有給休暇日の就労について
いつも参考にさせていただいております。
休日や勤務終了後に顧客から電話がかかってくることが多いという従業員の声があり、そういったケースに賃金を支給する事と致しました。
そこで、支給に関して質問させていただきます。
・休日
→休日出勤と同様に割増賃金で支給
・勤務終了後
→時間外労働と同様に割増賃金で支給
上記で支給しようと考えておりますが、有給休暇時はどのようにすべきか判断に迷っております。
本来有給休暇時には就労すべきではなく、就労した場合は有給休暇を取り消し、改めて別日で取得してもらうと認識しておりますが、数分〜数十分の電話対応で有給取り消しになる事に従業員側も難色を示しております。
そこで、有給休暇はそのままに対応した時間に応じて賃金を支払う事にしたいと考えております(従業員了承の上)
そういった対応とした場合、支給する賃金は割増賃金なのか、割増なしの賃金なのかどちらにすべきでしょうか?
数分だけでも働いたのであれば有給取消が妥当だとは理解しております。
上記対応は労使共に了承の上での対応だとご理解ください。
投稿日:2025/07/17 20:31 ID:QA-0155630
- 悩んでばかりさん
- 愛知県/食品(企業規模 101~300人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.前提整理
有給休暇(年次有給休暇)中に就労が発生した場合
→ 原則として「休暇」と「労働」は両立しないため、「就労」があれば当該日は有休ではなくなる(=取り消すのが原則的な扱い)というのが、労基法上の基本的考え方です。
2.今回のケース
- 数分〜数十分の電話対応(例:顧客対応等)
- 本人は有休取得済だが、完全には休めていない
- 本人も「有休取消にはしたくない」意向がある
- 使用者としても便宜上、有休はそのままで賃金だけ支払いたい
3.この対応が可能かどうか
(1)労働基準法上の整理
形式的には「就労=有給取消」となるのが原則です。
- しかしながら、実務運用上は柔軟な対応も行われているのが実態です。
- 特に、本人が望み、有休取消せずに就労部分だけ賃金を支払うことは「黙認」されているケースもあります。(ただし、形式上グレーゾーンであることは理解しておく必要があります)
4.賃金の支払いについて(割増の要否)
(1)割増賃金が必要ない場合(多くのケースはこちら)
有給休暇取得日は、労働義務が免除されている日なので、所定労働時間外という考え方が成立しません。
従って、割増賃金の対象にはならず、「通常の労働時間単価」での支払いが原則的な扱いです。
→ 例:時給2,000円 → 15分対応で500円支給(割増なし)
(2)割増賃金が必要となる場合(まれ)
就業規則や労使協定等により、「有休中の労働に対して割増を支払う」と明示されている場合、その定めに従う。
あるいは、恒常的に呼び出しや労働があるような状態で、実質的に所定労働時間外労働と評価される場合。
※ただし、上記はあくまで例外的な対応です。
5.実務対応のおすすめ
貴社のような対応をご希望の場合は、次のように整理しておくと安心です。
(1) 社内ルール整備(就業規則または内規)
・年次有給休暇取得中に、会社の業務命令により電話等の業務に従事した場合であっても、就労時間が軽微な場合(原則30分未満)については、有給休暇を取り消さず、当該就労時間に相当する通常賃金を支払うことがある。
・この取扱いは、本人が有給休暇の取消しを希望しない場合に限る。
(2) 賃金の取り扱い
単価:通常の労働時間単価(割増なし)
記録:タイムカードや報告メールなどで対応時間を記録管理
6.注意点(今後のリスクを回避するために)
本来の法解釈では「有休中の労働=休暇の取消」が原則ですので、多発・長時間化している場合は、労基署の監査で問題視されるおそれもあります。
今後、業務負担が増えていくようであれば、「呼出手当」や「オンコール手当」など別の制度を検討することも有効です。
7.結論
有給休暇取得中の数分〜数十分の電話対応については、有休を取消さず、対応時間分の通常賃金(割増なし)を支払う運用は、本人の同意があれば実務上は容認されている例が多くあります。ただし、ルールの整備と運用の明確化が重要です。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/18 08:38 ID:QA-0155641
相談者より
大変参考になりました。ご回答ありがとうございます。
投稿日:2025/07/18 12:55 ID:QA-0155667大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問ありがとうございます。
そもそも年次有給休暇は労働の義務の無い日ですので「有給休暇取得中の勤務をどう取り扱うか?」という論点ではなく「営業時間外の電話応対をどうするのか?」という視点で対策された方が合理的ではないかと考えます。
例えば営業担当者の携帯電話に留守電アプリを導入して営業時間外の電話対応はさせない、もしくはオンコール当番を決め、営業時間外にかかってきた電話が当番者に自動転送されるようにする等々、営業スキームの問題として対処するのがベターかと。
以上ご検討を宜しくお願いします。
投稿日:2025/07/18 09:27 ID:QA-0155651
相談者より
検討致します
投稿日:2025/07/18 12:57 ID:QA-0155668参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
本来のべき論の対応事項はご理解いただいている旨と、思案いたしております。
その上で、賃金の支払いについては、本来の休暇主旨との乖離がある前提の為、
何ともお答えが難しいところもございます。
別の施策案となりますが、法令上の年次有給休暇の消化として取り扱う
のではなく、業務対応を行った場合に限り、会社が定める有給の特別休暇へ
休暇種別を変更するなどの対応もあるかと思案いたします。
特別休暇の新設が必要な案ではございますが、年次有給休暇時においても
電話対応を会社が従業員に望むのであれば、検討の範囲内ではないでしょうか。
あくまで1案として、ご参考ください。
投稿日:2025/07/18 09:51 ID:QA-0155652
相談者より
参考になりました。検討致します。
投稿日:2025/07/18 12:57 ID:QA-0155669参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
いったん付与した年休の当日であっても、労働者の同意があれば出勤させることは可能ですが、ただし、その日は年休を与えたことにはならず別日に改めて1日の有給休暇を与えなければならないというのは、ご相談者さまのご認識どおりです。
ですが、数分〜数十分の電話対応で付与済みの有給を取り消しにしてまで別日に与えることに、合理性があるのかといえばそこは疑問でしかありません。
数分〜数十分程度の電話対応であれば、あえて有休を取消す必要性は感じられず、対応時間分の賃金(通常の賃金)を支払うことで、労使双方が合意すれば、実務上、それで問題はございません。
就業規則にルール化して運用すればいいでしょう。
投稿日:2025/07/18 09:52 ID:QA-0155653
相談者より
大変参考になりました。ご回答ありがとうございます。
投稿日:2025/07/18 12:59 ID:QA-0155670大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
有給含め「休日・業務時間外に業務をする」ことがコンプライアンスに反する行為となります。つまり有給時対応を合法的に正当化することはできないと考えるべきでしょう。
対応するのであれば、業務=有給取り消しとなるので、業務時間外の対応を止める、させない、コールセンター化するなどがコンプライアンスに沿った対応となります。
貴社は社員の納得もあるようですが、一般的には顧客対応コストとして売価や利益に反映できないサービスは止めるのが流れです。サービス提供が無料ではないという意識は、コンプライアンスにおいて、重要な点です。
投稿日:2025/07/18 10:04 ID:QA-0155655
相談者より
参考になりました。ご回答ありがとうございます。
投稿日:2025/07/18 13:00 ID:QA-0155671参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
まず、会社として
顧客から電話がかかってきても、有休中は対応しなくていいと徹底することです。
会社として、有休中も電話対応をお願いしているということであれば、
法違反の可能性もありますが、超法規措置として、少なくとも
対応分の「通常時給」以上を支払う必要があります。
投稿日:2025/07/18 16:15 ID:QA-0155679
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、賃金支払等の措置ではなく、休日等に電話対応しなければならない現状について改善が必要といえます。
文面内容を拝見する限りですと、顧客からいつでも直接連絡が入る可能性があるようですし、加えてそうした際に即対応を求められるという事ですので、そうであれば実質従業員が完全に仕事から解放される時間は全く確保されていないものといえます。こうした状況は当然に回避される必要がございます。
対応としましては、顧客からの連絡方法を改め、会社または当日勤務されている従業員宛とされる事、その為緊急対応等で最小限業務上必要な情報を社内で共有されておく事、基本的には担当従業員による後日の対応とする事が妥当といえます。
業務上難しい場合も有るでしょうが、賃金コスト・従業員の健康配慮いずれの観点からも抜本的な働き方の見直しをされる事をお勧めいたします。
投稿日:2025/07/18 19:31 ID:QA-0155689
プロフェッショナルからの回答
時間単位の年次有給休暇
以下、回答させていただきます。
(1)「数分だけでも働いたのであれば有給取消が妥当だとは理解しておりま
す」「上記対応は労使共に了承の上での対応だとご理解ください」とのこと
です。
(2)そうであるならば、労働者からの自由な意思に基づく申請のもと「1日単位
の年次有給休暇」を取り消し、同時に、当該労働者からの自由な意思に基づ
く申請のもと「時間単位の年次有給休暇(一年間の年次有給休暇の日数のう
ち五日以内)」を認めることが考えられます。
(ご参考)
通達(基発第0529001号 平成21年5月29日)(抄)
第4 時間単位年休(法第39条第4項及び第7項関係)
4 時季変更権との関係
(略) 事業の正常な運営を妨げるか否かは、労働者からの具体的
な請求について個別的、具体的に客観的に判断されるべきものであ
り、あらかじめ労使協定において時間単位年休を取得することがで
きない時間帯を定めておくこと、所定労働時間の中途に時間単位年
休を取得することを制限すること、一日において取得することがで
きる時間単位年休の時間数を制限すること等は認められないこと。
投稿日:2025/07/18 19:42 ID:QA-0155690
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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