目指すのは三つの“C”――Change、Challenge、Create
人財を通じて改革を推進する「レナウン元気塾」の挑戦
川口 輝裕さん(管理本部 人事部 人材開発課 課長)
篠崎 巳奈さん(管理本部 人事部 人材開発課)
100人100通りの活かし方を一つにまとめて
さて、レナウン元気塾がスタートして3年が経とうとしています。あらためて変化の手応えをお聞かせください。
川口:ジュニアボードにせよ、yeyeにせよ、いかにレナウンを良くしようかという発想が、若手のなかに根づき始めたのではないかと思います。これはひとつの進歩ですね。プレゼンテーションをさせても、個人から組織、組織から会社全体とより高く、より広い視点に立って提案できるようになってきましたし、現に、そういう部分の成長を認められて他部署から声を掛けられたメンバーもいます。トップの意識も変わってきました。「いつでも、何でも聞くから、みんなも説明責任を果たしてほしい」と。ですから社長自らどんどん質問しますよ。若手のプレゼンや説明にも容赦はありません(笑)
篠崎:私は営業や企画を経験して、管理部門に移ってきました。人事部では、お客様やお取引先と直接接することはありません。でも研修や面談に臨むとき、私は目の前の従業員一人ひとりを通して、必ずお客様に伝わると思って取り組んでいます。彼らの先にお客様がいらっしゃるんだと。ですから「セールストークを考えて接客したら売れた」「研修で習った言い方を試してみたら、コミュニケーションが良くなった」などと言われるとすごく嬉しいし、何よりもお客様に伝わるんだという実感が湧いてワクワクします。若い人にもぜひ、そういうワクワク感を大事にしてほしい。仕事に向かうときにワクワクする気持ちがあるか。ワクワクするにはどうすればいいのか。当社は基本理念に「感性創造企業」と謳っています。感性もまた、自分のなかのワクワクを追求することで磨かれていくのではないでしょうか。
全員が常にワクワクしながら成長し活躍できる職場。それこそが「元気塾」というネーミングに託された、人財育成環境の理想なんですね。
川口:人事部の役割には、従業員に関する制度や規則を厳格に適用する“法の番人”的な側面もたしかにあります。しかしそれとは別にあえて「人材開発課」というセクションが設けられ、自分がその長を任されたとき、私は、この組織の仕事は制度や規則を管理することだけではない、人を活かすことに徹しようと考えました。人の活かし方は従業員の数だけあります。まさに100人100通り。一人ひとりの活かし方で、一人ひとりの人財としての価値を高めながら、なおかつ全員のベクトルは同じ向きに合わせないと企業は成り立ちません。そのためにどんなサポートをすればいいか、知恵を絞るのがわれわれの使命であり、やりがいでもあります。元気塾をスタートさせて3年。まだまだ業績につながるような結果は出ていないし、自分でも成果を実感できるところまでは到達していません。ただ取り組み自体は間違っていないし、途中のプロセスとしては成功なのかなと思っています。実際にポジティブアクションの表彰を受けたり、こうしてメディアに取り上げていただけたりするわけですからね。大いに励みになりますよ。
(取材は2011年12月13日、東京・品川区のレナウン本社にて)