法定外時間の管理と超過残業代の支払いについて
お世話になっております。
表題の件で質問をさせてください。
前提:清算期間1か月のフレックス制、所定労働時間7.5時間(所定労働時間162.5時間)、固定残業代45時間分支給あり
①みなし手当超過のライン
弊社では固定残業代を法定労働時間の【177.1時間】をベースに、【162.5時間】との差分14.6時間分は割増なし+30.4時間分は×1.25の割増ありで45時間分支給しております。
この場合、追加の残業代が発生するのは【207.5時間(162.5時間+45時間)】を超える時間分から、という認識で合っていますでしょうか?
②36協定における45時間超過カウントのライン
法定外45時間を上限とする36協定を締結しており、特別条項として45時間の超過は年に6回までの制限が設けられているかと思います。
このカウントのラインは、【222.1時間(177.1時間+45時間)】を超えるものという認識で合っていますでしょうか?
また、①②いずれも法定労働時間を最大の177.1時間としていますが、これは月変動せずに固定で利用しても問題ないのでしょうか?
ご教示のほど何卒よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/23 18:16 ID:QA-0159842
- ラララルさん
- 東京都/情報サービス・インターネット関連(企業規模 51~100人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.みなし手当超過のライン(追加残業代が発生する基準)
(1)前提の再確認
清算期間:1か月
所定労働時間:7.5時間/日 × 21.67日 = 162.5時間/月
固定残業代:45時間分(内訳:14.6時間×通常賃金+30.4時間×1.25)
→ 固定残業代の内訳として「所定超過分14.6時間(割増なし)」と「法定外30.4時間(1.25倍)」を含めている点は、よく整理された設計です。
(2)判断
この場合、
固定残業代に含まれるのは「所定外労働45時間分」まで です。
したがって、追加の残業代が発生するのは、
所定労働時間162.5時間+45時間=207.5時間を超えた部分から
で正解です。
ただし、45時間の内訳中の30.4時間は「法定外」部分として残業代相当を既に支給済みですから、207.5時間を超えた分については追加の割増賃金を支払うことになります。
(みなし手当でカバーされない超過残業)
2.36協定における「法定外45時間超過」のカウント基準
(1)36協定での「45時間」の意味
36協定でいう「1か月45時間」は、法定労働時間を超えた労働時間の限度を指します(労基法第36条第2項)。
したがって、
「45時間超過のカウント起点」は法定労働時間(月177.1時間)を超えた時点からです。
すなわち、
177.1時間を超える時間数が「法定外残業時間」であり、
そのうち45時間を超えた分が特別条項発動ラインとなります。
したがってご認識のとおり、
222.1時間(177.1+45)を超えた時点からが特別条項適用域
という考え方で概ね正しいです。
3.法定労働時間の「177.1時間」は固定でよいか?
(1)法定労働時間の算定方法
法定労働時間(週40時間)を月換算する際の基準は:
40時間 × 52週 ÷ 12か月 = 173.33時間(=平均的な月法定労働時間)
しかし、便宜上「月平均4.3週」で算出すると:
週40時間 × 4.3週 = 172時間
1日8時間 × 21.7日 = 173.6時間
暦日数で変動(28日~31日)→ 160〜184時間程度の変動幅
したがって、
「177.1時間」で固定しても実務上は支障ありません。
労基署調査や社会保険算定時でも、1か月平均173〜177時間を「法定時間数」として扱うことが慣例です。
ただし厳密に管理する場合には、暦日数(31日の月は177.1h、30日の月は171.4h、28日の月は160h)に応じて調整する運用もあります。
4.まとめ
項目→根拠・判断→該当時間
固定残業代に含まれる上限→所定162.5h+45h→207.5時間まで
追加残業代発生ライン→固定残業代でカバーされない部分→207.5時間超
36協定「45時間」カウント開始→法定労働時間超過分から→177.1時間超~
特別条項発動ライン→法定+45時間→222.1時間超~
法定労働時間の取扱い→月177.1hを固定で使用可(実務慣行上問題なし)→―
5.実務上の留意点
固定残業代の内訳明示
就業規則・雇用契約書に「162.5時間を超える45時間分」と明記しておくと安全です。
(単に「月45時間分」とのみ記載していると、法定外・所定外の区分が不明確になる)
フレックス制との整合性
清算期間末において、実労働時間が法定労働時間を超えた場合のみ時間外割増が発生する(労基法32条の3第4項)ため、清算期間途中では発生しません。
36協定の上限適用
特別条項発動時には、理由(例:業務繁忙、納期対応等)を記録し、年6回以内で管理。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/23 22:16 ID:QA-0159850
プロフェッショナルからの回答
法定労働時間の総枠
【御相談1】みなし手当超過のライン
固定残業代を法定労働時間の【177.1時間】をベースに、【162.5時間】との差分14.6時間分は割増なし+30.4時間分は×1.25の割増ありで45時間分支給しております。
この場合、追加の残業代が発生するのは【207.5時間(162.5時間+45時間)】を超える時間分から、という認識で合っていますでしょうか?
【回答】
(1)「法定労働時間の総枠」は、清算期間(1カ月)の歴日数によって異なります。28日であれば160.0時間、29日(165.7時間)、30日(171.4時間)、31日(177.1時間)となります。
(2)「総労働時間(所定労働時間)」は、上記(1)の「法定労働時間の総枠」の範囲内とする必要があります。「所定労働時間162.5時間」とのことですが、歴日数28日の月(2月)に関しては、この要件が満たされていないと考えられます。
(3)法定割増は、各月の「法定労働時間の総枠」を超えて労働した時間が対象となります。
(4)追加の残業代が発生するのは【所定労働時間+45時間】を超える時間からと認識されます。
【御相談2】36協定における45時間超過カウントのライン
法定外45時間を上限とする36協定を締結しており、特別条項として45時間の超過は年に6回までの制限が設けられているかと思います。
このカウントのラインは、【222.1時間(177.1時間+45時間)】を超えるものという認識で合っていますでしょうか?
【回答】
(1)上述したように、「法定労働時間の総枠」は、清算期間(1カ月)の歴日数によって異なります。
(2)「36協定における45時間超過カウントのライン」については、【各月の「法定労働時間の総枠」+45時間】であると認識されます。
投稿日:2025/10/23 22:23 ID:QA-0159851
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
まず、最後にいただきましたご質問ですが、177.1時間の時間は月の歴日数により
変動しますので、固定とはなりません。
1か月の法定労働時間の総枠は、以下の通りです。
歴日数31日・・・177.1時間
歴日数30日・・・171.4時間
歴日数29日・・・165.7時間
歴日数28日・・・160.0時間
上記が前提の上、改めて回答させていただきます。
1について・・・歴日数が31日の月であれば、ご認識通りです。
2について・・・歴に数が31日の月であれば、ご認識通りです。
なお、上記1の回答につきましては、法令の最低基準となります。
仮に、貴社の給与規程で法令よりも有利な規定をされている場合は、
貴社の規定が優先適用されます。
投稿日:2025/10/24 07:35 ID:QA-0159854
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、1につきましては、31日の月であればご認識の通りになります。但し、仮に休日労働等にも充当される場合ですと、同じ労働時間数でも割増率の関係で不足が発生する場合がございますので、そうした分については当然ながら追加支給が必要です。
2につきましては、いわゆる法令上の時間外労働に当たる時間が対象となりますので、固定残業代の支給範囲内であっても31日の月において177.1時間を超えた時間分については対象とされます。
そして、法定労働時間の総枠177.1時間は文字通り法令に基づき計算された時間ですので、同じ31日の月であれば変動する扱いにはなりません。但し、28日や30日の月はより少ない法定労働時間の総枠時間数になりますので、毎月177.1時間とされる扱いについては不可です。
投稿日:2025/10/24 19:18 ID:QA-0159896
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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