1ヶ月単位の変形労働時間制における法定内残業について
いつも参考にさせていただいております。
1ヶ月単位の変形労働時間制における法定内残業時間について、ご教授ください。
以下の2つのパターンにおいて、法定内残業時間に対して残業代を支払わなければならないでしょうか?
【パターン1】
暦日数:30日
1日の所定労働時間:7時間15分(就業規則にも記載あり)
出勤日数:21日
実働時間
日 法定休
月 7時間15分
火 7時間15分
水 7時間15分
木 7時間15分
金 7時間15分
土 7時間30分(所定休取得予定だったが、シフト確定後の事後変更により振替出勤、同月内に振替休日を取得)
上記の場合、
日単位においては15分の法定内残業時間が発生しています。
さらに週単位で見たときに、週の所定労働時間が37.5h(7時間30分×5日)だったところ、事後変更により45時間25分勤務となり、5時間25分の時間外労働が発生しています。
この時、5時間25分は時間外労働として割増で支払うかと思いますが、
法定内残業時間の15分に対しても通常単価で残業代を支払う必要はありますか?
【パターン2】
暦日数:31日
1日の所定労働時間:7時間30分(就業規則にも記載あり)
出勤日数:21日
実働時間
日 9時間
月 10時間
火 8時間15分(所定休取得予定だったが、シフト確定後の事後変更により振替出勤、同月内に振替休日を取得)
水 法定休
木 9時間15分
金 11時間
土 10時間10分
上記の場合、
日単位においては法定時間内残業が3時間、時間外労働が9時間40分発生しています。
週単位で見たときには、週の所定労働時間が37.5h(7時間30分×5日)だったところ、事後変更により48時間勤務となり、8時間の時間外労働が発生しています。
17時間40分の割増残業代と併せて、3時間分の法定時間内残業代を支払わなければならないでしょうか?
日単位と週単位で見るときに、法定内残業時間が重複しているように思い、混乱しております。
残業時間の集計について、認識に誤っている点がありましたらご指摘ください。
何卒よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/09 15:11 ID:QA-0161783
- くるまねこさん
- 東京都/販売・小売(企業規模 101~300人)
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本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
1か月単位の変形労働時間制では、
日ごとの「所定労働時間超過=法定内残業」を支払う必要があるかは、
“「その月の総労働時間」が「変形労働時間制の上限」を超えるかどうか”
で決まります。
したがって:
2.判断基準
(1)変形労働時間制の総枠
1か月単位の変形労働時間制は
(その月の暦日数に応じた法定労働時間)=法定総枠
の範囲内で、日ごとの所定労働時間が変動可能。
例えば
・30日の月 → 171.4時間
・31日の月 → 177.1時間
これを超えない限り、日単位の「所定超え」の支払い義務はない。
なぜか?
変形労働時間制は
「ある日は長く、ある日は短く」
が認められる制度。
よって 所定労働時間は会社の定めであり、所定超え=直ちに支払義務ではない。
支払い義務はあくまで:
・法定外労働(=法定労働時間 8h/週40h超)
→ 割増残業代が必須
・法定内残業(所定は超えるが法定内)
→ 支払い義務があるかは “月総枠を超えるか” で決まる
3.パターン別の結論
【パターン1】
実績
・日単位:7:30(所定7:15)→ +15分(所定超のみ)
・週単位:45時間25分 → 週40時間超の5時間25分は法定外労働
結論
・ 5時間25分 → 割増賃金(法定外労働)
・ 15分 → 法定内残業だが、月総枠171.4時間以内なら支払不要
つまり、次が正しい運用です。
●月全体が法定総枠を超えた分 → 時間外(割増)
●月全体が総枠内 → 日単位の15分は「調整可能」であり支払不要
※振替休日を同月内に取得しているなら、週の実労が40時間以内に収まる可能性があり、その場合も「日単位15分は不要」。
【パターン2】
実績
日単位:
・法定内残業 3時間
・法定外残業 9時間40分
週単位:
・48時間 → 8時間法定外残業
結論
・ 法定外労働(8時間 or 9時間40分の大きい方) → 割増が必要
→ 重複はしないため、**週40時間超の8時間が「割増対象」**として扱うのが原則
(ただし日ごと8h超の合計9:40を採用しても結果はほぼ同じ)
・ 3時間の法定内残業は、月総枠177.1h以内なら支払不要
「日・週・月」の整理(混乱しやすい点)
●日単位
8時間を超えた分のみが「法定外労働」。
所定超えは変形制では“調整可能”。
●週単位
週40時間超は必ず「法定外労働」。
●月単位
変形制の肝:
月総枠内なら日単位の所定超え(法定内残業)は支払不要。
3.まとめ
区分→支払義務
週40時間超(法定外)→必ず割増支払い
日8時間超(法定外)→必ず割増支払い
所定労働時間超過(法定内)→月総枠を超えた時だけ支払い
月総枠内での所定超え→支払不要(変形制の調整範囲)
御社の2パターン回答
パターン1:15分は支払不要。5時間25分のみ支払い対象。
パターン2:3時間の法定内残業は支払不要。法定外労働のみ支払い対象。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/09 15:58 ID:QA-0161787
相談者より
大変遅くなりましたが、ご回答いただきありがとうございました。
詳細にご説明いただき、大変勉強になりました。
ご説明を元に、残業代の支払漏れが無いように見直していこうと思います。
投稿日:2025/12/23 09:35 ID:QA-0162380大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご参考までに、法定時間外労働に関する厚労省資料のURLを以下に貼付します。
https://jsite.mhlw.go.jp/shizuoka-roudoukyoku/var/rev0/0123/3919/2017111615407.pdf
法定時間外労働に該当しない、所定労働時間を超えた労働時間が
法定内時間外労働に該当することになります。
投稿日:2025/12/09 17:22 ID:QA-0161791
相談者より
大変遅くなりましたが、ご回答いただきありがとうございました。
資料をご提示いただき、大変参考になりました。
残業代の支払漏れが無いよう見直していこうと思います。
投稿日:2025/12/23 09:36 ID:QA-0162381大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
パターン1は、7時間30分×5日ではなく、7h15×5日ですね。
そのうえで、
・1日8hを超えた法定時間外は支払いますが、
その時間は週の40hにはカウントしません。
・1日8hまでの法内残業は、通常単価は支払います。
そして、週40hにはカウントします。
・シフト時間+法内残業が40hを超えたものについては、
法定時間外として割増賃金を支払います。
投稿日:2025/12/09 19:50 ID:QA-0161794
相談者より
大変遅くなりましたが、ご回答いただきありがとうございました。
簡潔にご説明いただき、大変参考になりました。
残業代の支払漏れが無いよう見直していこうと思います。
投稿日:2025/12/23 09:36 ID:QA-0162382大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
1ヶ月単位の変形労働時間制における時間外労働の考え方としましては、
①1日については、あらかじめ8時間を超える時間を定めた日はその時間を超えて、それ以外の日は8時間を超えて労働させた時間。
②1週については、あらかじめ40時間を超える時間を定めた週はその時間を超えて、それ以外の週は40時間を超えて労働させた時間。
③対象期間(変形制を採る期間)については、法定労働時間の総枠を超えて労働させた時間。ただし①②で時間外労働となる時間は除く。
ということになります。
まず、パターン1は、7時間30分×5日ではなく、7時間15分×5日ではないんですか?
1日の所定労働時間を7時間15分と定めているのであれば、8時間までは法定内残業として通常の賃金、8時間を超えれば法定時間外労働として法定の割増賃金を支払うことになります。
投稿日:2025/12/10 08:59 ID:QA-0161799
相談者より
大変遅くなりましたが、ご回答いただきありがとうございました。
明快にご回答いただき、大変参考になりました。
残業代の支払漏れが無いよう、社内で見直していこうと思います。
投稿日:2025/12/23 09:37 ID:QA-0162383大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、【パターン1】につきましては、示された勤務時間を拝見する限りですと、実際は43時間45分の労働時間になっております。
従いまして、時間外労働割増賃金の対象となるのは40時間を新たに超えた3時間45分となります。
そして、週40時間から週所定労働時間(36時間15分)を引かれた3時間45分については、法定残業代の支払い対象となりますが、振替休日を同一賃金支払時期に取得されるとしますと、当該3時間45分の支払は不要となり、さらに時間外労働の内3時間30分については基本賃金部分の支払いが不要となります。
【パターン2】につきましては、実際の勤務時間(※日曜法定休日労働を除く)は、48時間35分になります。
従いまして、時間外労働割増賃金の対象となるのは40時間を新たに超えた8時間35
分となります。
そして、週40時間から週所定労働時間(37時間30分)を引かれた2時間30分については、法定残業代の支払い対象となりますが、振替休日を同一賃金支払時期に取得されるとしますと、当該2時間30分の支払は不要となり、さらに時間外労働の内5時間については基本賃金部分の支払いが不要となります。
投稿日:2025/12/10 13:52 ID:QA-0161812
相談者より
大変遅くなりましたが、ご回答いただきありがとうございました。
詳細にご説明いただき、大変勉強になりました。
残業代の支払漏れが無いように見直していこうと思います。
投稿日:2025/12/23 09:38 ID:QA-0162384大変参考になった
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
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