再就職支援サービスの傾向と選び方
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再就職支援とは、企業が業績悪化などを理由に人員整理を行う際に、対象となった従業員に次のキャリアをサポートすることをいいます。「人員削減を行う企業」が人材紹介会社に再就職支援を委託し、費用を支払います。企業がこれまで貢献してくれた従業員に対して、次のキャリアへ橋渡しすることで、退職者の精神的・経済的な不安を緩和する効果があります。
再就職支援とは
再就職支援とは、企業が業績悪化などを理由に人員整理を行う際、対象となった従業員に次のキャリアをサポートすることです。
再就職支援は、企業が自社の従業員の再就職の支援を人材紹介会社に委託します。人材紹介会社は、求人情報の紹介だけではなく、キャリアカウンセリングやスキルアップツールの提供などを通じて内定をサポートします。
再就職支援と一般的な転職の人材紹介の違いは、ビジネスモデルにあります。一般的な転職の人材紹介会社は、求人を出した企業が報酬を支払いますが、再就職支援では「人材削減を行う側の企業」が費用を支払います。
日本で再就職支援サービスがはじまったのは1980年代ごろです。プラザ合意に伴う円高不況の進行をうけて、1987年に行政機関である産業雇用安定センターが発足しました。またバブル崩壊などをきっかけとして徐々にサービス提供会社が増え、現在は主に大手の人材紹介会社が再就職支援事業を展開しています。さらに、公的機関「産業雇用安定センター」が行う再就職支援もあります。
再就職支援を活用するメリット
再就職支援サービスの目的は、単純に再就職先を紹介するだけではなく、会社都合で退職を余儀なくされる従業員の経済的・精神的なケアを行うことです。利用することで得られるメリットについて、企業側・従業員側の視点から解説します。
企業側のメリット
会社側の主なメリットは、退職者のケア、企業イメージダウンの回避、在職者のケアです。
会社都合での退職者をケアできる
会社都合の退職は、従業員に大きなショックを与えます。退職を告げられた従業員は、今後のキャリアや経済的な面について不安を感じるでしょう。再就職支援では、これまで会社を支えてくれた従業員の次のキャリア構築に対して会社が積極的に支援します。企業の負担で再就職先を支援するため、従業員にとって転職活動への不安が軽減されます。
従業員からすると、支援を受けながらキャリアを見つめなおす機会でもあります。再就職支援サービスを通して、履歴書の添削や面接のトレーニング、キャリアカウンセリングなどの一連の支援を受けることができます。前向きな気持ちで、次のキャリアを検討しやすくなるでしょう。
企業のイメージダウンを避けることができる
退職時の対応によっては、従業員は企業に悪い印象を抱いてしまうかもしれません。人員整理にあたりフォローがないと、口コミサイトやSNSで厳しい評価が広まる可能性があります。再就職支援は、企業のイメージダウンを避けることにつながります。
今後も在籍する人の不安を和らげることができる
やむなく退職をお願いする人に対して、手厚く支援する姿を見せることで、在職者は安心して働くことができます。従業員のキャリアと真剣に向き合っているという会社の姿勢を示すことにもつながるでしょう。福利厚生の一環として、再就職支援サービス制度を設けている企業もあります。
退職者側のメリット
退職者にとっては、次の就職先に向けての不安軽減が大きなメリットとなります。
再就職へのサポート体制が明確になることで、不安が軽減
次の就職先を探す過程で、従業員は大きな不安を感じます。特に人員整理の対象になりやすいミドルシニア層は、若年層と比較すると転職が一般的ではないため、転職活動に不安を覚えやすいかもしれません。再就職支援によって、職務経歴書の書き方や面接ノウハウの支援を受けたり、キャリアについてのアドバイスをもらえたりすることは、従業員にとって安心につながるでしょう。
費用面の心配をせず次の仕事が探せる
再就職支援サービスは、人員整理を行う企業が費用を支払います。従業員は費用面の心配をすることなく、応募書類の添削やスキルアップの支援も受けられます。
再就職支援の注意点
再就職支援を利用する際は、通常の人材紹介とは異なる部分があるため、注意が必要です。
費用は自社が負担する
再就職支援のサービスを利用するには、企業が費用を負担する必要があります。人員整理の対象となった従業員が個人で登録することはできません。また企業は、再就職支援を人材紹介会社などに委託した場合に一定の助成金が支給される「労働移動支援助成金」を活用できます。
再就職先が決まらないこともある
再就職支援を委託した場合も、再就職先の決定率は100%ではありません。次の就職先が決定するかどうかは、受け入れ先の企業の判断次第です。再就職支援を従業員に案内する際は、再就職先を確約するものではなく、あくまで支援という位置づけであること、再就職先の決定は通常の転職活動と同様であることを伝えます。
再就職支援以外のフォローも用意する
企業は従業委員の再就職を支援するため、可能な限りフォローする必要があります。
たとえば、人員整理の対象となる可能性が高い従業員に対して、デジタル関連のスキルなど需要の見込まれるスキル教育を提供し、新しいキャリア形成を支援する「アウトスキリング」は、企業ができる支援の一つです。解雇を行う前に、従業員のスキル習得を支援することで、成長産業への就職・転職へとつなげます。
また、新たに人材が必要な企業と雇用関係を結びなおす「転籍型出向」も、人員整理の目的を果たして従業員のキャリアを支援する選択肢となります。
企業に所属したまま起業したり、スタートアップ企業に出向したりする「出向起業」も注目を集めています。経済産業省が2020年に新設した、出向起業を支援する補助金制度「大企業人材等新規事業創造支援事業費補助金」の活用も検討すると良いでしょう。
再就職支援の流れ
最初に、企業が再就職支援サービスを行う会社と契約を結びます。その後の流れは、一般的な人材紹介会社と基本的に同じです。再就職支援サービスの担当者(キャリアアドバイザー)は、対象者と個別に面談し、中長期的な視点でキャリアプランの設計をサポートします。
再就職支援サービスの選び方
再就職支援サービスを利用するのは、従業員のサポートが主な目的です。委託先を選ぶ際は、支援の内容を吟味することが重要です。
キャリアカウンセリングの質
キャリアカウンセリングは、再就職支援において多くの場合、本人たちへの直接的な最初の支援です。本人の適性や希望を把握する上で、大変重要です。丁寧なカウンセリングは、従業員に安心感をもたらします。転職市場の状況を共有し、生かせる経験や強みを気づかせてくれるカウンセリングは、キャリアプランの設計に役立つでしょう。
キャリアカウンセリングが、対象者にとって良いものとなるかどうかは、担当者の力量次第です。人材紹介において長年の経験があるか、キャリアカウンセラーなどの資格を有しているか、担当は専任かなどを確認します。
人員整理の対象になった退職者は精神的なショックを受けることもあります。再就職支援では、一般的なキャリア支援以上に、精神的に寄り添うカウンセリングが求められます。
支援の手厚さ
再就職に向けた準備段階では、本人のスキルアップが重要です。セミナーやeラーニングなどで再就職に役立つスキル習得を支援するほか、履歴書の添削や模擬面接対策も欠かせません。面接に進むまでに、どのような支援サービスがあるのかを確認します。再就職支援を行う企業の中には、メンタルヘルスのサポートや、家計資金計画などの経済的支援を行う会社もあります。
再就職の実績
再就職に至るまでの期間、決定率、その後の定着率などを確認します。
求人数
紹介してもらえる求人数を確認します。再就職支援の対象となる従業員が中高年の場合、セカンドキャリア・シルバー人材を対象とした求人数についてもチェックすると良いでしょう。
業界、職種などの得意分野
退職者の経験と関連する業界や職種に強みがあるかどうかを確認します。再就職支援サービスを受けた人の事例や声も、次のキャリアを検討する際の参考になります。
費用
委託にかかる費用を確認します。サービス提供企業によって異なりますが、退職者1人当たり50万円~100万円が相場です。
オンライン対応
オンライン対応は、利用者の利便性を向上させることに加え、移動にかかる費用を軽減することができます。キャリアカウンセリングやスキルアップ支援、選考のサポートなど、どの対応までオンラインで対応できるかを確認します。
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