出向契約について
現在該当社員へグループ会社への出向を会社より命じて人事手続きなどを行っている状況なのですが、出向元と出向先で契約条件面で注意しないといけない部分などご教示いただけないでしょうか?
質問①
例えば、出向元と出向先で勤務時間が異なる場合、原則出向先の就業規則に
準ずると出向規程上も定めているのですが、出向先の勤務時間が、出向元の勤務時間より短い場合(例:8時間勤務→7時間半勤務など)この30分間を超えた分から割り増しの時間外となるかと思いますが、その分を出向元で計算し、本人へ支給、そして出向先へ出向元は請求する流れを想定しているが問題ないか?
質問②
出向元は、管理監督者扱いであるが、出向先で非管理監督者の位置づけになると、出向先の所定労働時間を超えた部分をが発生した場合、出向元で計算し、割り増し手当分をその対象に払う必要があるのか?
投稿日:2025/06/17 18:06 ID:QA-0154066
- 人事🔰さん
- 東京都/繊維製品・アパレル・服飾(企業規模 5001~10000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
出向契約に関しては、労働者が「出向元企業との労働契約を維持しつつ、出向先企業の指揮命令下で労務を提供する」形態であるため、出向元・出向先双方で法的・労務管理的に整理すべきポイントが複数存在します。
ご質問に沿って順に回答いたします。
1.質問1
出向先の勤務時間が出向元より短い(例:8時間→7.5時間)場合、30分超えた分から時間外とみなして出向元で支給し、出向先へ請求する運用は問題ないか?
回答→この運用自体は原則として問題ありませんが、以下の点を整理・確認しておく必要があります。
検討・整備が必要な点
(1)出向契約書および出向規程の整備
・出向規程や個別の出向契約書に、「就業条件は原則として出向先の規定に従うが、賃金の支払い等は出向元が行う」といった基本方針を明記しておく。
・そのうえで、「出向元の所定労働時間を超える勤務に関する割増賃金は、出向元が支給し、出向先が負担する」旨を取り決めておく。
(2)労働時間の管理責任の明確化
・出向先での労働時間の実績把握を、出向元とどう共有・連携するかを事前に明確化(タイムカード・勤怠システム連携など)。
・出向先における「時間外労働の許可・命令権限」の所在も整理。
(3)労基法上の解釈
・労働時間に関する割増賃金の発生要件は、「実際に就労した時間数」が、出向先で定める所定労働時間および法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えるかどうかで判断されます。
・たとえば、出向先が1日7.5時間勤務であっても、1日8時間未満であれば法定時間外にはなりませんので、その0.5時間については「会社の判断で支給するかどうか」がポイントとなります。
つまり、出向先での勤務時間が7.5時間であり、毎日8時間勤務をしていた場合でも、法定時間外労働(=残業)ではない点に留意してください。
出向元が「所定の8時間超過=時間外」として取り扱うのであれば、それは社内ルール上の所定超過扱いとなり、割増賃金支払い義務は法定ではなく会社方針によるものです。
この場合、出向先との合意があれば出向先への請求も可能です。
2.質問2
出向元では管理監督者だが、出向先では非管理監督者扱いになる場合、時間外が発生したら出向元で割増手当を支払う必要があるのか?
回答→はい、原則として必要です。
(1)理由とポイント:
管理監督者の労働時間規制の対象外という扱いは、あくまで「実態」に基づき判断されるものであり、役職名や所属会社の名目ではなく、出向先での勤務実態が重視されます。
出向先で非管理監督者として勤務し、かつ時間外労働を行っているのであれば、その時間に対しては通常の労働者と同様、割増賃金の支払い義務が生じます。
出向元が雇用主である以上、割増手当の支払い義務は出向元にあります。
・ただし、出向先との契約(出向契約書)において「割増賃金相当額は出向先が負担する」旨を合意しておけば、後から出向先に請求することは可能です。
(2)補足:
管理監督者の適用判断は「労働時間の裁量があるか」「出退勤に裁量があるか」「賃金等の待遇が管理職にふさわしいか」などの実態基準に基づきます。
出向中にその実態がなくなれば、労働基準法上の管理監督者ではなくなるため、出向元としての取扱い(就業規則記載や役職名)がどうであっても、労基署の判断は変わります。
3.最後に:出向契約・労働条件通知書で整理すべきこと
項目→内容
労働契約の存続先→出向元(雇用契約は継続)
指揮命令権→出向先に一部委譲する旨(範囲を明確に)
就業規則の適用→出向先の就業規則に準拠とするが、例外事項(労働時間・給与支給方法など)も明記
労働時間・残業の管理方法→出向先の勤怠管理方法を準用し、出向元と連携する体制を明記
割増賃金の支払者と費用負担者→出向元が支払うが、出向先へ請求する旨の合意を契約書に明記
社会保険・労災→原則として出向元で継続加入(労災特別加入などが必要な場合も)
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/06/18 08:50 ID:QA-0154082
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
>割り増しの時間外となるかと思いますが、その分を出向元で計算し、
>本人へ支給、そして出向先へ出向元は請求する流れを想定しているが
>問題ないか?
↑ ↑ ↑
上記、ご記載の通りの見解です。
勤怠管理は、通常、出向先で行うかと思いますので、出向元は毎月、
出向者の勤怠情報を出向先から受領の上、給与計算処理を出向元が
行います。支払いも出向元となり、出向元は出向人件費を出向先へ
請求いたします。
但し、あくまで出向契約での取り決め如何となりますので、出向契約にて、
それぞれの役割分担、責任範囲・お金の流れを定めてください。
出向契約如何では、出向先が賃金を支払うことも可能ではございます。
>出向元は、管理監督者扱いであるが、出向先で非管理監督者の位置づけに
>なると、出向先の所定労働時間を超えた部分をが発生した場合、
>出向元で計算し、割り増し手当分をその対象に払う必要があるのか?
↑ ↑ ↑
出向先での立場が管理監督者でなければ、割り増し手当の支払い対象と
なります。本件における賃金トラブルは他社でも多いものとなりますので、
事前に出向時のルールを会社規程として取りまとめられることをお勧め
いたします。場合によっては、本人の不利益が生じない範囲で、出向者の
賃金構成そのものを出向時に調整するケースもございます。
投稿日:2025/06/18 09:35 ID:QA-0154087
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
①それで問題ありません。
出向契約は、出向先・出向元間で合意すれば、どういう内容であっても構いません。
②当然そうなります。
非管理監督者(いわゆる通常の管理職)であれば、一般社員と同様の扱いになります。
投稿日:2025/06/18 09:55 ID:QA-0154089
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
1.問題ありませんが、
出向契約書で明確にしておく必要があります。
2.出向先で管理監督者に該当しないのであれば
残業代が発生します。
投稿日:2025/06/18 11:38 ID:QA-0154101
プロフェッショナルからの回答
対応
1.問題ないでしょう。齟齬が発生しないよう、明確に取り決めを文章化しておいてください。もちろん8時間未満の残業は割増対象外です。
2.非管理監督者なので、割増対象です。
投稿日:2025/06/18 18:04 ID:QA-0154135
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、質問1につきましては、出向元より勤務時間が短いという事でしたら、現行の出向元賃金額を支払う事でも差し支えございません。勿論、割増計算等で多めに支給されても労働者に有利な措置になりますので問題はございません。
質問2につきましては、当然に業務実態で判断されますので、ご認識の通りです。
投稿日:2025/06/18 23:10 ID:QA-0154148
プロフェッショナルからの回答
出向者の視点
一般的・包括的な回答となり、誠に恐縮です。
【御相談】現在該当社員へグループ会社への出向を会社より命じて人事手続きなどを
行っている状況なのですが、出向元と出向先で契約条件面で注意しないとい
けない部分などご教示いただけないでしょうか?
【回答】出向元の労働条件(労働時間、賃金、地位等)と出向先の労働条件を比較し
て、後者が劣る場合、どのように対処するのかという論点があろうかと存じま
す。
就労先が異なることから労働条件の変更そのものは不可避と考えられます。
しかし、通常、出向者は出向元の労働条件が維持されることに強い期待を有す
るものであると認識されます。このため、当該出向を円滑に進めるうえでも、
出向元と出向先との協議(出向協定)によって、どのように分担して、不利益
緩和措置等当該期待に応えていくのか明らかにしていくことが重要であると考
えられます。
投稿日:2025/06/19 07:39 ID:QA-0154154
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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