチングを支援しています。単にマッチングさせるだけではなく、レンタル移籍を実施する前、実施している最中、実施した後という全てのプロセスにおいて移籍元、移籍先双方に対して手厚いサポートを行い、伴走するサービスも出てきています。

2-3:プロボノ

プロボノとは、知識・スキルや専門性などを生かして行うボランティア活動のことです。通常は数日間から数ヵ月間にわたって、NPO法人や自治体などで活動します。具体的には、災害の復興支援や地域の交流イベントなどがあります。

プロボノではさまざまな専門性が求められ、企画・マーケティングや広報、営業、バックオフィス系、システム開発、各種有資格者など多様な人材が活躍しています。プロボノの支援サービスでは、こうした人材と非営利団体や自治体をつなぐコーディネートを行っています。

2-4:地域協働

地域貢献や地方創生への参画も越境学習の一つです。地域と協働しながら地方や社会が抱える課題と向き合い、解決に向けて取り組んでいきます。

支援サービスの代表的なものとして、ワーケーションがあります。ワーケーションには余暇を楽しみながら仕事の効率を上げていくという考え方もありますが、地域で一定期間働くことを主目的としたスタイルもあります。

越境学習においては後者であり、地域に滞在しながら地域事業に参画します。支援サービスでは、ワーケーションのプログラムなどが提供されています。

2-5:留職

留職とは、一定期間、新興国で働くことをいいます。現地の社会課題に向き合うことで視野を広げたり、価値観の変容をもたらしたりといった効果が期待されます。また、現地での体験を通じて、グローバル人材や次世代リーダーの育成につながります。支援サービスでは、現地と企業をつなぎ、派遣先を紹介してくれるなどのコーディネートを行っています。現在はコロナ禍により、新興国への派遣が難しくなっていますが、「国内留職プログラム」が新たに提供されるケースが出てきています。

※「留職」は特定非営利活動法人クロスフィールズの登録商標です。

2-6:異業種交流研修

さまざまな業種・業界の人材と交流できる場をつくるサービスも提供されています。具体的には、共通するテーマについての研修・勉強会や討論などが行われており、新規事業を企画するといったプログラムも提供されています。

普段の仕事では接触することのない人材と交流することで、情報収集や、新たな気づきを得ることができます。また、人脈が広がることでビジネスに還元されるというメリットも期待できます。

また、「キャリア開発研修プログラム」を提供する研修会社が、その一環として越境学習プログラムを提供しているケースもあります。

越境人事制度イメージ

3:越境学習を支援するサービスの直近トレンド

越境学習という言葉は古くからあるものではありませんが、かつて異なる環境での学びといえば、従業員が自身のキャリア形成や自己啓発を目的に社外の勉強会に参加するといった方法が主流でした。

しかし、ビジネスを取り巻く環境の変化に応じて、企業が越境学習による人材育成の効果に注目するようになったことを受け、越境学習を支援するサービスの内容が拡充しています。たとえば、単なる異文化交流ではなく、学習の成果に着目したプログラムが提供されるなど、従業員と企業の双方にメリットがもたらされる仕組みが目立ちます。

また、人材を受け入れる側も人手不足・スキル不足を課題としているケースが多いため、マッチングする範囲が広がっているのも昨今のトレンドです。

コロナ禍においても、越境学習のニーズは増え続けています。ニューノーマルの時代に適した事業を創出したり、既存事業を変革したりするうえで、自社以外から得る知見が頼りになります。昨今では従業員が新しいスキルを身につける「リスキリング」も注目されています。企業がリスキリングを目的として従業員にさまざまな体験をさせ、自社では得にくい新たなスキルを獲得させる動きもあります。

4:越境学習を支援するサービスの選び方・比較ポイント

サービスを検討する際の比較ポイントを解説します。

4-1:越境の目的にマッチしているか

越境学習を支援するサービスは多岐にわたるため、まずは実施する目的や期待する成果を明確にし、それにマッチするかどうかを検討する必要があります。そもそも自社がどんな人材を育成したいのかなどから考えることが重要でしょう。

越境学習によって得られる成果は、大きくはスキル・ノウハウの獲得と、思考・視野の広がりに分けることができます。以下の観点を参考に、検討を進めるとよいでしょう。

スキル・ノウハウ
  • 新たなスキル・ノウハウ、情報を獲得できるか
  • 課題解決の力が身につくか
  • 協働する力が身につくか など
思考・視野
  • 自己スキルの棚卸ができるか
  • 新たな気づき・視点を獲得できるか など

目的によりますが、越境学習の本来の目的から考えると、一般的には自社からなるべく「遠い」「非連続な」組織へ従業員を越境させることが重要だと言えます。自社となるべく異なる業態、環境、仕事内容の中に身を置くことで、本来の越境学習の成果が得られるからです。そのような組織を案内してくれるという意味でも、越境学習支援サービスを利用するのは有効です。

4-2:深く接点を持てるか

越境学習のメリットは、社外の人との交流を通じて学びを得られることです。どのような人材と関われるのか、どの程度深く接点を持てるのかという点も越境学習を有意義なものにするポイントです。支援サービスを選ぶ際は、接点の深さやプロジェクトへの関わりの深さも確認することが必要です。

4-3:十分な時間を確保できるか

越境学習には短期間のものと、ある程度の期間を要するものがあります。業務が忙しい中では、短時間で効率的な内容を考えがちですが、社外という環境の中で成果を得るには、ある程度の時間が必要となる場合が少なくありません。

実施目的や目指すゴールに合わせて、成果を得るために十分な時間となっているかどうかも確認すべきポイントの一つです。

4-4:本人の意向に沿っているか

越境学習は、従業員自身が自発的に取り組むことで成果につながるものです。企業側が一方的に進めてしまうと「やらされ感」が生じてしまい、失敗に終わることが懸念されます。支援サービスを選ぶ際は、従業員の意向や志望理由も確認したうえで進めることが成功のポイントです。

5:越境学習を支援するサービスを提供するソリューション企業一覧

企業名 サービス名
株式会社ANOBAKA Human Capital スタートアップ留学”CROSS WORK”
welp株式会社 ワークシェアプラットフォーム「Ainote(アイノテ)」
エッセンス株式会社 他社留学事業(留学研修サービス)
株式会社エンファクトリー 越境型研修サービス「複業留学」
NPO法人クロスフィールズ 留職プログラム
Dialogue for Everyone株式会社 ミドルシニア社員向け体験型キャリア研修
特定非営利活動法人 二枚目の名刺 サポートプロジェクト
株式会社ライフワークス キャリア越境学習プログラム
株式会社ローンディール LoanDEAL(レンタル移籍)
outsight

6:越境学習は現場での実践・体験を通じて多くのことを学べる方法

社外の環境に身を置くことで、社内では得られない能力を習得し、視野を身につけることができます。越境学習は、企業と従業員の双方に多くのメリットをもたらす、従来の人材育成とは一線を画す手法といえます。現場での実践・体験から学べることは多く、イノベーション創出やグローバリゼーションが求められる現在のビジネスにおいて、ニーズが高まりつつあります。まずは自社でどのような人材を育成したいのかをあらためて考え、育成の目的に合った越境学習が可能なサービスを選ぶことが必要です。

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