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日本の人事部「HRアワード2021」受賞者インタビュー
企業人事部門 最優秀個人賞 受賞
人事としての価値観をアップデート!
社員一人ひとりの声を聴き、心を動かし、
人と組織を成長させていく人事リーダーの仕事観とは

グーグル合同会社 執行役員 人事本部長

谷本 美穂さん

谷本美穂さん(グーグル合同会社 執行役員 人事本部長)

日本の人事部「HRアワード2021」企業人事部門 最優秀個人賞に輝いた、グーグル合同会社 執行役員 人事本部長の谷本美穂さん。18年にわたりGEにてグローバルリーダーシップと組織開発をけん引してきた経験をもとに、2018年からはグーグルでイノベーションを起こす組織づくりを推進されています。「HRカンファレンス」にもたびたび登壇され、人事のオピニオンリーダーとして知られる谷本さんに、これまでのキャリアの軌跡やコロナ禍でのグーグルの取り組み、人事という仕事への思いをうかがいました。

「HRアワード2021」の受賞結果はこちら

プロフィール
谷本 美穂さん
グーグル合同会社 執行役員 人事本部長

たにもと・みほ/慶應義塾大学卒業後、人材サービス会社を経て2000年GEに入社。さまざまな産業において戦略人事、組織開発、リーダーシップ開発に携わり、一貫してグローバルリーダー育成とビジネスに寄り添い変革を起こす人事パートナーを志向してきた。日本と米国での勤務経験をもち、GEでは米国グローバル本社にて次世代人事リーダー育成プログラムの責任者をつとめた。2016 年よりGEジャパン株式会社 執行役員 人事部長、デジタルカルチャーへの変革を推進する。2018年より現職。イノベーションを起こす組織づくりを推進する。

原動力は「人の心を動かす人事になりたい」という思い

「HRアワード」企業人事部門 最優秀個人賞の受賞、おめでとうございます。まずは受賞されたご感想をお聞かせください。

大変驚きました。「本当に私でいいのでしょうか……」というのが率直な感想なのですが、コロナ禍で多くの企業がリモートワークを導入し、人事の方々の働き方も変わるなかで、このような賞をいただけたのはとても感慨深いですし、光栄だと思っています。

「HRカンファレンス」などに登壇させていただき、「リモートワークでも生産性は落ちません」「これからの時代に求められるのは“人を信頼して任せる働き方”です」「働く場所が離れていても、つながりを持つことはできます」といったメッセージを発信してきたことが、少しでも皆さんに伝わり、お役に立てたのであれば、これほどうれしいことはありません。

谷本さんの「人事の仕事への向き合い方」が、多くの方の共感を呼んだように思います。あらためて、人事の仕事に対して、どのような姿勢や思いを持っていらっしゃるのかをお聞かせください。

今回、このようなインタビューの機会をいただいて、自分なりに考えてみました。振り返ってみると、私はずっと「人の心を動かす人事になりたい」という思いで、人事の仕事に向き合ってきたように感じます。多くの人と関わってきて心底思うのは、誰もが「貢献したい」という思いを持っていることです。自分が役に立てば喜びを感じるし、認められたらうれしい。一人ひとりの「貢献したい」という気持ちを引き出せるような組織をつくっていきたいし、それこそが人事の役割だと考えています。

「人の心を動かす人事になりたい」と思うようになったきっかけは、何だったのでしょうか。

私自身がキャリアを積み重ねていくなかで、自然とそう思うようになりました。実は私は、もともと自分に自信があるタイプではないんです。学生時代には、女性が長く働いてキャリアを築いていくイメージも持っていませんでした。

ところが、いざ社会人になって仕事をはじめたら、想像以上にビジネスが面白いことに気づいたんです。また、組織に集まる人たちは、みんなそれぞれに「思い」を持っていることを知りました。

ただ同時に、社内の人事の仕組みや制度、リーダーのマネジメントに対して、何か一言物申したいと思っている人も多かった。それが、もったいないなと感じたんです。ここにいる人たちの“貢献したい”という意欲を引き出せるような組織がつくれたら、もっと大きなパワーを生めるのにと。それで、「人と組織を通じてビジネスを成長させることに貢献していきたい」と人事のキャリアを志すようになりました。

GEには、戦略人事ができるようになりたくて入社しました。コンサルタント出身でもない私が戦略なんて描けるのかと最初は不安でしたが、GEでは人事こそが思いを持って組織の変革をリードする、そして戦略人事とは、綺麗なプランを紙に描くのではなく人のやる気を出すことが大事、という思想を学びました。変革には人の行動が変わることが必要で、人は心動かなければ行動も変わらない、と気がつきました。以来、「人の思いを大事にして心を動かしていく人事になりたい」と思うようになりました。

谷本美穂さん(グーグル合同会社 執行役員 人事本部長)インタビュー風景

リーダーを育てたいのなら、まずは人事がリーダーシップを発揮すべき

これまでのキャリアにおいて、人事として転機になったことがあればお聞かせください。

2000年にGEに入社し、本当にいろいろなチャレンジをさせてもらいました。転機になったのはGEに入社して10年目のタイミング。GEジャパングループ全体の組織開発・人材開発をリードしていくジョブに空きが出て、立候補し、リーダーになったんです。まさに人の心を動かし、一人ひとりがいきいきと働ける組織をつくっていくというミッションに、初めて真正面から取り組んだ日々でした。

GEには、「リーダーシップとはリーダーのみならず全社員が発揮するもの」という考え方が根づいています。組織開発リーダーとして、グローバルリーダーを育てるプログラムづくりを担ったときには、これまでにないほど「リーダーシップとは何か」を考え、探求しました。このときに得た学びは、今も私の礎となっています。

得た学びとは、どのようなものだったのでしょうか。

たとえば、リーダーシップとは生まれ持ったスキルではなく、誰もが後天的に学び、磨いていけるものであること。ただし、単に学んだり、仕事をしたりするのではなく、意図的に何かにチャレンジする必要があること。そのためにも、まず自分自身がどんな人間で、何に突き動かされ、どんなリーダーになっていきたいかといった自己認識や、ありたい姿を描くことが大事であることなどです。

加えて「リーダーは人をリードする前に、自分自身をリードしていかなければならない」ということを学びました。そしてふと、思ったんですね。人事としてグローバルリーダーを育てたいと思うのであれば、まずは自分自身がリーダーシップの旅に出るべきではないかと。そこで、アメリカ本社で働く決意をしました。世界中からGEの次世代人事リーダーを集め、育てる「HRリーダーシッププログラム」を率いていくグローバルマネージャーのジョブに手を挙げたのです。

ただ、アメリカにわたる決意をした当時、すでに結婚をしていましたから、自分の都合でパートナーの人生を変えていいのかという葛藤はありました。でもそんなとき、GEには大切な言葉をプレゼントしてくれるリーダーがいるんです。このときは「リスクを取らないところにブレークスルーはない」と上司が言ってくれました。この言葉に背中を押されて、挑戦することにしたんです。

アメリカ本社で過ごした3年間は、私にとってまさに転機でした。HRリーダーシッププログラム」は、約30ヵ国から100名規模が集まるプログラムです。このプログラムをさらにグローバル化させようと、世界中の人事リーダーと議論しながら仕事をしていました。実に多様な人たちが集まって、それぞれの知恵を持ち寄りながら同じミッションに向かって力を尽くす。多様な知恵が集まれば、こんなにすばらしいことができるんだと実感した3年間でもありました。

谷本美穂さん(グーグル合同会社 執行役員 人事本部長)インタビュー風景

今でも覚えている出来事があります。アメリカ本社ではトップスクールからプログラム生を採用するのですが、その採用プロセスを設計するのもグローバルマネージャーの仕事でした。この採用プロセスに新しいやり方を取り入れようと、私がちょっと思い切った提案をしたときのことです。私に注がれる視線は決して賛同ばかりではありません。そもそもグローバルマネージャーに日本人が就任するのは初めてのこと。アメリカの事情に詳しくない日本人がファシリテートすることに、不安を抱いていた人もいたでしょう。

そんな空気を破るように、ある人が「やってみなきゃ、わからないじゃないか。やってみようよ。私はサポートしますよ、美穂さん」と言ってくれたんです。その瞬間、チームの雰囲気が一変しました。

私はこのとき、「これこそがリーダーシップだ」と心底思いました。みんなが困っているときにポジティブな促しをする。周囲をはっとさせるひと言を、勇気を持って伝える。リーダーシップというのは、立場や役割ではない。一人ひとりの一瞬の行動にあるんだと、あらためて感じた出来事でした。

コロナ禍でグーグルが注力する「ウェルビーイング」と「つながり」

谷本さんは2018年にグーグルに入社され、現在は、人事本部長を務めていらっしゃいます。グーグルは「心理的安全性を重視した組織づくり」や「エンゲージメント高く、いきいきと働ける職場づくり」など、人事面での取り組みで注目されていますね。

はい。私は人事として、組織開発の領域が好きで、ずっと取り組んできたわけですが、グーグルは組織カルチャーに力を入れている企業です。

そして、グーグルの組織カルチャーが一貫して大事にしているのが「みんなで一緒に」という考え方です。だからこそ人事は、社員の声に耳を傾け、意見を尊重し、盛り上げていく役割を担います。みんなの思いを乗せて組織をつくっていくことを、何よりも重視しています。

社員やチームのパフォーマンスを向上させるために、どんな取り組みを行われているのでしょうか。

グーグルには「ワーク・フロム・ホーム サーベイ」と呼ばれている、在宅勤務者に対するサーベイがあります。コロナ禍で、日本でも独自のサーベイをつくり、みんなの声を収集しました。サーベイの内容は「心理的安全性をどのように感じているか」や「人とのつながりが感じられるか」など。データからはいくつか課題が見えてきていて、現在は、二つのテーマでさまざまな取り組みを行っています。

一つ目のテーマは「ウェルビーイング」です。ウェルビーイングの重要性をリーダー自ら発信していこう、その頻度をあげていこうとしています。また、ウェルビーイングの解釈も人によって差がありますから、「そもそも自分にとってのウェルビーイングとは何か?」を考え、意識づけしていくようなセッションを企画運営しています。

二つ目のテーマは「つながり」です。リモートワークが増えると、どうしてもつながりが希薄になってしまいます。当社には「Googler-to-Googler」と呼ばれる社員が社員に教える仕組みがあるのですが、今月を「ラーニング月間」と称して、学び合いを促進しています。あらためて心理的安全性について考えたり、隣のセクションの話を聞いてみたり、今さら聞けない〇〇というテーマでセッションを開いたり。学び合いを通して、みんなをつなげるという企画です。

グーグルの人事は「社員の声をよく聴くこと」を大事にしていると話されていました。しかし社員数が増えていくと、一人ひとりの声に耳を傾けることは大変ですね。

グーグルでは心理的安全性を謳っていて、「一人ひとりの声が大事です」「皆さんの声を聞かせてください」と強く伝えています。ただ、それは覚悟がいることなんです。どんな声があがってきたとしても受けとめる、ということですから。

たとえばコロナ禍では、社員に向けた広報をライブ配信で行ってきました。そのライブ配信は1000人単位の人が視聴していて、必ず質問を受けつけるんです。どんな意見や質問にもまずは「伝えてくれて、ありがとう」「声をあげてくれたことに、まず感謝」というスタンスで受けとめます。質問にはすぐに回答し、判断できないことは「後ほどお答えします」と伝えて、必ずフォローします。

人事が社員一人ひとりをリスペクトし、個々の意見を丁重に扱っている姿勢が伝わると、みんな、意見を隠さずに教えてくれるようになります。この「言いたいことを言える雰囲気をつくる」ということが大切です。たくさん意見が出てくると対応が大変ですし、そのうち何%かはネガティブな発言もあるわけですが、不思議なもので、包み隠さずにきちんと意見を言ってもらったほうが、最終的には議論がよりポジティブな方向に進みます。

結局、まずは信じてみることが大事なのだと思います。私がいつも自分に言い聞かせているのは、「人は誰でも貢献したいと思っている」ということ。たとえば、相手の言い方にトゲがあったとしても、そうさせているのは何なのだろうと考えます。心の奥に、本当はもっと伝えたい、もやもやした感情を抱えているのかもしれない。この人はどういう思いで、こんな発言をしているんだろうと、一歩ふみこんで考えてみるんです。そのためにも先入観を持たずに、社員の声を聴くことからすべては始まります。

谷本美穂さん(グーグル合同会社 執行役員 人事本部長)インタビュー風景

一日にして生まれる、心理的安全性も多様性もない

グーグルが人事面でこれから注力していきたいことや、現在抱えている課題について教えていただけますか。

いまグーグル日本法人は、急拡大をしています。個々人の自主性を重んじるカルチャーを大事にしながらも、一方で大企業としてどうスケールしていくかを考えなければならない転換期にあると捉えています。

たとえば、グーグルが大事にしている多様性についても、組織が大きくなるにつれて言葉だけが独り歩きしてしまわないようにしなければなりません。人事が、きちんと意味づけをしていく必要があると考えています。

たとえば、当社ではD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)ではなく、DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)と言っています。Dはダイバーシティ(Diversity=多様性)、Eはエクイティ(Equity=公平)、Iはインクルージョン(Inclusion=包容、受容)をあらわしています。インクルージョンをもう一歩深く掘りさげて、「ビロンギング(Belonging=一体感や帰属意識)」をキーワードに、「帰属意識を持てる組織とは?」「本当の意味でのインクルージョンとは?」と一つひとつ考え、再定義し、適したプログラムをつくろうとしているんです。

「Work@Google20%」も、DEIを進化させていくための施策の一つ。全国の自治体・パートナー企業の人材を受け入れ、週1〜2日、グーグルで働いていただくという取り組みです。実務を通じて「デジタルスキル」「働き方」「企業文化の重要性」「DEI」などを学んでもらい、日本全体のデジタルトランスフォメーション促進をサポートしたいと考えています。

これは、私たちグーグルの社員にとっても、いい刺激となっています。異なるカルチャーに触れることで学べることはたくさんありますし、私たち自身のカルチャーの個性や価値観にあらためて気づくきっかけになっています。

時折、「グーグルだから、心理的安全性や多様性を実現できるんですよね?」などと言われるのですが、自然発生的に生まれるものは一つもありません。また、グーグルの組織が理想を体現している“完成形”だともまったく思っていません。

心理的安全性や多様性を獲得するためには、地道なプロセスが必要です。なぜ、心理的安全性が必要なのか。なぜ多様性が大事なのか。一つひとつに真正面から向き合い、一生懸命に考え、組織に語りかけ、みんなで議論し、みんなで腹落ちしていく。その本質は、「グーグルだから」ではなくどの企業、どの組織でも同じだと思っています。

自律した社員を育て、個を生かす組織づくりに欠かせない、「管理しない」姿勢

谷本さんは、現在の日本企業の人事部が抱えている課題とは何だとお考えですか。

他社の人事の方から「どうすれば個を大事にする組織にできますか?」とよく相談されます。今は自律した社員を育てていき、個を生かした組織に日本企業が変わっていく転換期にあるのでしょう。

私がお伝えしているメッセージはシンプルで、「社員を管理しない」ことに尽きます。GEもグーグルもそうなんですが、そもそも人事には人事権がありませんし、社員を管理するという発想自体がありませんでした。

会社が掲げるビジョンやミッション、追いかけている目標をきちんと透明性を持って共有する。それにひもづいた、それぞれのジョブのミッションや役割を明確にする。ミッションや目標の実現に向けてどう会社に貢献できるのか、貢献していけるのかを社員自身に考えてもらう。それを上司と話し合い、実践してもらう。その実践のやり方は100%、社員に委ね、信頼する。だから、どこで何時からどのように仕事をしてもかまわない。貢献というアウトプットを持って評価する。これだけのことなんです。

リモートワークを導入した企業では、遠隔から社員を管理しづらいことに戸惑いを感じている方も多いと聞きます。

管理することこそ人事の役割だと捉えて、長くやってこられた方もいますよね。それが主流だった時代では、そのやり方でよかったのだと思います。

しかし、いかに新しい価値を創造していけるかがカギとなる現代では、トップダウンで生まれるものには限りがあります。みんなのいろいろなアイデアや意見をいかに引き出して、生かせるかが組織の力になる。だからこそ、社員を管理せずに、自律と成長を促したいと考えている人事の方が増えているのではないでしょうか。オーナーシップを持って、社員が自分で自身のキャリアを探求していく必要があります。その仕組みをつくって、支援していくことが人事の役割だと思います。

「そうは言っても、うちの社員は管理されるほうが好きなんですよ」と他社の人事の方に言われることがあります。そんなときは「本当にそうですか?」といつも聞き返しています。

グーグルだから、外資系だから特別ということはないはずです。グーグル日本法人の社員の7割は日本人ですし、前職で管理型の日本企業に勤めていた人も多くいます。それでも、「自分のやりたいことや意見が尊重される」「自分で自身の将来を切り開いていかなければならない」環境に身を置くと、そのことをポジティブに捉えて成長していきます。だから私自身は、管理されるほうが好きという意見には懐疑的で、会社側の仕組みの問題なのではないかと考えています。

谷本美穂さん(グーグル合同会社 執行役員 人事本部長)「HRアワード2021」表彰式の様子

「HRアワード2021」表彰式での谷本さん

最後に、人事の方々へのメッセージをお願いします。

私は、人事という仕事を、本当にすばらしい専門職だと思っています。人の“貢献したい”という気持ちや、一人ひとりが“大事にしている思い”に寄り添える仕事ですから。人生の最後に残るのは、地位やお金ではなくて、どんなふうに生きがいを感じられたかだと思います。人事は、人にとってとても大切な、働きがいや生きがい、成長に寄り添って貢献できる、すばらしいプロフェッショナルな仕事だと思うんです。

グローバルでは、人事の仕事というのは追求しがいのあるプロフェッショナルな仕事として認められていて、何十年も人事を続けている人が大勢います。常に学び、常に現場に立っている人たちから出てくるアイデアは新しく、価値あるものです。日本の人事にも、そんなプロフェッショナルな人たちが増えてほしいですし、プロであることにもっと自覚的になることが重要なのではないかと感じます。

どの仕事にもいえることですが、人事の仕事でもルーティンな作業はデジタル化されたり、自動化されたりして、いずれなくなっていくと思います。たとえば、以前は私も、エンプロイー・サーベイを行ったあとに、夜な夜なデータを集計したり、報告資料をまとめたりしていました。しかしグーグルに入社すると、ボタンを一つ押すだけでサマリーができる。作業は3分で終わって、すぐにビジネスに展開できます。

これまでに費やしていた資料作成のようなオペレーショナルな時間はどんどん自動化されていくでしょう。では、人事に残る仕事とは何なのか。私は、結局は「組織開発」ではないかと考えています。いかにリーダーに寄り添いながら、人と組織を強くしていけるか。その戦略設計や実践をどう行っていくか。コーチングやアセスメント、育成がより大事になっていくでしょうし、人事担当者自身のリーダーシップも問われていくと思います。

あらためて人事の価値を捉えなおし、組織の中でひときわリーダーシップを発揮する人事が増えたら。社員一人ひとりの思いを大切にしながら、人と組織を動かしていく人事が増えたら……。日本の企業も組織も社会も、明るくすることができると私は信じています。

(取材日:2021年10月25日)

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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この記事ジャンル 戦略人事

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