慶弔見舞金の実態 ――結婚、出産祝金の支給状況

『労政時報』が実施した「慶弔見舞金、休暇制度に関する実態調査」の結果から、慶弔見舞金、中でも結婚、出産などの祝金について、会社・共済会の給付主体別に支給状況や水準を取り上げます。

会社では9割が制度あり

まず制度の有無について調べたところ、会社では、88.3%とほとんどが慶弔見舞金制度を有しています。規模が小さいほどその割合は高く、1000人以上の79.7%に対し、300人未満では95.2%となっています。なお、大手企業の場合は、共済会を設置してそちらに慶弔見舞金の支給を任せるケースも多いものとみられます。

共済会については、49.8%とほぼ半数が「共済会はない」と回答しています。共済会がある場合には、慶弔見舞金制度を有するところがほとんどです。

なお、この調査では労働組合からの支給については調べていません。

図表1 慶弔見舞金制度の有無(会社)
【図表1】慶弔見舞金制度の有無(会社)

[注] 社員本人の死亡時に保険を利用した高額の弔慰金は支給されるが、慶弔関係の支給はこれのみで、家族に対する弔慰金やその他の祝金等が不支給の場合は「制度なし」とした。

初婚の本人祝金の平均額は会社3万8759円、共済会2万9939円

初婚の場合の本人結婚祝金について尋ねたところ、会社92.6%、共済会92.2%とほとんどが祝金を支給しています。規模別にみると、1000人以上では会社83.1%、共済会87.8%と、1000人未満規模に比べ支給割合が低くなっています。

支給する場合、会社では勤続年数により金額を設定しているところが53.5%と半数超を占めます。一方共済会では、入会年数にかかわらず一律定額のところが59.6%で主流。

祝金の水準をみると、会社、共済会とも最低1万円から最高20万円まで幅広い分布状況ですが、会社では「3万円台」、共済会では「2万円台」が最も多くみられます。平均は会社が3万8759円、共済会が2万9939円です。

再婚した場合にも祝金を支給する企業は、会社で78.1%、共済会で75.3%。支給内容は「初婚と同額」が主流で、「初婚とは異なる額」の場合は“初婚の半額”とするケースが比較的多くなっています。

祝金の水準は、「初婚と同額」とするケースで会社が平均3万8788円、共済会が2万5488円。会社については、初婚の場合の祝金と変わらない水準です。一方、「初婚とは異なる額」とするケースでは、会社が平均1万8974円、共済会が2万526円で、「1万円台」が最多です。

再婚した場合にも祝金を支給する企業は、会社で78.1%、共済会で75.3%。支給内容は「初婚と同額」が主流で、「初婚とは異なる額」の場合は“初婚の半額”とするケースが比較的多くなっています。

なお、「初婚と同額」と「初婚とは異なる額」の平均値を各集計企業数でウエートづけ加重平均したところ、会社3万1429円、共済会2万3917円となりました。

【表2】本人結婚祝金(初婚の場合) (社),% -
区分 会社 共済会
合計 (137)
100.0
(82)
100.0
1万円台 4.4 19.5
2万 〃 12.4 35.4
3万 〃 49.6 23.2
4万 〃 1.5 1.2
5万 〃 22.6 15.9
6万 〃 2.2
7万 〃 0.7 1.2
8万 〃 0.7 1.2
9万 〃
10万円以上 5.8 2.4
平均(円) 38,759 29,939
最高(〃) 200,000 200,000
最低(〃) 10,000 10,000

[注] 集計要領は以下のとおり。
1)勤続(在会)年数の区分がある場合→勤続3年
2)職級・資格の区分がある場合→非役付一般従業員
3)総合職、一般職など職掌の区分がある場合→総合職
4)品物を贈る場合でも、“○○円相当”など金額が明らかなものは集計に含めた。
5)その他合理的範囲内で金額の確定できるものは集計に含めたが、不確定なものは除外した(図表3も同じ)。

本人出産祝金は「1万円台」が過半数

本人が出産した場合の祝金については、会社では84.5%、共済会では90.2%が支給。会社の場合、300人以上規模での支給企業は8割超、300人未満規模では9割と、支給割合にやや格差がみられます。規模の大きい企業では、共済会のほうで支給するケースもあるためとみられます。

祝金を支給する場合、第2子以降については「第1子と同額を支給」が8割台で主流。「第1子よりも減額支給」は会社で12.3%、共済会で9.0%ですが、その場合は“第1子1万円、第2子以降5000円”“第1子2万円、第2子以降1万円”というように第1子の半額とするケースが散見されました。また、支給人数の制限の有無を併せて聞いていますが、「制限なし」がほとんどです。よって、支給人数の制限がなく、子供の出生順による金額差もない企業が多いといえます。

祝金の水準を第1子の場合についてみると、会社、共済会とも分布は「1万円台」が過半数です。平均額は会社が2万868円、共済会が1万4966円。なお、会社の場合は100万円と高額な企業が1社あるため、平均値が引き上がっています。この100万円の企業を除くと、最高額は10万円(3社)となり、平均額は1万4384円で共済会と変わらない水準になります。

配偶者の出産についてもみておきましょう。祝金支給企業は会社で82.8%、共済会で90.1%と本人出産の場合と大差なく、支給内容も「本人出産と取り扱い・金額とも同じ」がほとんどです(共済会では100%)。

【図表3】本人出産祝金(第1子の場合)- (社),% -
区分 会社 共済会
合計 (152)
100.0
(87)
100.0
1万円未満 17.8 17.2
1万円台 57.9 52.9
2万〃 13.2 21.8
3万〃 6.6 4.6
4万円以上 4.6 3.4
平均(円) 20,868 14,966
最高(〃) 1,000,000 1,000,000
最低(〃) 3,000 3,000

[注] 集計要領は以下のとおり。
1)勤続(在会)年数の区分がある場合→勤続3年
2)職級・資格の区分がある場合→非役付一般従業員
3)祝金とは別に支給される“次世代育成支援金”は集計から除外した

注) *ここでは、労務行政研究所が2006年11月6日から12月4日にかけて、全国の上場企業3766社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)349社の合計4115社を対象として(回答があったのは213社)行った調査をもとに、「日本の人事部」編集部が一部をピックアップし記事を作成しました。調査は「慶弔見舞金、休暇制度に関する実態調査」と題されたもので、詳細は『労政時報 第3697号』(2007年3月9日発行)に掲載されています。
◆労政時報の詳細は、こちらをご覧ください → 「WEB労政時報」体験版
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