過去の給与過払いに基づく既得権益の件
こんにちは
いつも当掲示板には勉強させていただいております。
さて、ある従業員に対しての給与計算間違いで、残業代を過剰に支給している事案が発生しました。
該当する従業員はいわゆる時間外手当の対象外職場に従事している者で、基本的にはいわゆる残業代の支給対象外でありました。
有期雇用契約社員であるために、契約書を半年に一回締結しておりました。但し、内容は固定給及び各種手当のみ記載しただけで、時間外の有無について明確な記載はありませんでした。実体としては他にも同職場の従事者が既にいる為に、時間外手当が付与されないことは当然のこととして運用しておりました(ここが非常に弱いです)
そのような中で、過去数年にわたって誤って時間外手当を支給していたことが判明しました。原因は単純な事務手続きミスです。
このことにより、当該従業員へは今後の支給の打ち切り、過去の遡及はしない旨説明しました。
そこで、本人は過去の実績は既得権であり、給与計算の誤りであろうがこれまで享受してきたものだから今後も支給して欲しい旨の主張がありました。
就業規則等の文書にも不備があり、明確な文書が無く、過去からの運用面に任せていたことが誤りであったことは認識しており、これを機に整備しているところではあります。
このように、各種規定に無い運用が、継続したことにより従業員に権利が発生することがあるのでしょうか?もしこのことを受け入れてしまうと、慣例どおりに運用していた同じ職場の他のメンバーへの影響も大きいと思います。
長文失礼しましたが、ご教示お願いいたします。
投稿日:2011/12/21 09:47 ID:QA-0047523
- *****さん
- 愛知県/鉄鋼・金属製品・非鉄金属(企業規模 501~1000人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- この回答者の情報は非公開になりました
有期雇用契約社員に対する時間外手当支払いに関する事務的ミスへの対処
毅然とした態度で臨むことです。過去のものを遡及しないというのもどうかと思いますが、話し合いが決裂するようなら雇い止めもやむなしとすべきではないでしょうか。その方だけが支給され続けることは不公平感があります。
投稿日:2011/12/21 10:36 ID:QA-0047524
プロフェッショナルからの回答
御相談の件で‥
ご利用頂き有難うございます。
まず気になりますのが、「該当する従業員はいわゆる時間外手当の対象外職場に従事している者で、基本的にはいわゆる残業代の支給対象外でありました」という箇所です。
「時間外手当の対象外職場」とございますのは、一体どのような職場であり、かつ当人自身は職場でどのような働き方をされているのでしょうか?
基本的に時間外手当を支給する事は必要ですので、当該文面のみでは手当の対象外という根拠が不明の為直ちには回答出来かねます。
宜しければ、こうした点につきまして簡単にご説明頂ければ幸いです。
投稿日:2011/12/21 10:49 ID:QA-0047525
相談者より
ご連絡感謝いたします。
適用除外職場とは具体的には守衛業務で、労基署へは監視業務職場として届出済であります。
この点を踏まえご教示いただければと思います。
投稿日:2011/12/21 10:55 ID:QA-0047526大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
継続支給は、ビッシリ断るべき。会社も、早急に規則整備を
|※| 回答に先立っての疑問です。裁量労働、事業外労働、変形労働など、法に沿った制度以外は、定められた期間( 普通は。1日、1週、特定期間 ) 単位で、時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要です。仮令、労働契約書に記載がなくても、労働基準法の定めが、強制適用されます。その点で、本人以外の従業員の時間外労働に対する割増賃金が不支給だというのはどうゆうことなのでしょうか。 .
|※| この疑問は別にして、建前として、法的には、賃金が過払いされた場合には、使用者から過払いを受けた本人に対する不当利得返還請求権が生じます。使用者や給与担当者に過失がある場合でも構わないと解されています。本人が過払いを受けた事実を知らなかった ( 善意 ) 場合は、過払い元金のみ、事実を知っていた ( 悪意 ) 場合は、法定利息を加算請求できます。この権利は、2年ではなく、10年です。ついでですが、給与担当者に、故意または過失がある場合には、過払い部分等につき損害賠償をさせることができる場合も法的に可能です。 .
|※| ご質問に戻りますが、現実には、本人の悪意が立証できない限りは、支給済みの過払いの返還請求は、誤支給していた間の社会保険料、住民税等にも関連するので、見送るのが賢明でしょう。然し、2つ問題点が残ります。先ず、誤支給の支給実績に悪乗りして、今後の継続支給要求は、論外で、ビッシリ断るべきです。次に、冒頭に指摘しました、「 時間外の有無について明確な記載はない 」、つまり労働時間の定義がないのは、法違反です。早急な追加・変更が必要です。
投稿日:2011/12/21 11:42 ID:QA-0047527
相談者より
ご丁寧な回答感謝いたします。
適用除外職場とは具体的には守衛業務で、労基署へは監視業務職場として届出済であります。
よって、時間外手当の対象外職場となります(深夜手当は支給しております。
遡及については、会社の一方的な手続きミスであることから、穏便に事態を収束させたい意図からこのような判断をいたしました。
ご指摘大変参考になりました。ありがとうございます。
投稿日:2011/12/21 11:49 ID:QA-0047528大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご説明頂きまして感謝しております。
「適用除外職場とは具体的には守衛業務で、労基署へは監視業務職場として届出済」、つまり労働基準法上での労働時間適用除外に該当するということですね。事情がよく分かりました。
その上で回答差し上げますと、元来支払義務の根拠自体が存在しない手当ですので、既得権ということにはなりえません。例えば会社が認めた上で同じ業務に従事してきた他の従業員にも支給されてきたのであれば労使慣行としまして既得の労働条件にもなりえますが、当事案の場合ですと単なる過誤払いに過ぎませんので全く事情は異なります。
さらにいえば、これまで支給されていた時間外手当につきましても一種の不当利得といえます。但し、会社側での一方的な不手際で発生した出来事であることからもこうした支給済み部分の返還まで求めるのは不適切といえるでしょう。加えて、コンプライアンス上就業規則においてこうした時間外手当の取り扱いについて明確に定めを置き、労働契約締結時にも文書で示されるよう改善する事が求められます。
投稿日:2011/12/21 12:17 ID:QA-0047529
相談者より
度重なるご教示感謝します。
文書管理面での弱さが露呈する形となり、いい勉強のきっかけになっていると感じております。
非常に参考になりました。
この度はありがとうございました。
投稿日:2011/12/21 12:39 ID:QA-0047530大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
現状
守衛業務の人員調達が非常に困難であり、その対象者が余人をもって代えがたい貴重な方であれば別ですが、現状の労働・雇用環境からそのような人材はいくらでも採用可能と思います。ゆえに不当な権利を主張することは完全に間違いであり、コンプライアンスにもとる姿勢は社員として不的確であるという断固たる主張で良いと思います。
投稿日:2011/12/23 11:12 ID:QA-0047565
相談者より
心強いお言葉感謝致します。毅然とした姿勢で取り組みたいと思います。
投稿日:2012/01/12 09:52 ID:QA-0047706参考になった
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