入社即時の有休付与について
この度、社員には入社時即10日の有休付与を検討しています。
ただし、パートについては従来通り半年後の付与を継続したいと考えています。
同一労働同一賃金的にこのような取扱いは問題でしょうか?
投稿日:2025/05/30 15:59 ID:QA-0153300
- 総務の課長さん
- 東京都/その他メーカー(企業規模 101~300人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
結論、以下の条件が1つでも該当すれば、問題ございません。
通常、問題ないに該当するかと存じます。
勿論、会社規程に付与日の定めは必要です。
<以下の条件が1つでも該当すれば問題ございません>
・職務内容が正社員とパートで違う
・職責が正社員とパートで違う
・人事異動の取扱いが正社員とパートで違う
・職務転換の取扱いが正社員とパートで違う
※正しい表現としては、無期契約の社員と有期契約の社員となります。
上記が正社員とパートで全く同じことは余りないケースだと思いますが、
仮に、同じとなりますと、正社員とパートは同じ取扱いが原則です。
投稿日:2025/05/30 16:59 ID:QA-0153304
相談者より
ありがとうございました。
明確に異なりますので安心いたしました。
投稿日:2025/05/30 18:34 ID:QA-0153312大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
「社員に入社時即10日付与」「パートには従来通り6ヶ月後に比例付与」という運用をお考えとのことですが、これは 同一労働同一賃金の観点からは「違法とは限らない」が、注意が必要な運用です。
1.結論
観点→判断
法令違反か→一律違法とは言えない(要件次第で許容されうる)
問題になりうるか→労働内容・責任等が類似する場合は、不合理と判断されるおそれあり
対応策→処遇差の「理由」「目的」を明確化し、文書化・説明可能にしておくこと
2.法的背景:同一労働同一賃金とは?
パートタイム・有期雇用労働法(旧パート労働法)により、正社員と非正規社員(パートなど)との間で、不合理な待遇差を設けることは禁止されています。特に「休暇」に関しては、「基本給」「賞与」「福利厚生」と並び、不合理な差がないかが注視される代表項目です。
3.ご質問の取扱いのポイント
(1)労働内容・責任・配置の違いがある場合は、取扱いの差が許容される可能性あり
例:
社員:フルタイム・転勤あり・業務範囲広い
パート:短時間・転勤なし・業務限定的
→ このような明確な職務や責任の違いがあれば、有休付与の時期の違いも合理的と判断されやすいです。
(2)内容が類似している場合は「差の理由」が求められる
パートでもフルタイムに近い勤務
社員と同様の業務内容
実質的に違いがあまりない
→ この場合、「社員は定着支援のために特別に付与」「職種や配置が異なるため」といった合理的な説明が不可欠です。
4.実務上の対応ポイント
対応→内容
(1)就業規則・社内規定に付与基準を明記する(「社員には特別付与制度あり」など)
(2)差を設けた理由を社内に説明可能な形で整理しておく(採用条件書、制度趣旨書など)
(3)パートに対しても、少なくとも法定通りの付与は厳守する(6ヶ月後の比例付与など)
5.裁判例にも注意(長澤運輸・ハマキョウレックス事件など)
労働条件の差が不合理かどうかは「職務内容」「責任」「配置変更の有無」「その他の事情」を総合的に見て判断されます。
単に「正社員だから」ではなく、「合理的理由があるかどうか」が重要です。
6.まとめ
入社即時付与は、福利厚生上の厚遇措置として許容され得るが、社員とパートで職務内容が類似している場合には不合理と判断されるおそれがあります。
差を設ける場合は、「目的」「基準」「理由」を社内規定と整合的に整理し、説明責任を果たせるようにしておくことが重要です。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/30 17:00 ID:QA-0153305
相談者より
詳しくありがとうございました。
パートもフルタイムなので、違いに気を付けて整理いたします。
投稿日:2025/05/30 18:39 ID:QA-0153313大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
パートについては従来通り半年後の付与を継続する理由は何でしょうか。
会社として、例えば、
働き方、業務上の都合等で社員と差をつける理由として説明がつけば、
必ずしも、不合理とは言えないでしょう。
投稿日:2025/05/30 17:28 ID:QA-0153308
相談者より
工場現場としては入社後即有休取得して退職されるケースを嫌った形です。
投稿日:2025/05/30 18:40 ID:QA-0153314大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
イメージ例
以下、回答させていただきます。
(1)「パートタイム・有期雇用労働法」第8条において「不合理な待遇の禁止」
が定められています。
(2)そこでは、「事業主は、雇用するパートタイム・有期雇用労働者の基本
給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、その待遇に対応する通常の労働
者の待遇との間において、パートタイム・有期雇用労働者と通常の労働者の
職務内容、職務内容・配置の変更範囲(人材活用の仕組みや運用など)、そ
の他の事情のうち、その待遇の性質及び目的に照らして適切と認められるも
のを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。」とされてい
ます。
(3)上記(2)の「待遇」については、「年次有給休暇」を含むとされていま
す。
(4)本件であれば、例えば、上記(2)の「その他の事情」として、「年次有
給休暇の計画的付与」が考えられるのではないでしょうか。
1)計画的付与は年次有給休暇の日数のうち5日を超える部分が対象にな
る。このため、対象者が「正社員」に限定されることになる。
※ ここでは、パート労働者の週所定労働日数は3日まで、付与
日数は5日までと仮定。
※ 場合によっては、週所定労働日数が4日以上のパートタイム
労働者を「入社時即年次有給休暇付与」の対象とすることも
一案。
2)よって、「正社員」のみ「入社時即年次有給休暇付与」することと
し、「他の正社員」と同様に(同じ一年間を通じて)計画的に年次有給
休暇を取得してもらう(班別の交替制付与方式あるいは個人別付与方
式)。これは不合理とは言えないのではないか。
(5)以上、イメージ例として、ご参考になれば幸いです。
投稿日:2025/05/30 21:33 ID:QA-0153323
相談者より
当社の場合、パートも社員と同じくフルタイムですが、今後も踏まえ、参考にいたします。
投稿日:2025/06/02 09:09 ID:QA-0153354大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、厚生労働省のガイドラインにおきましても、法定の年次有給休暇に関しまして同一の取り扱いが必要とされる旨の内容は示されておりません。
加えまして、年次有給休暇に関しましては、現行法上でも所定労働日数に応じて付与日数に差が設けられています。
従いまして、所定労働日数に差が有る等の合理的な理由が有れば、入社時の取り扱いに差を設けられても違法とはならないものといえます。
投稿日:2025/05/30 21:55 ID:QA-0153327
相談者より
ありがとうございました。差異について明確に説明できるようしたいと思います。
投稿日:2025/06/02 09:06 ID:QA-0153353大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
正社員とパート従業員とでは、当然、職務範囲や責任と権限が異なるでしょうから、その運用で基本的には問題はありません。
ただし、正社員には法を上回る運用、パート従業員には法定どおりの運用ですから、パート従業員からその違いについての理由を問われた場合、明確な説明ができれば合理性も認められるでしょう。
投稿日:2025/05/31 08:41 ID:QA-0153334
相談者より
参考にいたします。ありがとうございました。
投稿日:2025/06/02 09:04 ID:QA-0153352大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご相談内容について回答いたします
「同一労働同一賃金」の趣旨から見た場合に、問題となる可能性があります。
厚生労働省が公表している「同一労働同一賃金ガイドライン」では、 職務内容や責任の程度が同じである場合、待遇差を設けることは不合理と判断される可能性が高いとされています。
今回のケースでも、社員に対しては入社時即10日の有給休暇を付与するが、パートタイマーの方へは半年後に付与するという取扱いが、職務内容や責任の程度が同じ、あるいは非常に近いにもかかわらず、雇用形態のみを理由に有給休暇の付与時期に差を設けることであれば、同一労働同一賃金の観点から問題となる可能性があります。
なぜ社員には入社時即10日の有休を付与し、パートについては従来通り半年後の付与を継続しようとするのか、雇用形態による待遇差として有給休暇の付与時期の差を、職務内容、責任の範囲、異動の有無、貢献度、会社の期待する役割などの違いを理由として、合理的に説明できるか検討してください。
例えば、
・正社員は長期的なキャリア形成を前提としており、会社への貢献度も高いため、入社時点でのモチベーション向上と安心して働ける環境を整えることを目的として入社時即10日として早期に付与を行っている。
・パートは基本的には短期での雇用を想定しており、また1カ月の勤務日数も正社員と比べると多くなく、加えて採用当初の雇用契約期間を6カ月と定めているため、雇用契約が更新されるタイミングの半年後の付与としている、等。
ただし、訴訟等になった際、この理由が裁判等で認められるかはケースバイケースであり、慎重な検討は必要となります。
もし、合理的な理由が明確に説明できない場合は、待遇差を解消する方向で検討すべきでしょう。
投稿日:2025/06/01 07:40 ID:QA-0153340
相談者より
論点明確になり参考になりました。ありがとうございました。
投稿日:2025/06/02 09:11 ID:QA-0153355大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
業務内容が違うはずなので、ただちに問題にはならない可能性が高いですが、トラブルになった時の合理的説明がつくように準備しておいて下さい。
>パートは短期で辞める人が多い
そうした実績を残しておく必要があります。
投稿日:2025/06/02 09:51 ID:QA-0153359
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2025/06/02 16:48 ID:QA-0153408大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
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