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『ビジネスガイド』提携

事故・機密漏洩等への対応は?
「インターンシップ」導入の際の法的留意点と企業のリスク管理 (1/4ページ)

ロア・ユナイテッド法律事務所 弁護士 竹花 元

ビジネスガイド photo『ビジネスガイド』は、昭和40年5月創刊の労働・社会保険の官庁手続、人事労務の法律実務を中心とした月刊誌(毎月10日発売)です。企業の総務・人事・労務担当者や社会保険労務士等を読者対象とし、労基法・労災保険・雇用保険・健康保険・公的年金にまつわる手続実務、助成金の改正内容と申請手続、法改正に対応した就業規則の見直し方、労働関係裁判例の実務への影響、人事・賃金制度の構築等について、最新かつ正確な情報をもとに解説しています。ここでは、同誌のご協力により、2011年1月号の記事「『インターンシップ』導入の際の法的留意点と企業のリスク管理」を掲載します。
『ビジネスガイド』の詳細は日本法令ホームページへ。
たけはな・はじめ ● 長野県上田市出身。平成18年早稲田大学法学部卒業、平成20年上智大学法科大学院卒業、同年司法試験合格、平成21年ロア・ユナイテッド法律事務所入所。主な著書に『人材サービスの実務』(第一法規、共著)、主な論文に「刑事事件で起訴された社員を一方的に『起訴休職』にできるか」(労政時報3781号134頁)等多数。

1. インターンシップとは

1 意義

近年、「インターンシップ」が注目されています。インターンシップは、就労体験とも訳されることがありますが、欧米で広く教育機関に取り入れられ実績を上げている制度で、学生が実務経験を積み、職業意識を高めるための企業内研修計画のことです。文部科学省の定義によれば、「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した“就業体験”を行うこと」とされています。

近年では、大学の正規の科目に組み込まれて単位を取得できるようになっている場合が多くなってきました。平成20年12月1日付「大学等における平成19年度インターンシップ実施状況調査について」(文部科学省)によれば、平成19年度には大学の67.7%で「インターンシップ制度」を導入し、平成20年度以降に実施予定の大学は70.7%にも及んでいます。

2 企業にとってのメリット

インターンシップを受け入れることは、企業にとって、相応の負担を伴うものではありますが、多くの企業が実施している背景には、以下のようなメリットがあるからです。

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(1) 職場の活性化と社員育成教育への活用
社員がインターンシップ生を指導していく中で、社内全体の雰囲気も活性化することが期待できます。また、普段と異なった視点で自らの仕事を見直す機会が生まれ、指導を担当する社員の仕事に対する意欲の喚起や管理能力の向上につながります。

また、インターンシップを「新入社員教育のシミュレーション」として位置付けることにより、新入社員教育を効果的に行うことができるとともに、職場環境や安全管理体制の見直しなども期待できます。

(2) 先行した社員の選定
インターンシップにおいて学生の能力を試し、その中から優秀な学生を採用する絶好の機会を得ることができます。就職活動の時期が前倒しになることに対して、大学等からは「学生が腰を落ち着けて勉強する時間が足りない」などの批判が寄せられていますが、インターンシップを活用すれば、このような批判は回避できます。

(3) ミスマッチの防止
インターンシップを経ることで、就職後の企業と学生とのミスマッチを回避する効果も期待できます。採用した学生を育成するために先行投資することは不可欠ですが、3年も経たずに退職されては先行投資を回収することなど、とてもできません。

企業のニーズと学生が抱く企業イメージとの落差などから、ミスマッチなどによる若者の離職率・失業率が依然として高く、いわゆるフリーターの増大などが社会問題化しています。インターンシップが普及する背景には、こうした問題を防止する一手として期待されている面もあります。

(4) 企業のイメージアップ
インターンシップを受け入れた副次的な効用として、若者の育成に協力的な企業として社会的なイメージの向上が見込まれます。また、インターンシップ受入実績企業として、受け入れた生徒・保護者および大学・高校を通じて企業の認知度を高めるPR効果が期待できます。

(5) 産学連携
インターンシップを通じ、大学や高校などとの連携を図る機会が生まれます。時代に即応する産業界のニーズを教育の現場に直接伝え、学校教育に素早く反映させていくことが可能になります。

そのほか、学生の斬新な発想を製品開発や企業(事業所)経営に有効に生かすことも考えられます。


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