有休休暇取得時の労働時間算入の必要性
一週間の内、法定外休日(土曜日)で社員に労働させ、その労働者が同一週内で有休を取得していた場合の労務時間の捉え方についてご教示いただきたい。
小生の捉え方としては、有休取得日分も8時間労働とみなし、且つ法定外労働を加算する必要があると考えています。
給与ベースではなく、労務時間との観点でご意見を賜りたく、法的に正しい見解をご教示いただきたくお願いいたします。
投稿日:2025/05/27 14:13 ID:QA-0153041
- たろぼうさん
- 富山県/医薬品(企業規模 101~300人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.ご質問の状況整理(例)
1週間のうち
平日:4日勤務 + 1日有給休暇(8時間)
土曜日(法定外休日)に労働あり(例:8時間)
1週の労働日数合計:5日出勤 + 1日有休
1週の稼働日数:6日間(ただし有休含む)
2.労基法上の労働時間の定義
労働基準法上、「労働時間」とは、使用者の指揮命令のもとに置かれている時間を指します。したがって、有給休暇で労務提供がなかった時間は、法的な意味での「労働時間」ではありません。
3.有給休暇は労働時間に含まれるのか?
結論→含まれません(法的には労働時間に該当しない)
有給休暇は賃金が支払われるため、「出勤した」ように給与上は扱われます。
しかし、労基法上は労務提供がない=労働していない時間であり、労働時間にはカウントされません。
4.法定労働時間と時間外労働の判断
労働基準法第32条により、1週の法定労働時間は原則40時間(1日8時間×週5日)です。したがって、
(1)1週間で実際に労働した時間(=労務提供時間)が40時間を超えているか否か
(2)法定休日(通常は週1回、日曜日など)に労働したかどうか
により、時間外労働(割増対象)が判断されます。
5.ご相談のケースへの適用
出勤したのは4日 × 8時間 = 32時間
有休:8時間 → 労働時間には含めない
土曜日勤務(法定外休日):8時間
実際に労働した時間(=労基法上の労働時間)
→ 32時間(平日)+8時間(土曜)=40時間
結果→週40時間以内に収まっている
6.結論
このケースでは、労働時間の合計が週40時間以内であるため、
法定労働時間は超えておらず、時間外労働には該当しません。
7.よくある誤解と補足
有給休暇を「8時間労働した」とみなす → 誤りです。
給与計算上は「所定労働日」扱いされますが、労基法上の「労働時間」には該当しないため、週40時間計算には入れません。
8.実務上の運用アドバイス
項目→実務での取り扱い
有休取得日→労働時間としてはカウントしない
土曜出勤(法定外休日)→労働時間としてカウントするが、週40時間を超えない限り残業にはならない
残業判断→あくまで「実働時間ベース」で週40時間を超えたかどうかで判断する
9.まとめ(労務時間の観点で)
内容→法的扱い
有給休暇取得時間→労働時間 ×(含まれない)
実際の勤務時間→労働時間 ○(含まれる)
土曜日労働→法定外休日であっても、週40時間以内なら割増不要
残業の判断基準→週の実労働時間が40時間を超えたかどうか
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/27 14:44 ID:QA-0153044
相談者より
大変分かり易いご説明を短時間でご回答いただきありがとうございました。
追加にて質問させていただくと、「有休」部分が「代休」であった場合の考え方も同一と理解しても問題ありませんでしょうか。
五月雨で恐縮ですがよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/27 16:22 ID:QA-0153048大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答させていただきます。
割増賃金は法定時間外の労働時間に基づいて計算されますが、
上記、労働時間の解釈は、実際に働いた、実労働時間となります。
よって、年次有給休暇の取得日においては、実際に働いた実労働時間に
該当いたしませんので、法定外労働として加算を行うことはございません。
投稿日:2025/05/27 15:15 ID:QA-0153045
相談者より
ご回答いただきありがとうございました。
有休休暇を労働時間に算入することはないとの考え方について理解いたしました。
投稿日:2025/05/27 16:53 ID:QA-0153052大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
月~金で1日有休、土曜日出勤した場合ですが、
例えば、土曜日も含めて、
実労働時間8×5=40h、有休1日8hとした場合
8h分の通常賃金(法内残業)を支払えば問題ありません。
割増賃金は実労働時間が1日8h又は1週40hを超えた場合に必要ですが、
1日8h1週間40hであれば、割増は不要です。
投稿日:2025/05/27 16:22 ID:QA-0153049
相談者より
ご回答ありがとうございました。
他の方のご回答と合わせ勉強になりました。
投稿日:2025/05/28 07:51 ID:QA-0153083大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
大変分かり易いご説明を短時間でご回答いただきありがとうございました。
追加にて質問させていただくと、「有休」部分が「代休」であった場合の考え方も同一と理解しても問題ありませんでしょうか。
五月雨で恐縮ですがよろしくお願いいたします。
にご回答申し上げます。
基本的な考え方は、ご説明させていただいた通りです。
個別の事案の最終的な判断は、所轄の労働基準監督署の担当者の判断になりますので、本質問は、所轄の労働基準監督署の監督官にされることをお勧め申し上げます。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/27 17:37 ID:QA-0153055
相談者より
あらためてのご回答ありがとうございました。
大変参考になりました。
必要に応じて所轄の労働基準監督署にも相談いたします。
投稿日:2025/05/28 07:55 ID:QA-0153084大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
「法定労働時間(40時間)」の起源
以下、御参考になれば幸いです。
(1)労働基準法第32条では、以下のことが定められています。
1)使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、
労働させてはならない。
2)使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日に
ついて8時間を超えて、労働させてはならない。
(2)このうち、「1週間について40時間」に関しては、その起源は、国際労働機
関の「労働時間を1週40時間に短縮することに関する条約」(第47号)
(1935年)にあると認識されます。当時は各国とも深刻な不況に直面し失業
者があふれ、こうした状況を緩和するために、1週の労働時間を40時間に短
縮する旨の、この条約が採択されたようです。
こうした経緯も踏まえれば、「40時間規制(法定労働時間)」の対象はあ
まで実労働時間であり、有給取得分が対象になる余地はないと考えられま
す。
因みに、年次有給休暇については、国際労働機関において、別途、翌年
(1936年)「年次有給休暇に関する条約」(第52号)を採択しています。
投稿日:2025/05/27 21:05 ID:QA-0153077
相談者より
ご回答ありがとうございました。
週40時間労働に至った経緯についても知ることができ勉強になりました。
投稿日:2025/05/28 09:02 ID:QA-0153087大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
労働基準法は ”実労働時間主義” を採っており、有給休暇取得日は労働時間としてカウントしません。
しかがって、法定外休日(土曜日)に労働させても、週の労働時間が有給休暇取得日を除いて40時間を超えなければ、時間外労働も発生しません。
ただし、時間外労働は、まず「日」で診て、次に「週」で診ていきます。
たとえば、1日の所定労働時間を8時間とした場合、月曜に9時間働けば、週の労働時間が40時間以内に収まってはいても、月曜は1時間の時間外労働が発生したものとして取り扱う必要があります。
投稿日:2025/05/28 07:46 ID:QA-0153082
相談者より
ご回答ありがとうございました。
皆様からのアドバイスにより、あらためて周辺知識を固めることができました。
投稿日:2025/05/28 09:03 ID:QA-0153088大変参考になった
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