業務請負で刑罰のある違反の解説と実例Q&A
ここでは、業務請負で刑罰のある違反について解説します。
1.偽装請負
偽装請負とは、実態は労働者派遣であるにもかかわらず、建前上は請負契約とする行為です。
偽装請負とみなされるのは、発注会社に請負会社の管理者がいない、もしくは形式上はいるが発注会社が直接指揮命令を行っている、といったケースです。発注会社・請負会社の労働者がチームになっていて、指揮命令を発注会社が行っている場合も偽装請負とみなされます。
偽装請負が起こる原因は、発注会社側が直接指示できる、労働基準法が適用されず責任を曖昧にできることなどが挙げられます。しかし、労働者派遣業を行うには適切な許可の取得が必要であり、派遣期間といった各種必要事項を厳守しなければなりません。違法な労働者派遣事業と判断されれば、発注会社および請負会社は社会的制裁を受けることになります。
偽装請負とみなされて労働局からの指導を経ても、何ら改善されなかった場合には刑罰が科せられるので注意が必要です。
例えば、労働者派遣事業を無許可で行ったとみなされた場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。違法な労働者供給事業とみなされた場合、請負側、発注側双方に1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
2. 二重派遣
二重派遣とは、派遣元会社から派遣された労働者を、派遣先企業が別の企業などで働かせることです。二重派遣は労働者派遣における違法行為ですが、二重派遣を隠すために偽装請負が行われるケースがあります。
例えば、請負会社が請け負った仕事を別の会社に再委託し、再委託先の労働者が発注会社の下に向かいます。その上で、再委託先の労働者に対して発注会社や請負会社の社員が指揮命令を行った場合、偽装請負および二重派遣に該当します。
3. 今後の業務請負~フリーランスの保護
近年では働き方改革が進み、多種多様な働き方が生まれています。企業に雇用されない個人事業主やフリーランスにも注目が集まり、その数は増加傾向にあります。
一方、企業と個人事業主という関係は往々にして力関係が生じやすく、フリーランスの保護についても検討が必要と考えられています。政府では2017年より「雇用類似の働き方に関する検討会」を開催し、法的な保護について議論しています。
アウトソーシングをする際は、契約が発生します。偽装請負といった違反行為にならないよう、発注する側・請け負う側の双方が法的な観点から細心の注意を払う必要があります。
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