ハローワーク新システム開始!
人を集める求人票の書き方
社会保険労務士
東谷義章
(3)【必要な経験等】欄には「経験者優遇」や「経験あれば尚可」と記載しない
【必要な経験等】欄で、「経験者優遇」や「経験あれば尚可」と記載してあることもありますが、この記載は効果がありません。「経験ある方は採用されやすいですよ」という意味で記載しているのでしょうが、就職難の時代ならいざ知らず、昨今の人手不足の世の中では、求職者はその程度では見向きもしてくれません。
また、「経験者には給与面で優遇しますよ」という意味で記載されている場合でも、求職者にしてみれば「どれぐらい賃金額を優遇してくれるのか」ということがわからなければ意味がありません。「経験者優遇」や「経験あれば尚可」と記載するのであれば、【仕事の内容】欄や【求人に関する特記事項】欄などに「経験ある方は賃金額が23万円~となります」というように、具体的に優遇する内容を記載しましょう。
経験者でも未経験者でもどちらも欲しいというのであれば、筆者は「経験者用の求人票」と「未経験者用の求人票」の二つに分けて求人票を作成することをおすすめします。未経験者用の求人票の【必要な経験等】欄には「未経験者大歓迎。丁寧に指導します」と記載し、経験者用の求人票には「経験者の方は優遇します。詳細は仕事の内容欄をご参照ください」などと記載すれば、より求職者の目に留まりやすくなります。この際は、「未経験者可」とせず「未経験者大歓迎」と記載すると効果的です。ちょっとした言葉の違いですが、求職者が受ける印象は全く異なります。
なお、求人票を「経験者用」と「未経験者用」に分ける場合は、【賃金】欄の記載方法にも影響します。
(4)【賃金】欄は賃金の上限額ではなく下限額を意識する
賃金額について、「18万円~30万円」などとかなり幅を持たせて記載されているものがあります。会社としては、賃金額を少しでも多く見せようとして、上限額を上げて記載しているのでしょうが、求職者は、自身の経験上、「どうせ、下限額の18万円しかもらえないだろう」と思うでしょう。したがって、上限額よりも下限額を意識して記載することが重要です。
初めて求人票を作成する会社の担当者から、「賃金額はどれぐらいにするのがよいですか」という質問を受けることがありましたが、筆者は必ず「ハローワークインターネットサービスで検索して御社と同じ地域の同じ職種の会社の求人票を数十枚プリントアウトして、他社の賃金額がどの程度か調べてみてください。そうすれば、同地域・同業種の賃金額の相場がわかりますので、できればその相場よりも10%程度高い額にできれば、求職者の目に留まる可能性が高くなりますよ」とアドバイスしていました。
また、「(3)【必要な経験等】欄」の項でもお話ししましたが、経験者用と未経験者用の求人票に分けた場合、適正な賃金額を掲載することができます。例えば、「経験者、未経験者どちらでも可」という求人票であれば、「未経験者は18万円程度、経験者は25万円程度支給しよう」とした場合、求人票の賃金額は「18万円~25万円」という記載になってしまいます。これでは経験者は「18万円しかもらえないのか」と思ってしまいます。しかし、求人票を経験者用と未経験者用に分ければ、未経験者用の求人票では「18万円~18万円」、経験者用の求人票では「25万円~30万円」のように記載することができ、未経験者、経験者どちらに対しても妥当な金額を提示することができます。
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