減給の制裁規定について
いつも大変お世話になっております。
労基法第91条の制裁規定の制限で減給について確認させていただきたいと思います。
就業規則では減給の制裁を明記しております。労基法では「減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。」となっております。
こちらの解釈は、規則違反行為があった場合の減給は、その行為に対して1回(1ヶ月)の減給しかできないのでしょうか。それとも数回(数ヶ月)に渡って減給が可能なのでしょうか。
最近違反行為があり、上司の監督不行き届きもあったので上司を減給処分する予定ですが、1回(1ヶ月)だけの処分ではあまいとの見解があり、可能であれば数回(数ヶ月)減給処分を実施したいと思っております。
当社の賃金支払期間は1ヶ月でございます。
よろしくお願い致します。
投稿日:2009/04/05 15:10 ID:QA-0015725
- *****さん
- 千葉県/輸送機器・自動車(企業規模 301~500人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、制裁対象となる行為が1件のみであればあくまで法に定められた1回の額、つまり「平均賃金の1日分の半額」までしか減給出来ません。
この点につきましては、行為の重大性や本人の同意の有無は考慮されませんので、ご注意下さい。
一方、制裁対象となる行為が複数であれば、その合計については1賃金支払期の制限が10パーセントですので、それを超える金額については次期(翌月)以降に持ち越すことが可能となります。但し、1回の減給額の制限があることからも現実上は相当な行為数が必要になってきます。
こうした内容からも分かりますように、制裁による減給によって実効力を持たせることは非常に困難といえます。
文面からはかなり重大な違反行為があったように伺えますが、そうした場合ですと別手段を採られる方が現実的と考えられます。
具体的には、出勤停止等のより重い処分を科すか、あるいは制裁ではなく考課査定時に評価基準に照らし合わせた上でマイナス評価を行なうことで給与額自体を下げる等が挙げられます。(これらを理由とする減給につきましては、通常制裁減給とはなりませんので労基法第91条の制限にはかかりません。)
但し、いずれも就業規則上の制裁規定や賃金規定等に基くことが必要ですので、御社規定をご確認の上、この度の行為の内容・程度や当人の態度等も考慮された上で取りうる最適な措置を検討されることをお勧めいたします。
投稿日:2009/04/05 22:26 ID:QA-0015728
相談者より
お忙しい中ご回答ありがとうございました。
減給としては実効果はあまり有りませんので出勤停止や人事考課
等、検討いたします。
投稿日:2009/04/08 10:18 ID:QA-0036166大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
減給制裁の限度と選択肢
■先ず、《 1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない 》とは、《 1回の事案 》 に対しては、減給の総額が平均賃金の1日分の半額以内でなければならないことを意味します。1回の事案について、平均賃金の1日分の半額を何回(何日)にも亘って減額してもよいという意味ではありません。
■次に,《 総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない 》 とは,一賃金支払期に複数の事案に対する減給をする場合には,その総額が当該賃金支払期における賃金総額の10分の1以内でなければならないという意味です。これを超えて減給の制裁を行う必要がある場合は,その部分の減給は,次期の賃金支払期に延ばすことになります。
■従って、ご相談の事例が、「制裁事由は《 一つ 》 であっても、事の重大性に鑑み、10分の1以上(例えば、3割)減給を、各月、10分の1を超えない範囲で、数ヶ月間、実施したい」ということならば、91条に抵触します。選択肢としては、《 減給 》 より一段重い、《 出勤停止 》 を課し、その間、賃金不支給とするなどの措置があります。
■但し、その場合でも、《 制裁の種類および程度に関する事項 》 を就業規則で定めないといけないことになっていますので、例えば、「始末書を提出させるほか、○日間を限度として 《 出勤を停止し、その間の賃金は支給しない 》」などの定めがなくてはなりません。先ずは、就業規則をチェックしてみて下さい。
投稿日:2009/04/06 09:01 ID:QA-0015730
相談者より
大変役に立ちました。
お忙しい中、ありがとうございました。
就業規則には出勤停止など規定されていますので一段重い罰則を
検討してみたいと思います。
投稿日:2009/04/08 10:20 ID:QA-0036167大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
-
賃金減給 アルバイトで不正を行ったものがお... [2006/06/05]
-
減給について 社員の減給について、教えてくださ... [2011/09/01]
-
従業員の減給処分について はじめまして。初めて質問をさせて... [2009/05/08]
-
懲戒処分(減給)の解釈 労働基準法で以下のように減給につ... [2010/02/03]
-
合意なしの減給 減給予定の社員がなかなかサインし... [2020/08/21]
-
減給の制裁の制限について 労働基準法では、「就業規則で、労... [2008/12/22]
-
懲戒処分内容について 社内で不祥事を行ったものに関する... [2008/03/31]
-
減給処分の仕方 年俸制で月給425,000円の社... [2008/02/21]
-
減給の実施基準 懲戒処分で「減給」がありますが、... [2013/10/10]
-
減給の制裁を規定する企業の割合 減給の制裁を規定している企業の割... [2014/11/20]
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
減給処分通知
減給処分とは給与を減額する懲戒処分を指します。ただし、その差し引く金額は労働基準法第91条により限度が決められています。
ここでは減給処分通知のテンプレートを紹介します。
就業規則届
労働基準監督署に届出するための就業規則届です。是非ご利用ください。
勤務間インターバルの規定例
勤務間インターバル制度を就業規則に規定するための例です。
賃金のデジタル払いチェックリスト
賃金のデジタル払いに関して理解・整理するためのチェックするためのリストです。