いまも「手書き」の応募書類が多い業界
採用担当者が見るポイントとは――?
社会人の転職活動 パソコン、インターネットがなければ始まらない?

大学生が就職活動を始める時、まず手に入れるのはパソコンだという。最近はスマートフォンの利用も増えているようだが、何はともあれインターネットの環境がないと就職活動が一切できないといっても過言ではない。社会人の転職活動でも同じことがいえる。求人情報を検索したり、職務経歴書を作ったり、メールで面接の日程を調整したりと、インターネットとパソコンは必須だが、その流れがあまり及んでいない業界もある。人材も、そして企業もIT化がまだまだ進んでいないその業界とは――。

アドバイスを受けても、簡単には書き直せない?

「職務経歴書を書きましたが、このような感じでいいのでしょうか。こうした書類を作るのは初めてなので、いろいろと不備があるかもしれません」

以前、転職したときは知人の紹介だったので、きちんとした職務経歴書を書くのは今回が初めて、というYさん。転職相談の日に持参してくれた書類は、「手書き」だった。

「拝見します」

私はYさんの職務経歴書に目を通していった。Yさんは建設関係の現場監理のキャリアが長い。こうした建設・建築業界やプラント業界、特に現場監理の技術者には、パソコンを日常的に使いこなしている人は少ないのが実情だ。

「最近は、自己アピールになるような細かい業務内容も記載するのが普通です。他の候補者と比較されることもあるでしょうから、追加で記載することをおすすめします」

私は職務経歴書についてアドバイスした。しかし、Yさんのように手書きの場合には、一から書き直す必要があるのでなかなか大変だ。手直ししても、誤字があればまたやり直しになってしまう。ワードなどのワープロソフトで作っている場合には、加筆、修正していくだけでいいのだが…。

「分かりました。頑張って書き直してみます」

Yさんはそう言ってくれたが、意外とこの段階で挫折してしまう人も多い。最終的には「申し訳ありませんが、元の職務経歴書のままで進めていただけないでしょうか」(つまり書き直し断念)となってしまうこともよくある。これではアドバイスを行った意味がないのだが、書き直しができないことを苦にして転職相談自体からフェードアウトしてしまう人も少なくないので、まだ良い方なのである。

今や社会人ならほぼすべての人がパソコンやインターネットを使いこなしていると思いがちだが、業界や職種によっては、「会社ではパソコンを使っているが、個人では携帯電話のメールくらい…」という人も多いのだ。建設・プラント業界の現場技術者は、まさにその代表格。また、看護師などオフィスワーク以外の仕事をしている女性も、普段はあまりパソコンに縁がないというケースは多い。

後日、Yさんからワープロソフトで打ち直した職務経歴書が郵送されてきた。私が「ワードで作った方があとあと便利ですよ」と言ったからだろう。ただ、その職務経歴書は「紙に印刷したもの」だった。これでは企業に推薦する時に、再度PDFなどに変換しなければいけない。できれば、そのままメールで送ってほしかったのだが…。パソコンを使い慣れてない人の場合、メールで個人情報を送ることに抵抗がある人が多いのも、また事実なのである。

人材採用“ウラ”“オモテ”

企業と求職者の仲介役である人材紹介会社のキャリアコンサルタントが、人材採用に関するさまざまなエピソードをご紹介します。

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