セクハラ行為による懲戒解雇の妥当性について
弊社の勤続14年になる社員Aが個人の外部委託者(内職者)にセクハラ行為を行い、当該内職者が個人ブログに弊社とAの実名を挙げて公開していた事実が判明しました。
内容は、脅かされて(おそらく内職業務の斡旋の職権悪用)意に反して性的関係を何度も強要された、断るようになったら業務を一切斡旋してくれなくなった、それなのに愛している等のメールを送ってくる、Aの行為で内職を辞めた人を何人も知っている、自分の友人とも性的関係をもっていると吹聴していた、等相当悪質な内容でした。
Aに事情聴取したところ、同意があった等言い訳はありましたが、概ね事実と認めています。
弊社の賞罰委員会で検討しましたが、行為の態様が性的関係の強要という悪質極まりないものであり、また職権の濫用やネット上で会社名を挙げられ信用・体面を大きく毀損されたことを重視し、
・懲戒解雇処分とし、30日の予告手当を支払って即日解雇とする
・退職金(概算300万円)は不支給とする
との結論になりました。
弊社の就業規則は以下のとおりです。
第29条(懲戒解雇)
以下の各号の一に該当する場合は懲戒解雇に処する。ただし情状によっては、諭旨退職、減給または出勤停止にとどめることがある。
⑩ 第6章の服務心得に違反した場合であって、その事案が重大なとき。
※第6章の服務心得
⑧ 社員は会社の名誉を傷つけ、不利益を与えるような言動は慎まなければならない。
⑪ 暴行、脅迫その他不法行為をして著しく会社の名誉・体面を損なったとき。
⑬ 私生活上の非違行為や会社に対する誹謗中傷等によって、会社の名誉信用を傷つけ、業務に重大な悪影 響を及ぼすような行為があったとき。
第31条(解雇)
2.解雇するときには30日前に予告する。予告しないときは平均賃金の30日分を支給して即時解雇す る。なお、予告日数は平均賃金を支払った日数だけ短縮することができる。
第27条(懲戒の種類、程度)
⑤懲戒解雇 : 予告期間を設けることなく、即時に解雇する。この場合、所轄労働基準監督署長の認定を受けたときは解雇予告手当を支給しない。懲戒解雇になった場合は退職金を支給しない。
行為の悪質性と就業規則に照らし合わせると、検討結果は妥当と判断しているのですが、何か問題がありますでしょうか。ただ今までほとんどコンプライアンス教育を実施してこなかったというプロセスの不備は自覚しています。ご教授のほど何卒よろしくお願いいたします。
※事務局にて一部内容を編集いたしました。
投稿日:2011/11/29 16:15 ID:QA-0047177
- *****さん
- 東京都/情報サービス・インターネット関連(企業規模 10001人以上)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
文面内容を拝見する限りでは、ご認識の通り事実であるとしますと相当に悪質かつ重大な非行といえるでしょう。場合によっては強姦・脅迫罪といった刑法犯となる可能性も十分にありますし、懲戒解雇処分は当然の措置といえます。仮にコンプライアンス教育を実施してこなかったという事実があったとしましても、文面のような行為が直ちに人道に反するものでありかつ被害者のみならず会社にも多くの損害を招くものである事は、社会人であれば容易に想像出来うるものです。
従いまして、再発防止とセクハラ禁止等への断固たる姿勢を示す上でも、退職金の不支給のみならず所轄労働基準監督署長の認定を受けて解雇予告手当も不支給とする位の厳しい対応が望ましいといえます。
投稿日:2011/11/29 18:54 ID:QA-0047179
相談者より
ご回答ありがとうございました。
弊社の判断に間違いがなかったことが確認できました。今後再発防止として全社教育に注力いたします。また解雇予告手当不支給の件もあらためて検討したいと思います。ありがとうございました。
投稿日:2011/11/30 09:17 ID:QA-0047189大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
セクハラ懲戒解雇
■セクハラによる懲戒解雇が有効か無効かは、過去の判例では、その内容により分かれるところです。
今回は個人ブログで・・・ということですが、実際に被害者から相談等はなかったのでしょうか?
会社としては、具体的事実と信用・名誉を気づつけられたということで判断をしたわけですから、妥当性はよろしいと思います。
過去に内容が軽度の場合は、会社の指導がなかったとして無効となった裁判例はあります。
▽就業規則ではセクハラ規定の記載(定義、禁止事項、相談窓口の設置など)は義務付けられていますが、ご確認ください。
通常は、セクハラ規定と服務規定、懲戒規定がリンクさせています。
以上
投稿日:2011/11/30 09:22 ID:QA-0047190
相談者より
ご回答ありがとうございました。被害者は内職者で直接の雇用関係がなかったことからかは良く分りませんが、相談等はありませんでした。
セクハラ等に関する規定は服務規程に定めております。今後は指導履歴の重要性を考慮してまいります。
投稿日:2011/11/30 09:32 ID:QA-0047191大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
今般のセクハラ行為の程度によると妥当性があると思われます。
今回の案件については、セクハラを直接懲戒処分対象とする規定が見当たりませんが、「脅かされ、意に反して性的関係を何度も強要された」という事案であれば、御社の服務心得にある「社員は会社の名誉を傷つけ、不利益を与えるような言動は慎まなければならない。」に違背した、第29条の懲戒にある、「第6章の服務心得に違反した場合であって、その事案が重大なとき」や「暴行、脅迫その他不法行為をして著しく会社の名誉・体面を損なったとき。」といった、包括的な服務規律違反等の適用により、セクハラを懲戒処分対象として対応することは可能であると解されております。
次に、セクハラ行為の程度に応じた懲戒処分の程度についてですが、この案件が強制わいせつ型のセクハラに近いと解されますと、判例により懲戒解雇が認られております(大阪地裁平成12.4.28判決)。
尚、今後係争事案に発展の畏れがありますので、御社顧問弁護士等への確認もされた方が宜しいでしょう。
投稿日:2011/11/30 09:46 ID:QA-0047194
相談者より
ご回答ありがとうございました。
念のため顧問弁護士にも確認しておきます。
投稿日:2011/11/30 11:37 ID:QA-0047199大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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