出る杭を伸ばす組織を目指して
大企業病に挑む若手・中堅有志団体One JAPANが、
人事に求めること(後編)[前編を読む]
One JAPAN 共同発起人・代表/パナソニック株式会社
濱松 誠さん
人事に求める役割は「寛容な空気作り」と「同調圧力の打破」
One JAPANが掲げているミッションに、大企業ならではの「イノベーションを起こしにくい空気」の打破があります。挑戦する空気づくりは本来、自分たちが取り組まなければならない命題である、と考える人事担当者も少なくないと思います。人事に求める役割やあるべき姿について、どのようにお考えですか。
濱松:私も以前は人材戦略を考える部署にいたので、「人事なのにできなかった」と反省する部分もありました。今、こうして外から見て、改めて人事に求められると思うのが、「変化に寛容な空気作り」と「同調圧力の打破」です。出る杭があれば、それを打つのではなく、「よくやった!」と言ってあげてほしい。もちろん、建設的な指導も大切ですが、変化への寛容さは人事の方に持っていてほしいマインドです。同調圧力からはやはり、抜け出さなければならないと思うのです。
我々がいくら社会に働きかけたとしても、影響力は限られます。ですが、パナソニックであれば国内だけでも数万人規模ですし、One JAPANの参画企業の従業員を全部足せば、100万人規模になります。ですから、経営層や人事と敵対するのではなく、同じ方向を向いて一緒に創り上げる関係性を築きたいんです。そのためにOne JAPANが先兵として、ある意味テストマーケティングとしての役割を担えたらと思います。
山本:まさに濱松さんが言ったことを、私も求めています。同調圧力は結局のところ、相互理解が足りてない状態だと思うんです。ボトムアップという言葉がありますが、下は下で頑張って底上げするので、「突き上げたときには、きちんと話を聞いてください」と、人事の皆さんにお願いしたいです。
One JAPANの活動を本業に生かし、本業の仕事をOne JAPANに生かす
それでは最後に、発足から2年目となるOne JAPANが今後挑戦していきたいことを教えてください。
濱松:一つは「具体的なアウトプットを増やす」ことです。One JAPANの価値を改めて考えると、その一つに、業種や職種、バラエティ豊かな人材がそろっていることがあります。人の数だけ、掛け算が生まれます。共に創るというCo-Creationの事例を、もっと創っていきたいですね。
もう一つは、働き方に関する調査のような「総研」としての活動に力を入れていくことです。『日本の人事部』の『人事白書』のようなものですね。One JAPANには野村総研、日本IBMなどのコンサルティング企業や、NHKや新聞社などのメンバーもいます。知見を借りて、「何かに迷ったら、ここ」というような、サポート一覧を作りたいです。思いを持った人たちの助けになる組織を目指していきたいと思います。
山本:アウトプットにも、「One JAPANの中でのアウトプット」と「One JAPANで得たノウハウや人脈を、本業で活かす形のアウトプット」の2種類があると思います。前者で得たものを後者で活用し、また後者で得たものを前者で活かす。そんな好循環を生みたいです。One JAPANのさまざまな企業を巻き込むような、取り組みを企画したいですね。
濱松:本業との関係性は、メンバー誰しもが考えていて、2年目の今年は何かしらの形で成果をあげることを目指していると思います。新しいことをするには、かなり強い「個」の力が求められます。強い個があるから、団体も強くなる。だから、まずは個が愚直に頑張る。社内の有志団体で頑張る。One JAPANはあくまでコミュニティー。でも、日本で唯一のプラットフォームです。内発動機を持ち利他の精神で行動する個人が集い、One JAPANの持つユニークネスを最大限に活かし、組織の活性化やよりよい社会に貢献できる、唯一無二の共創の場を目指そうと思います。
さまざまなジャンルのオピニオンリーダーが続々登場。それぞれの観点から、人事・人材開発に関する最新の知見をお話しいただきます。