在宅勤務移行に伴うみなし残業手当を外す件について
お世話になっております。
当社契約社員との間の労働契約について質問です。
この契約社員(年俸制)は、H30.4月に育休復帰し、短時間勤務で就業しておりました。
元々みなし残業手当(20時間/月)込みの年俸制で契約していたのですが、短時間勤務移行に伴い、みなし残業手当(約60万円/年間)を減額した年俸でH30.6月~1年間の契約を更新しております。しかし本人の申し出により短時間勤務から在宅およびフルタイム勤務での希望があり会社としても検討の結果承認し、在宅勤務がスタートしております。
ここで本人の主張として、フルタイム勤務になったのだから、当初のみなし残業手当込みの年俸に戻さないのは不利益変更となるのではという訴えがありました。みなし残業手当は給与の一部であるという主張です。
これに対し会社としての主張は以下の3点あります。
①みなし残業代20時間分は、「手当」ではなくあくまで「残業」
雇用契約書に「年俸は短時間勤務により年俸〇〇円から残業見合い分〇〇円引いた〇〇円とする。」記載しております。(ちなみに育休前の契約書には、年俸には20時間/月の残業代込みとし、これを超過した場合は、1時間当たり〇〇円の時間外手当を支給するとしております。)
今回の契約はすでに締結しており、残業見合い分を外すことに本人は同意している。=みなし残業は「手当」ではなく「残業」の理解があったと解釈。フルタイム勤務になるから、みなし残業支給ではない。
②在宅勤務 労働条件通知書 残業無の記載
本人の申し出により在宅勤務に移る際、時間外労働は無しの通知をしている(在宅勤務になることでの環境の変化、労働時間の把握のしづらさによる→3ヶ月間お試し期間)止む無く残業の必要ある場合は、事前に上長に申請承認後、支給する。会社としてはH30.6.1雇用契約書および労働通知書の内容に同意いただけないのであれば在宅勤務中止を検討する。
③みなし残業込みの条件に戻す件
今後、在宅勤務により、一定の業務量および安定した成果が見込めると判断した時点で以前と同様の「みなし残業込み」の契約に戻すことについて検討する。
本人と会社の解釈が最も食い違っているのは、特に①についてです。
こうしたケースの場合、会社の考え方は、労働契約法の不利益変更に該当してしまうのでしょうか。ご教示くださいますようお願いいたします。
投稿日:2018/10/04 17:30 ID:QA-0079574
- BAMBOOさん
- 大阪府/繊維製品・アパレル・服飾(企業規模 501~1000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、①については固定残業代の場合ですと。毎月支給が補償されていることからも「手当」と「残業」の両方の性質を有しているものといえます。そして、仮に残業見合い分を外すことに当人が同意されていたとしましても、その同意についてはあくまで育児短時間勤務の場合についての同意に過ぎませんので、フルタイム勤務に戻る際にはこの同意の有効性はなく、改めて同意を得る事が必要といえます。それ故、結局この度の措置が不利益変更に該当するか否かについては、②によって判断することになります。
そこで②についてですが、労働条件通知書であっても基本的には労働契約書と同様の効力を有ししていることから、当人の同意があれば残業無を改めて認めたものといえますので、その場合ですと不利益変更への同意が得られたものと解されますので固定残業代も不要という事になります。
しかしながら、労働条件通知書を一方的に当人に交付されただけでその内容に関する当人の同意を証明出来ない場合ですと、当然ながら残業無に関する同意も得られていないと推定されますので、不利益変更により固定残業代のカットは無効とされる可能性が生じるものといえます。(※尚③については、②の結果次第ですので、現状では当否の判断はできないものといえます)
すなわち、当事案に関する最大の論点は②と思われますので、在宅勤務の労働条件通知書の内容に関する同意取得があるか否かで判断されることになるものと考えられます。但し、様々な特殊事情が絡んだかなり複雑な事案ですので、対応が困難の場合は労務問題に精通した近隣の弁護士または社労士事務所に直接ご相談される事をお勧めいたします。
投稿日:2018/10/04 21:43 ID:QA-0079595
相談者より
詳細にお答えいただきありがとうございます。
仰る通り、通知書について説明不足であった部分もあり、反省しております。引き続き本人に納得してもらえるよう対応していきます。
投稿日:2018/10/17 11:05 ID:QA-0079853大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
在宅勤務はでは、残業禁止としている会社は少なくありません。
また、本人の申請によるとしていれば、
就業規則、在宅勤務規程にその旨記載があれば、残業禁止=みなし残業手当なしとしても不利益変更とはいえないでしょう。
みなし残業手当についても20h/月と明記されているということですので、問題はないといえるでしょう。
本人が同意しないようであれば、在宅勤務をしなければよろしいということになります。
投稿日:2018/10/05 16:24 ID:QA-0079619
相談者より
コメントありがとうございます。
就業規則・在宅勤務規定には、残業禁止の記載をしていませんので今後そのあたりを整備していきます。
投稿日:2018/10/17 11:07 ID:QA-0079854大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
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