委任契約における委任料について
お世話になります。
委任契約を締結し、受託者側の労働者の業務で生じた工数(作業時間)を
委託者側で把握し、それを基にして委任料を受託者側に請求することは、
法違反となるのでしょうか。
告示37号では、請負の場合は、労働力の単価を基に請負料金を精算するこ
とは、偽装請負に判断されると記載がありますが、当該ケースの場合は、
これが適用されるのでしょうか。
ご回答、よろしくお願いいたします。
投稿日:2013/07/30 16:49 ID:QA-0055550
- Uさん
- 兵庫県/輸送機器・自動車(企業規模 10001人以上)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御相談の件ですが、単に御社側での何らかの事情で作業時間数を把握されるだけであれば通常問題ないものといえます。
しかしながら、委任契約とは時間に関係なく委託する業務内容の出来栄え等に対して報酬を受託会社に支払うものです。作業時間数を元に委任料を決定されますと、労働時間によって賃金を支払う雇用契約的な考え方になってしまいますので、場合によっては偽装請負と判断される可能性も否定できません。出来れば、そのような紛らわしい報酬計算の仕方は回避されるべきといえるでしょう。
勿論、告示に法律と同様の強い効力まではないですし、それ以外の業務実態等も含めての総合的な判断がなされるものといえますので、当該事象のみを持って偽装請負と断定する事は出来ません。偽装請負の当否に関しましては事情によっては難しい判断となりますので、万一トラブルになりそうであれば事前にお近くのハローワークまたは労働基準監督署にご相談されることをお勧めいたします。
投稿日:2013/07/30 20:05 ID:QA-0055555
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
委任報酬の算定に工数も重要な要素だが、委任契約の趣旨に沿って決めれば問題はない。
委任契約では、 「 依頼された事務を処理することが目的 」 となります。 本来は、 法律行為 ( 不動産売買、賃貸借契約、会社設立、清算など ) の事務処理を、 ( 無償で ) 委託する契約です。 法律行為以外の事務を、 有償で委託することは、 「 準委任契約 」 いわれ、 委任の規定が準用されます ( 民法656条 )。 よく引用される、 「 業務委託契約 」 も、 本質は、 この準委任契約です。 有償で委託する場合の報酬の決定に際しては、 当然、 必要とされる工数も重要な要素になりますが、 それは、 適正な報酬額決定の当然のプロセスの一環であり、 真当に対応しておれば、仕事の完成を目的とする請負とも、労務の提供を目的とする派遣とも混同される余地はありません。
投稿日:2013/07/30 21:13 ID:QA-0055558
プロフェッショナルからの回答
「偽装請負」に該当する可能性があります
ご質問については、現状の貴社の委託契約が「偽装請負」にあたらないか?
というご質問だと見受けられます。その前提で回答をさせて頂きます。
結論としては、委任契約において、労働者の工数を下に委任料金を請求する
ことは、法律に抵触する恐れがあります。
「委任契約」については民法上「請負契約」とは下記の「※参考」の通り明確
に違うものと定義されておりますが、実は「偽装請負化どうか?」というご質
問は、民法上の問題ではなく、労働者派遣法や職業安定法違反になるか
どうかという議論です。
労働者派遣法や職業安定法というのは、労働者を保護するための法律とい
う位置付けになりますので契約内容とその効果をどう見るべきかという民法
の目的とは異なるのです。
よって、同じ「請負契約」という言葉を使ったからといっても、民法と労働者派
遣法および職業安定法との間でその内容、概念は違ってくるのです。 つまり
民法上の「委任契約」であっても、区分基準の「請負」概念に含まれない部分
は、偽装請負となり得ます。
そして、偽装契約か、そうでないかということを分ける最大のポイントは「発注
者と受託者との間に指揮命令関係が生じない」という点です。業務にかかった
工数を報酬算出に基準にするということは、ご質問で言及されている通り
「昭和61年労働省告示37号」に「偽装請負」にあたる要件として挙げられてい
ますので、注意することが必要です。
ただし、最終的には委託状況の詳細により決まりますので、一度各都道府県
の労働局に詳細を伝えて適法かどうかを確認することをお薦めいたします。
※参考 民法上の請負契約と委任契約の違い
◆請負契約:請負人が仕事を完成し、それに対して注文者が報酬を与える
ことを約束することで他人の労務を利用する契約(民法632条)」
◆委任契約:「法律行為ではない一定の事務を処理することを相手方に委
託し、相手方がその目的の範囲内である程度の自由裁量の権限をもって、
独立して一定の事務処理行うことを承諾し、その対価としての報酬を支払う
という形で労務を利用する形態(準委任、民法656条・643条)。
投稿日:2013/08/01 10:14 ID:QA-0055592
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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