雇用契約書のまき直しについて
	お世話になります。
 最低賃金の引き上げを受けて、雇用契約書の再締結が必要かどうか、アドバイスをいただければ幸いです。
 
 【現状】
 仮にAとB同じグレードの社員がいます。
 Aは昨年最低時給引き上げ前に入社し、固定残業時間は45時間。
 Bは2025年今年入社し、最低賃金引き上げに伴い、固定残業時間は40時間。
 どちらも、基本給+固定残業代=25万円です。
  - 2024年末までの入社者:固定残業45時間
  - 2025年以降の入社者:固定残業40時間
 
 【懸念点】
 同一グレード・同一業務内容にもかかわらず、残業時間に差があるのは不公平ではないか
 
 同じ月額でも、Aの方が45時間まで残業できてしまう。Bについては40時間を超えた分は別途支給となる。
 
 【ご相談したいこと】
 ・上記のような状態において、45時間で契約を締結している社員については
 契約の巻き直し(時間数の統一)が必要でしょうか?
 
 ・必要な場合、どういったフローで進めるのが望ましいか(同意書取得・説明方法、適切な時期やタイミングなど)
 
 ・固定残業代の見直しにあたって、最低賃金との整合性チェックの観点で注意点があれば教えてください
 
 同じようなご経験やご対応をされた方がいらっしゃいましたら、ぜひアドバイスをいただけますと幸いです。
 
 よろしくお願いいたします。    
投稿日:2025/06/24 16:31 ID:QA-0154424
- Kakaoさん
 - 東京都/HRビジネス(企業規模 6~10人)
 
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
                ご質問いただきまして、ありがとうございます。
 次の通り、ご回答申し上げます。
 1.ご質問の整理
 A:2024年以前入社、月給25万円(うち固定残業45時間)
 B:2025年以降入社、月給25万円(うち固定残業40時間)
 同一グレード・同一職務 → 固定残業時間に差あり
 2.質問の主旨:
  (1) 再契約の必要性
  (2) 実務対応の進め方
  (3) 最低賃金との整合性
 3.回答(1)
 (1)雇用契約書の「巻き直し(再契約)」は、法的には義務ではないが、実務上は望ましい。法的には、既存社員(A)との**契約書が適法かつ合意に基づいて締結されたものであれば、固定残業時間の違いが「即違法」になるわけではありません。
 ただし、「同一グレード・同一業務内容」で固定残業時間に差があると、均等待遇・同一労働同一賃金の観点から説明責任を問われやすい状況です。
 (2)実務的には、固定残業時間の「分かりやすさ」「公平性」「整合性」を重視して、時間数を統一(例:40時間)し、再契約を行うのが望ましいです。
 4.回答(2)
 実務フロー(固定残業時間見直しの進め方)
 社内方針決定(就業規則 or 賃金制度)
 固定残業時間を「一律40時間」とする方針決定
 影響範囲の洗い出し
 現在「45時間固定残業」の社員をリストアップ
 個別説明(文書+面談)
 「制度見直しの背景」
 「最低賃金や法改正を踏まえた見直し」
 「今後は40時間超過分は別途残業代支給」
 「賃金水準は基本的に変えず(または調整)」など
 同意書(変更契約書)取得
 書面で明示(労契法15条)
 固定残業時間・内訳(基本給+固定残業代)を明示
 就業規則も更新が望ましい
 固定残業代を制度として導入している場合は、規定変更を伴うことも
 5.回答(3):最低賃金との整合性チェック
 固定残業代を導入する際は、以下の点が重要です。
 (1) 最低賃金割れがないか
 「基本給部分」が最低賃金を下回らないかを確認(※ここが最も見落とされがち)
 例えば:
  月給25万円(基本給19万円+固定残業6万円)で、東京の最低賃金1,113円とすると、
 19万円 ÷ 所定労働時間 173.8時間 ≒ 1,093円 ⇒ NG(最低賃金違反)
 (2) 固定残業時間と金額の整合性
 「この金額でこの時間分が含まれている」という説明が必要(≠名ばかり残業代)
 固定残業の時間数に応じた金額計算の根拠が必要
 6.推奨:契約書記載例(イメージ)
 月給:250,000円
 (内訳:基本給 190,000円+固定残業代 60,000円)
 固定残業代は、時間外労働40時間分相当の割増賃金として支払う。
 40時間を超える時間外労働については、別途法定割増賃金を支払う。
 ※現行が「45時間分」となっている場合は、変更契約で上記のように記載し直します。
 7.まとめ
 観点→回答
 (1) 契約変更の必要性→法的義務はないが、公平性確保と労務トラブル回避のため望ましい
 (2) 進め方→方針決定 → 対象者確認 → 個別説明 → 書面同意 → 契約変更
 (3) 最低賃金チェック→基本給ベースで最低賃金をクリアしているか要確認
 固定残業の時間数と金額の整合性も
 
 以上です。よろしくお願いいたします。                
投稿日:2025/06/24 17:43 ID:QA-0154431
相談者より
ご回答ありがとうございます。かしこまりました。
投稿日:2025/06/27 15:11 ID:QA-0154639参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
                ご質問について、回答いたします。
 
 >上記のような状態において、45時間で契約を締結している社員については
 >契約の巻き直し(時間数の統一)が必要でしょうか?
 ↑ ↑ ↑
 法令上は必須という訳ではありませんが、社内統制を行う上でも、
 合理的な理由が無い限り、社員間で不公平感が生じないよう、
 時間数の統一を行った方が良いでしょう。
 ---------------------------------------------------------------------------------------------
 
 >必要な場合、どういったフローで進めるのが望ましいか(同意書取得・説明
 >方法、適切な時期やタイミングなど)
 ↑ ↑ ↑
 変更タイミングは貴社の四半期など、切りの良いところで行うのが、
 わかりやすいですが、このタイミングというものはございません。
 一方で、今月から変更となりますと、事務担当も本人も困惑しますので、
 2ヶ月前程度に、変更を決定しておくのが良いでしょう。
 
 また、労働条件の変更となりますので、本人同意が不可欠となります。
 本人へ事情を説明し、同意書をとっていただくのが良いですが、
 新たな労働条件通知書に同意著名をいただくのが、進めやすいかと思います。
 
 説明方法については、変更者の労働時間実績に応じても変わってきます。
 仮に残業時間が毎月、45時間を大きく下回るようであれば、手取り給与が
 大幅に減りますので、その場合は基本給を上がるなど、事前の社内調整が
 必要です。支給される給与額が下がらないことを軸に、腹落ちする説明を
 行ってください。(あくまでも本人合意が必要な為)
 ---------------------------------------------------------------------------------------------
 
 >固定残業代の見直しにあたって、最低賃金との整合性チェックの観点で
 >注意点があれば教えてください
 ↑ ↑ ↑
 最低賃金が変われば、固定残業代も変わりますが、あくまで軸になるのは、
 固定残業代に対する、残業相当時間です。
 残業相当時間は労働条件が変わらない限り、基本は変動しませんので、
 毎年、賃金が変更都度、固定残業代も再計算し、金額変更を行う必要が
 あります。それにあわせて、固定残業代の金額が変更となりますので、
 雇用契約の再締結までは不要ですが、変更後の金額を対象者へ明示する
 必要があります。                
投稿日:2025/06/24 18:10 ID:QA-0154433
相談者より
ご回答ありがとうございます。かしこまりました。
投稿日:2025/06/27 15:14 ID:QA-0154640参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
                まず、25万で固定残業40h、45hであれば、
 いずれも最低賃金に満たないのではないでしょうか。
 
 次に固定残業代というのは、残業してもしなくても支給するものです。
 現状の実残業時間を確認する必要があります。
 
 また、総額25万から逆算して固定残業代を計算するのは、
 裁判例では、固定残業代ではないとされているケースがあります。
 
 ただし、
 同一グレード・同一業務内容にもかかわらず、残業時間に差があるのは不公平
 という見方もできます。会社がその理由を説明できない限り。
 
 会社の財政上どうしても、総額25万というのであれば、
 Aさんに単価を上げるが、その分固定残業は40hとなり、
 ただし、40h超の残業代がある場合には、別途支給しますということで、
 同意をもらうことです。
 
 雇用契約の再契約ではなく、給与辞令を発行し、Aさんの同意署名をもらってください。                
投稿日:2025/06/24 18:32 ID:QA-0154437
相談者より
ご回答ありがとうございます。かしこまりました。
投稿日:2025/06/27 15:19 ID:QA-0154641参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
                ご利用頂き有難うございます。
 
 ご相談の件ですが、従来45時間の固定残業代を支給されているとすれば、これを会社側で一方的に時間減とされる措置については、労働条件の不利益変更となり認められません。
 
 つまり、最低賃金が上がり残業単価が増えれば、増額された単価にて45時間分の固定残業代を支払うのが労働契約上当然の措置といえます。
 
 そのようにすれば、合法となるだけでなく示されたような従業員間の不公平な扱いも全く発生しませんので、会社の信頼を低下させない為にも多少コストがかかっても上記対応をされるべきといえます。                
投稿日:2025/06/24 23:27 ID:QA-0154448
相談者より
ご回答ありがとうございます。かしこまりました。
投稿日:2025/06/27 15:20 ID:QA-0154642参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
                正社員同士なので同一労働同一賃金とはつながりませんが、人事的にはこうした不公平な給与制度は大問題です。
 
 >契約の巻き直し(時間数の統一)が必要
 給与(残業代を除く時給の低い方)を上げることで調整して下さい。逆に給与を下げることはできません。
 
 給与を上げることになりますので、可及的速やかに行いましょう。制度設計、説明、実施で、重要な労働条件なので文書で通達します。
 
 尚、最賃に残業代は含まれませんので、本当に残業無しで最賃をクリアしているかどうかご確認下さい。                
投稿日:2025/06/25 09:57 ID:QA-0154469
相談者より
ご回答ありがとうございます。かしこまりました。
投稿日:2025/06/27 15:20 ID:QA-0154643参考になった
プロフェッショナルからの回答
					- 渡井 保仁
 - 渡井マネジメントオフィス 代表
 
                ご相談の件、以下のとおり回答いたします。
 
 雇用契約は従業員と個別に締結するものですので、AとBとで固定残業代が異なっても法的な問題はありません。しかし、同一グレードで労働条件が異なるのは不平不満のもとですので、固定残業代の残業時間数は統一したほうがよいでしょう。Aの固定残業代を5時間分減額するのであれば、何らかの補填措置を講じたうえで趣旨をよく説明し、Aの同意を得て雇用契約を再締結することが必要になります。
 
 本件のそもそもの問題は、「基本給+固定残業代=25万円」という賃金設定にあると考えます。最低賃金ないしは最低賃金を若干上回る時給に月あたりの所定労働時間を乗じた額を基本給とし、25万円から基本給を減じた額を固定残業代としているのではないかと推察しますが、それでは、毎年上がる基本給に対して、固定残業代(及びその時間数)は毎年下げなければならなくなります。また、就業規則等に固定残業代が何時間分でいくらなのかが分かる記載がないと、固定残業代とはみなされず、25万円が基本給とみなされてしまうリスクもあります。                
投稿日:2025/06/25 17:35 ID:QA-0154492
相談者より
ご回答ありがとうございます。かしこまりました。
投稿日:2025/06/27 15:21 ID:QA-0154644参考になった
    回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
    回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
    ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
    
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