みなし残業手当廃止に伴う賃金規程の改定について
当社では現在、残業約30時間分をみなし残業手当として
固定給で社員に支給しております。
みなし残業手当以上の残業をすれば、超過分は支給しています。
またみなし残業手当以下の残業時間であっても、みなし残業時間分に達しない分を減額せずに
固定給として支給しています。
この制度を来期から、みなし残業手当を廃止し、実残業時間による残業手当の支給に改定する予定です。
実残業時間の残業手当支給となることで、今まで固定給として保証されていた分がなくなるので、
残業をあまりしない社員にとっては不利益変更になると思います。
このような社員については、どのくらいの期間の経過措置を設けて、固定給の差額分を支給するのが妥当なのでしょうか?
また、基本給にみなし残業手当分が含まれている社員が70名(総社員数約830名)ほどいるのですが、
みなし残業手当分を基本給から除いてしまうと、賞与算定時に大きな影響が出てしまいます。
このような社員に対しては、どのような措置を取るのがいいのでしょうか?
ご教示のほどよろしくお願いいたします。
投稿日:2012/11/15 18:16 ID:QA-0052120
- *****さん
- 東京都/建設・設備・プラント(企業規模 501~1000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂きまして有難うございます。
文面のみなし残業手当(固定残業手当)の廃止に関しましては、妥当な方向性とはいえ固定給給与が減額になるという点からやはり労働条件の不利益変更に該当するものといえます。
その際の対応ですが、経過措置や減額割合に関し法的な基準は特にございません。個別事情にもよりますが、減額の影響が大きいようであれば少なくとも数年程度の差額支給が妥当といえるでしょう。
また後段の件ですが、そもそもみなし残業手当が基本給に含まれているという措置自体に大きな問題がございます。みなしであっても残業部分の給与と基本的な給与は明らかに性質が異なりますので、賞与の算定に入れている事が不自然であるだけでなく、基本給との区分が明確でないことからもトラブルになればみなし残業手当自体が無効であると判断される可能性さえ生じてしまいかねません。
従いまして、そのような社員がいるとすれば、賞与につきましてより長い期間での差額支給を行なった上で個別同意を採った上での変更措置を採られるか、それが困難であれば基本給アップで不利益を補填すべきというのが私共の見解になります。
投稿日:2012/11/15 23:10 ID:QA-0052125
相談者より
基本給にみなし残業が含まれている件につきましては、基本給月額○○円、内みなし残業分が○○円と規程上に明記しており、区分としては明確かなと思いますが、この賃金構成はあまりよろしくないということでしょうか?
またみなし残業分を超えた分は、残業手当として支給しています。
投稿日:2012/11/16 12:17 ID:QA-0052140大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
みなし残業手当廃止について
みなし残業手当が、みなし残業として明確であったなら、みなし残業を廃止して実残業管理することは、必ずしも不利益変更とはいえません。
賃金規定の確認が必要です。
ポイントとしては、そうはいっても従業員に誤解のないよう、改定の背景、理由をよく説明することです。
ただし、基本給にみなし残業が含まれているという状態は、みなし残業とは認められない可能性があります。それがいくらで何時間分か明確になっているのでしょうか?
会社としてもあいまいなようであれば、移行に際して、70名個別に基本給を見直すことも必要です。
投稿日:2012/11/16 09:09 ID:QA-0052131
相談者より
給与規程には、基本給○○円のうち、みなし残業分が○○円と明記しています。
このように明記していても、規程上問題があるという解釈でよろしいでしょうか?
投稿日:2012/11/16 12:20 ID:QA-0052141大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
基本給と区分管理されていない後段部分は、可なり、揉める可能性も
前段の残業手当は、基本給と区分管理されているようなので、みなし労働時間制の必要性がなくなれば、廃止されるべきものです。 残業の少なかった社員も正常化措置に戻るだけの話なので、一定の予告期間を置くだけで十分であり、格別の経過措置は不要だと考えます。 厄介なのは、後段の看做し労働時間が基本給に組み込まれている部分です。 看做し部分が区分管理されていない様子なので、給与明細にも一本化されて基本給と記載されていれば、対象社員は全額、基本給だと認識してしていることでしょう。 正常化措置の前に、このような社員に、「 基本給の分割 」 という説明から始めなくてはならず、入り口で、相当、揉める気がします。 緩和、過渡的措置は、この説明の過程で、空気を読みつつ機敏に併行検討していくことが欠かせないと思います。 それにしても、社員によって、看做し部分区分管理に違いがあるのは理解しにくい制度だとの印象を受けます。
投稿日:2012/11/16 10:49 ID:QA-0052135
相談者より
一般社員より階層が上のランクの社員に前述の給与規程を適用しています。
来期から実残業手当での支給となると、みなし残業分をカットしないと、残業代の二重払いとなってしまうので、頭を悩ませています。
みなし残業分をカットすることで、賞与の影響が大きく出るものですから、経過措置の取り方が非常に大事なのかなと思います。
投稿日:2012/11/16 12:23 ID:QA-0052142大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事頂きまして感謝しております。
再度御質問の件で、「基本給月額○○円、内みなし残業分が○○円と規程上に明記」とございますが、「内」という記載がありますので区分として必ずしも明確とまではいえません。
先の回答でも申し上げました通り、基本給と残業代は性質の異なる賃金ですので、たとえ固定残業代であっても基本給の中に残業代が入っている事自体が不適切といえます。そうした誤った措置の結果として、賞与算定に残業代まで入るといった会社側にとっても不合理な賞与支給が生じたわけです。
従いまして、仮にみなし残業手当を残す場合でも、基本給とみなし残業手当は完全に分離させるべきといえます。
投稿日:2012/11/16 13:54 ID:QA-0052144
相談者より
ご回答ありがとうございます。
回答していただきました点をふまえて、制度改定作業をしていきたいと思います。
投稿日:2012/11/16 13:59 ID:QA-0052145大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
従業員の生活に与える影響度の精査が必要です。
みなしから実労働時間での支給とする場合の差額の調整は、
その差額が従業員の生活に与える影響度により色々な方法が考えられます。
従って、制度導入の前後でどのぐらいの影響があるかを精査する必要があります。
精査した結果をもとに、影響が大きければ、例えば数年間の期間を設けて、
差額の金額を段階的に下げていく方法があります。
(給与改定に合わせて、1年ごとに行うのが一般的です。)
ただ、実労働時間の調査にあたっては、みなしであったために、
従業員が曖昧な申告を行なっている場合もありますので、
注意して行なってください。
また、賞与については、基本給と賞与が同時に減額するとなれば、
従業員の生活への影響が大きくなりますので、
支給額決定方法の見直しを含めて検討されたほうがよろしいでしょう。
制度を変更する際は、基本給のみや賞与のみといった、部分的な影響に対応するのではなく、
全体的に給与としての影響や従業員のモチベーションなどを考慮する必要があります。
従業員の納得感を得られるような制度を目指されてはいかがでしょうか。
投稿日:2012/11/24 21:34 ID:QA-0052263
相談者より
ご回答ありがとうございます。
従業員の生活に与える影響については当然考慮すべきと思います。方法についてはこれから色々検討していきたいと思います。
投稿日:2012/11/26 17:37 ID:QA-0052272大変参考になった
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