企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】シーエスブイ CSV(Creating Shared Value)

「CSV」とは、Creating Shared Valueの略語で、「共通価値の創造」などと訳されます。2011年にハーバードビジネススクールの教授であるマイケル・E・ポーター氏とマーク・R・クラマー研究員が発表した論文で提唱されました。企業の社会的責任を表す「CSR」と混同されることもありますが、CSVは自社の強みを用いて社会的課題の解決を目指す考え方。企業の成長と社会的課題の解決を同じベクトル上に置くことで、企業の存在価値をアピールする差別化戦略の一つです。
(2019/3/25掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

CSV(Creating Shared Value)のケーススタディ

売り手よし、買い手よし、世間よし
CSVと親和性の高い日本企業

「CSV」は2011年に提唱された、比較的新しい考え方です。それまで主流だった「CSR」は、企業が経済活動によって社会にもたらす影響に責任を持ち、環境対策や法令遵守を行う、というもの。こうした考え方が生まれた背景には、高度経済成長期に経済活動を優先するあまり、有害物質による健康への影響や生態系の破壊といった問題を、多くの日本企業がないがしろにしてきた事実がありました。利潤の追求と社会貢献は相反するものと考えられていたため、社会に配慮することが企業の責任として説かれたのです。しかし、CSV提唱者の一人であるポーター氏は、CSRだけで新たな価値を創造することはもはや難しいと言います。

CSRもCSVも社会的課題に向き合う点では似ていますが、CSRは「守り」、CSVは「攻め」の活動です。事業とは別ものとして行われる善行はCSR、ビジネスとして社会的課題に取り組むことがCSV。社会貢献をリスクマネジメントと捉えているか、それともビジネス機会と捉えているかによって、分類することができそうです。例えば環境に配慮したハイブリッドカーの開発や、被災地支援の商品開発といったものがCSVの成功事例といえるでしょう。

日本企業は、CSVの概念と親和性の高い集団とも言われています。「三方よし」という言葉は現代でもよく使われますが、もともとは近江商人の経営哲学。売り手よし、買い手よし、世間よしの概念は、古くから日本に根付いています。また、最近は買い手の消費活動にも変化が見られます。若い世代を中心に「思想ある消費」が唱えられ、企業や商品に込められた社会性が購買意欲に大きく関わるようになりました。CSVに取り組み、それを消費者に伝えることで、直接的な売上アップも期待できるのです。

CSVは、一朝一夕で生まれるものではありません。社会的課題の解決と事業とを同じ直線状に乗せるためには、これまでの思考の枠から抜け出す必要があります。そのためにも、特定の部署やトップダウンで進めるのではなく、ボトムアップでアイデアを出せる環境を作り出すことがポイントとなるでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

CSR調達
日本では「企業の社会的責任」と訳されているCSR(Corporative Social Responsibility)の取り組みを、調達先の企業にも求めることを言います。
サステナビリティ
「サステナビリティ」(sustainability)とは、「持続可能性」または「持続することができる」という意味。サステナビリティへの取り組みというとき、何を“持続する”のかというと、その対象は広く社会と地球環境全般を指します。本来は、自然と共生する持続可能な社会システムを目指す環境保護思想のキー...
CSR
Corporate Social Responsibilityの頭文字をとったもので、日本では「企業の社会的責任」と訳されています。従業員の労働面での人権保護、地球環境や地域社会など、多様で大勢のステークホルダー(利害関係者)に配慮した経営のことです。文化活動を支援するメセナとは異なり、本来の企業...

関連する記事

田坂広志さん よい会社とは何か ―日本型CSRに求められる7つの条件―
日本型経営の視点から「よい会社とは何か」について「7つの条件」を述べよう。そのことを通じて「日本型CSR」のめざすべき企業像、21世紀に我が国の企業がめざすべき企業像を論じよう。
2005/01/11掲載キーパーソンが語る“人と組織”
秋山をねさん 企業価値を高める「CSR」と「SRI」
企業が社会の一員としての意識を高め、活動を展開することは、市民や消費者にとっても大きなメリットがあります。将来を見越して今後の社会生活を考えたときに、CSRを意識した事業活動を展開する企業を育成していく、という市民の意識はますます高まっていくでしょう。CSRと...
2006/12/11掲載キーパーソンが語る“人と組織”
コンプライアンス、CSR関連eラーニングサービスの現状と傾向
『日本の人事部』編集部が取材した、人事サービス、人材ビジネスの最新製品、サービス情報。サービス選びから、導入時の注意、活用の仕方までご紹介する。
2007/03/19掲載人事支援サービスの傾向と選び方
管理職のコミュニケーション能力を高める!ソリューション特集

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ


管理職のコミュニケーション能力を高める!ソリューション特集

今求められるコミュニケーション能力・マネジメント能力とは


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


世界の有力ビジネススクールも大注目!<br />
「内省と対話」でミドルマネジャー再生のモデルケースを創る

世界の有力ビジネススクールも大注目!
「内省と対話」でミドルマネジャー再生のモデルケースを創る

会社の休み時間に、同じような経験や悩みを持つマネジャーが自主的に集まり...


グローバルビジネスの“インフラ”を守る!<br />
 米国ビザ取得をアウトソーシングするメリットとは?

グローバルビジネスの“インフラ”を守る!
米国ビザ取得をアウトソーシングするメリットとは?

取得に多大な労力を要すると言われる米国ビザ。
なぜ取得が難しいのでしょ...