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主要キーワードに見る、2020年以降の米国労働市場とリスキリング(後編)

リクルートワークス研究所 客員研究員 後藤 宗明氏

主要キーワードに見る、2020年以降の米国労働市場とリスキリング(後編)

新型コロナウイルス感染症の影響から順調な景気回復を遂げた米国では、急激な物価上昇と政策金利の引上げ、ロシアによるウクライナ侵攻等によって経済成長に陰りが見え始めた。後編では、米国で登場している新たなキーワードとともに、米国の労働市場の現在について紹介する。

Quiet Quitting(静かな退職)という動き

2022年7月頃から、米国のSNS上で流行し始めたのが、「Quiet Quitting(静かな退職)」という言葉である。この時期は前述したThe Great Resignation(大退職)が変わらず進行中であったが、それと並行して実際に退職するのではなく、必要最低限な業務はこなしつつ、自分のワークライフバランスを第一に考える働き方や価値観を表す言葉として、Quiet Quittingが注目されたのである。

このような価値観が広まった背景には、Hustle Cultureと呼ばれる、仕事における成功を最優先に考える生き方とは異なる選択をする若い世代の価値観が色濃く反映されている。同時に、そうしたHustle Cultureに身を置き、燃え尽き症候群に陥ってしまった際に、自分の身を守るための対処法としても注目されるようになった。

図表1 米国の労働市場をめぐるキーワード
図表1 米国の労働市場をめぐるキーワード

Labor Hoarding(人材の囲い込み)とリスキリング

米国のJOLTS(求人労働異動調査)によると、米国の労働市場全体のレイオフの人数は2023年2月に150万件と低水準での推移を脱しておらず、また米国の労働省によると2023年3月の失業率も3.5%と、同様に歴史的な低水準を続けている。
2022年以降、米国経済に陰りが生じてきたにもかかわらず、なぜ同国の労働市場が全体として安定した状態を続けてきたのだろうか。その理由の一つは米国企業が、近年急激なレイオフとその反動による人材不足に直面した反省から、「Labor Hoarding(人材の囲い込み)」を行っているからだと言われている。Hoardingは「買いだめ」などを意味する言葉で、Labor Hoardingは不況期や経営状況悪化時期にも、労働者をレイオフせずに雇用を維持する慣行を指す。迅速なレイオフにより経営状況悪化に対応してきた米国企業の従来の慣行とは異なるが、背景にあるのは、人材不足の状況においては拙速にレイオフを行うよりも、優秀な人材を維持した方が、最終的なコストパフォーマンスが高い、という考えである(図表2)。リスキリングは、このように人材を囲い込む際の重要な手段の一つとして位置づけられている。

図表2 Labor Hoardingのメリットとデメリット

メリット

  • 急激な需要増に柔軟に対応可能
  • 人材維持のため企業がリスキリングに積極投資
  • 新しい従業員の雇用と育成にかかる費用を回避
  • 景気後退期にも安定した労働力を維持
  • 従業員のモラルを高め、離職率を低水準に維持

デメリット

  • 短期的には必要以上に人件費が高騰
  • 個人のキャリアアップの機会が制限される可能性
  • 生産性およびサービス等の品質が低下
  • 従業員の向上心の減退
  • 革新性と適応性を失い、競争力が低下

従業員のCareer Cushioning(キャリア・クッショニング)とリスキリング

このように米国企業がLabor Hoardingを行ってきたこともあり、同国の失業率は2023年2月時点で3.6%と歴史的な低水準を続けているが、この間にも労働者の意識は着実に変化している。その証左として、Quiet Quittingに代わる職場のトレンドとして2022年11月頃から注目を集めているのが、Career Cushioning(キャリア・クッショニング)という言葉である。この言葉は、従業員が現在の仕事を続けながら、失業や将来の転職に備えるための事前準備を行うことを指している。
この言葉が急速に人口に膾炙した背景には、インフレの長期化や政策金利の相次ぐ引き上げ、2022年半ば以降のビッグテックによる大規模レイオフなどを経て、労働者の間で自社の雇用状況がどうなるのかを冷静に見極めようという意識が高まったことがある。Career Cushioningは、経済情勢が次にどう変化しても自分のキャリアを守ることができるように、選択肢を広げておく行動であり、経済が不安定な現状で成功するための保険を自ら掛けることを意味する。

Career Cushioningに関わるアクションには様々なものがあるが、その柱の一つがリスキリングである(図表3)。例えばForbsは2022年12月の「キャリアクッションが失業の準備にどう役立つか」と題した記事で、高インフレと金利上昇による不況を予測してスキルセットを拡大しながら失業に備える行動が、米国の労働市場の新しいトレンドになっていると指摘している。

図表3 Career Cushioning
  • リスキリングを実施
  • LinkedInプロフィール等の情報を更新
  • キャリアコーチやキャリアカウンセラーに相談
  • 自分のネットワーク(人脈)を見直し、連絡
  • 最新の求人情報をリサーチ
  • 転職する、しないにかかわらず面接に応募して実力をチェック
  • 失業することも考慮し、精神的な準備を実施

(出所)Career Cushioningに関する議論をサーベイし、筆者作成

緊張が高まる労働市場で、企業と労働者をつなぐリスキリング

このように2022年秋以降、2023年3月までの米国の労働市場では、企業によるLabor Hoardingが続く一方、雇用者はCareer Cushioningを通じて雇用悪化への備えを固める、という状況にあった。労働市場は景気に対する遅行指標であるため、Labor Hoardingは需要低下に気づいていない企業が雇用を維持している状態であり、間もなくレイオフが始まるという意見がある。それを裏付けるかのように、2023年3月以降、米国の景気減速に備える行動が顕著になり、テック業界に留まっていた大規模レイオフが様々な業界で実施される兆候が見え始めた。現時点では、企業も労働者も、来るべき労働市場の悪化を横目に、中長期的な展望に基づく行動をしているという状況にある。

そのような不安定な状態において、雇用主である企業の意図するLabor Hoardingと、雇用者である従業員が試みるCareer Cushioningは、一時的に利害が一致し、相互補完的な関係になっているように見える。企業側には、過度な人材不足に陥る事態に備え、優秀な人材の維持のみならず余剰人員も囲い込もうとする意図が働き、従業員側は、テック業で広がっているレイオフを意識しつつ、失業や将来の転職に備えるて事前準備を行うために現在所属している企業で仕事を続けているからだ。そして企業は雇用維持のために積極的にリスキリングの機会を提供し、一方で従業員は来るべき決断の時に備えて自分を成長させるためにリスキリングに取り組んでいる。企業と従業員のそれぞれの思惑をつないでいるのが、リスキリングであると言える。

現在の米国では、景気後退への様子見状態という消極的な理由と、自社や自分の成長のためのリスキリング機会というポジティブな理由が交錯し、企業と労働者の間にある種の緊張感と協調関係が生まれている。企業と労働者双方の思惑は異なるが、両者の共通の利益に関わるのが、リスキリングなのである。

リクルートワークス研究所

リクルートワークス研究所は、「一人ひとりが生き生きと働ける次世代社会の創造」を使命に掲げる(株)リクルート内の研究機関です。労働市場・組織人事・個人のキャリア・労働政策等について、独自の調査・研究を行っています。
https://www.works-i.com/

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