暑熱、寒冷または多湿の屋内作業場の定義とは
いつもお世話になっております。
安全衛生法第65条で定める作業環境測定を行うべき場所と測定の種類にて掲げられている「暑熱、寒冷または多湿の屋内作業場」(関連規則 安衛則607条)についてですが、例えばどのような作業場が該当するのでしょうか?
当方は、小売業で後方作業場となりますが、部門によっては冷蔵庫・冷凍庫も併設しておりますが、空調・エアコンなども完備されており、常時定められた温度帯での作業環境となっております。
こういった環境ではありますが、「暑熱、寒冷または多湿の屋内作業場」として作業環境測定(半月に1度)を行うべきなのでしょうか?
ご回答よろしくお願いします。
投稿日:2025/12/02 16:15 ID:QA-0161446
- HOKKAIさん
- 北海道/販売・小売(企業規模 1001~3000人)
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具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
対象となるのは、作業者が暑熱・寒冷・多湿による健康障害を受ける恐れが
ある通常とは異質な場所ですので、一般的な空調設備で温度管理されている
作業場は原則、対象外となります。
例えば、作業環境測定の対象となるのは、恒常的に0℃付近や、
氷点下で作業する冷凍冷蔵倉庫内での作業環境などが該当します。
投稿日:2025/12/02 16:52 ID:QA-0161456
相談者より
ご回答ありがとうございます。
一般的な空調設備で温度管理されている作業場は原則、対象外であること認識しました。
大変参考になりました。
投稿日:2025/12/02 17:12 ID:QA-0161459大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1. 法令の位置づけ(安衛則607条)
安衛則607条は、次のような特殊な温湿度環境下の作業場について、
作業環境測定(半月に1回)を義務付けると定めています。
対象となるのは、一般的な店舗や倉庫ではなく、
温度・湿度が極端に高い/低い/多湿で、健康障害のリスクがある作業場です。
2.具体的に該当する作業場(厚労省の代表例)
・暑熱の屋内作業場
鋳造工場(溶融金属炉の周辺)
ガラス溶解炉・セメント焼成炉付近
乾燥炉・ボイラー室
暑熱源に囲まれる高温作業場
→ 室温が30〜40℃を超える状態が常態的に続く環境が典型。
・寒冷の屋内作業場
冷凍倉庫(−20~−30℃帯)
冷蔵倉庫
急速冷凍室
恒常的に0℃付近で作業する施設
→ 人が長時間滞在する冷凍・冷蔵作業場が対象。
・多湿の屋内作業場
原皮処理工場の浸漬槽周辺
染色工場・湿潤工程
発酵室
恒常的に湿度90%前後の作業場
→ 周囲が湿潤状態で、結露が発生するような環境。
3.小売業の冷蔵室・冷凍室は該当するか?
結論から言うと→
・冷蔵室(5〜10℃)
→ 対象外
※健康障害が生じるほどの寒冷環境とは扱われない。
・冷凍室(−20℃前後)
→ 作業者が「常時・相当時間」滞在するなら対象になり得る
ポイントは
「屋内作業場」として継続的な作業が行われているか
作業者が通常勤務の中で長時間滞在するか
であり、
単に商品を取りに入る程度の短時間利用では該当しません。
4.御社の環境での判断
ご相談内容:
小売業のバックヤード
空調完備の一般作業場
冷蔵庫・冷凍庫は併設
温度管理は適正
冷蔵・冷凍室に「常時」滞在しない
→ この場合、以下の判断となります:
・バックヤード(通常の作業スペース)
→ 作業環境測定の対象外
・冷蔵室
→ 対象外(短時間出入り)
・ 冷凍室
→ 短時間の入退出のみであれば対象外
(ピッキング作業での短時間滞在は該当しない)
したがって、御社で半月に1度の作業環境測定が必要となる可能性は極めて低いと考えられます。
5.指導事例からの補足
労基署は次の点を重視します。
「作業の主たる場所」が冷凍・高温・多湿環境か
1日の大部分をその環境で過ごすか
健康障害が想定されるか
小売業のバックヤードで、この要件に合致するケースはまずありません。
6.まとめ
・「暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場」とは
→ 極端な温湿度環境で、継続して作業が行われる特殊環境
・ 小売業バックヤード・冷蔵室は対象外
→ 冷凍庫も「短時間使用」なら対象外
・ 御社で作業環境測定(半月1回)が必要になる可能性は低い
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/02 17:14 ID:QA-0161460
相談者より
ご回答ありがとうございます。
詳細にわたり説明いただきありがとうございます。
冷蔵庫・冷凍庫で主に作業するわけではないので、対象とならない可能性が高いと理解しました。
非常に参考になりました。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/04 10:29 ID:QA-0161556大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
厚生労働省令で定める暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場は、次のとおりです。
一 溶鉱炉、平炉、転炉又は電気炉により鉱物又は金属を製錬し、又は精錬する業務を行なう屋内作業場
二 キユポラ、るつぼ等により鉱物、金属又はガラスを溶解する業務を行なう屋内作業場
三 焼鈍炉、均熱炉、焼入炉、加熱炉等により鉱物、金属又はガラスを加熱する業務を行なう屋内作業場
四 陶磁器、レンガ等を焼成する業務を行なう屋内作業場
五 鉱物の焙焼、又は焼結の業務を行なう屋内作業場
六 加熱された金属の運搬又は圧延、鍛造、焼入、伸線等の加工の業務を行なう屋内作業場
七 溶融金属の運搬又は鋳込みの業務を行なう屋内作業場
八 溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行なう屋内作業場
九 加硫がまによりゴムを加硫する業務を行なう屋内作業場
十 熱源を用いる乾燥室により物を乾燥する業務を行なう屋内作業場
十一 多量の液体空気、ドライアイス等を取り扱う業務を行なう屋内作業場
十二 冷蔵庫、製氷庫、貯氷庫又は冷凍庫等で、労働者がその内部で作業を行なうもの
十三 多量の蒸気を使用する染色槽により染色する業務を行なう屋内作業場
十四 多量の蒸気を使用する金属又は非金属の洗浄又はめつきの業務を行なう屋内作業場
十五 紡績又は織布の業務を行なう屋内作業場で、給湿を行なうもの
十六 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣が定める屋内作業場
投稿日:2025/12/02 17:59 ID:QA-0161467
相談者より
ご回答ありがとうございます。
参考になりました。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/04 10:26 ID:QA-0161555参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
冷蔵庫・冷凍庫併設、空調・エアコン完備、常時定められた温度帯での作業環境であれば、何も心配する必要はありません。
夏でも防寒着着用の冷凍庫内作業、極寒地(氷点下0°以下)での屋外作業(森林の伐採等)、40°近い真夏の線路点検、道路の線引き等が該当します。
投稿日:2025/12/03 09:22 ID:QA-0161492
相談者より
ご回答ありがとうございます。
参考になりました。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/04 10:26 ID:QA-0161554参考になった
プロフェッショナルからの回答
日本の人事部Q&Aをご利用くださりありがとうございます。
質問者様の業種がどのような商材を取り扱っていらっしゃるのか文面から判断できませんが、とりあえず一般的な食品小売業(スーパーマーケットやコンビニエンスストア)を前提として、順を負って回答させて頂きたいと思います。
(1).安衛則第607条に規定する「寒冷な屋内作業場」について
具体的には安衛則第587条の11号と12号に列挙されています。
・11号~多量の液体空気、ドライアイス等を取り扱う業務を行う屋内作業場
・12号~冷蔵庫、製氷庫、貯氷庫、冷凍庫等で、労働者が内部で作業を行うもの
ただし食品小売業の冷蔵・冷凍庫については、12号に該当しないのではないかと思われます。例えばスーパーでは鮮魚、精肉、惣菜、日配部門のバックヤードに冷蔵・冷凍庫が設置されていますが、これらは作業場というより商材の保管庫です。
確かに納品や商品加工のたびに商材を出し入れする際、あるいは在庫整理および棚卸しのために冷蔵・冷凍庫内での作業が発生します。一方で入庫の頻度と作業時間の短さを考えると、寒冷(危険有害)な屋内作業場とまで言えないだろうと考えます。
(2).小売業の冷蔵・冷凍庫の作業環境測定義務について
スーパーやコンビニのような食品小売業に設置されている冷蔵・冷凍庫については作業環境測定義務の対象外とされているようです。実は当方、かつてスーパーの販売課長でしたが、在職中に作業環境測定を中災防などに依頼したことはありません。
これはあくまでも当方の推測ですが、作業環境測定が義務付けられている冷蔵・冷凍庫とは、卸売市場の大型冷凍倉庫やプロセスセンターの冷蔵調理施設などが該当するのではないかと思われます。
(3).その他特記事項
作業環境測定の義務が無いとはいえ、食品小売業の冷凍庫はマイナス30度になりますので、防寒具および凍傷防止のためのグローブなどを常備し、また脱出ハンドルが固着していないか定期的に点検されることをお勧めします(特に鮮魚部門では塩によってハンドルが錆びついて回転しないケースもあります)。
なお貴店の冷蔵・冷凍庫内の作業が労働安全衛生法に定める「特定業務従事者の健康診断(多量の低温物体を取り扱う業務および著しく寒冷な場所における業務=マイナス10度以下)」に該当しないか、念の為に所轄の監督署の労働衛生専門官に確認しておいた方がよいかもしれません。
以上雑駁な回答となってしまいましたが、ご質問者様の参考になれば幸いです。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
投稿日:2025/12/03 11:16 ID:QA-0161497
相談者より
ご回答ありがとうございます。
大変参考になりました。
小売の現状に即した回答ありがとうございました。
監督署の見解も確認してみたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/04 10:26 ID:QA-0161553大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
流通業界では冷蔵庫業務というものがありますが、それに該当するような冷蔵・冷凍庫作業者であれば、この作業場に該当する可能性があると思います。
それ以外の事務職は、通常の常温環境であれば単に併設されているだけなら対象外でしょう。
投稿日:2025/12/03 11:39 ID:QA-0161500
相談者より
ご回答ありがとうございます。
参考になりました。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/04 10:24 ID:QA-0161552参考になった
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
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