株式会社ねぎしフードサービス:
目指すは「100年企業」
従業員満足と低離職率を実現する
ねぎしの“人財共育”とは
対話と徹底した理念共有で外国人アルバイトを戦力化
全従業員で経営理念を唱和し、それについて意見を述べ合うとのことですが、従業員には外国の方もたくさんいらっしゃいます。言葉のハンディはないのでしょうか。
石野:現在、弊社のアルバイトの約3割が外国人で、日本人アルバイトをAパートナー、外国人のアルバイトをFパートナーと呼んでいますが、Fパートナーにも理念をより深く理解してもらうために、母国語に翻訳したものをつくりました。とくに中国人スタッフが店員の9割を占める秋葉原店や上野駅前店では、日本語で唱和した後、中国語バージョンでも唱和しています。もちろん日本人を含め、全員で。同じ“働く仲間”ですからね。
相良:理念共有の一環として年1回、社員もアルバイトも関係なく「私と経営理念」と題した作文を書き、文集にまとめるという取り組みも行っているのですが、Fパートナーにも日本語で提出してもらっています。文章も、めきめき上達しました。
すごいですね。そこまで徹底するところはなかなかありません。
石野:もっとも、最初は必要に迫られてというか、日本人が採用できないのでやむを得ず外国人を採用していたのは否めません。正直、お客様からもアンケートなどで「なんで外国人なの」「日本語が通じない」といった厳しいお言葉を頂いたんですよ。そんなとき、秋葉原店の店長が中国人のスタッフに強く訴えたんです。「僕はこんなふうに言われるのが悔しい。外国人だからできないんじゃなくて、外国人なのにここまで素晴らしい接客ができるんだというふうに変えていこう」と。それからですね、いろいろな取り組みが始まったのは。Fパートナーに作文を書いてもらう活動も秋葉原店から始まって、全社へ広がっていきました。
相良:他に、外国人が外国人を“共育”する「Fパートナーのリフレッシュ研修」なども実施しています。Fパートナーの戦力化を図るために、キャリアを積んだFパートナーが講師役となり、理念から実際の接客までトレーニングを行うという活動で、外国人同士の交流の場としても効果を上げています。また、年2回Fパートナー懇親会も開催し親睦を深めています。
外食産業にとって多国籍の職場環境はもはや当たり前ですが、御社の取り組みをうかがっていると、“違い”を乗り越えようと努力するプロセスそのものがチーム力を磨き、均一性の高い組織よりも、かえって連携が強まっていったように思えます。
石野:おっしゃる通りです。現に、昔は秋葉原店は顧客満足度調査で下位になることが多かったのですが、2年ぐらい前から常に上位にランクインするようになりました。心から仲間として迎え入れ、対話を重ねながら粘り強く理念の共有を進めていくうちに、Fパートナーがものすごく協力してくれるようになったんです。今ではむしろ積極的に、外国人の方の採用を進めているんですよ。
相良:弊社では年齢や性別はもちろんのこと、社員かアルバイトか、日本人か外国人かで区別されることはありません。「働く仲間の幸せ」を実現するために、明確な経営理念のもと、誰もが「ねぎしの一員」だという意識をもって業務に取り組んでいます。