海外赴任者の新婚旅行キャンセル費用について
当社は150~200人程度の海外駐在員がおり、従業員は全体で4000~5000人程度の企業です。
このほど、海外赴任を命じた社員が新婚旅行を予定していたことが発覚しました。
さらに往復旅費を変更不可で予約しており、その金額は40万円程度で、写真撮影はキャンセルができず、その費用は10万円程度となっています。
上司には新婚旅行の日程も報告し了解は得ていたものの、その後に海外赴任が決定した次第です。赴任の準備や引継ぎがあるため、新婚旅行はキャンセルせざるを得ない状況となりました。
当社では同様な前例はありません。
海外赴任が決まったからといって、直前に購入した住宅や自動車などの費用に関して負担する仕組みもありません。
住宅ローン控除を補填する仕組みもありません。
ただし、一生に一度が一般的である新婚旅行というケースにおいては、何かしら補填も必要ではないかと考えています。
このようなケースではどういった対応が望ましいとお考えでしょうか?
投稿日:2025/08/25 18:20 ID:QA-0157166
- いしわたりんさん
- 東京都/機械(企業規模 3001~5000人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
ご相談の件、とても悩ましい状況だと思います。
制度面・公平性・従業員への配慮の観点を整理すると、次のような対応が考えられます。
1. 原則論(会社としての立場)
海外赴任は業務命令であり、個人的な予定や費用については原則として会社が補填する義務はありません。
住宅購入や車購入などと同様に、通常は「私的な支出は本人負担」が基本であり、これを補填し始めると前例となり、統制が難しくなるリスクがあります。
2. 特殊性(新婚旅行という一度きりのイベント)
一般的に「新婚旅行」は一生に一度の行事として特別性が認められやすいです。
上司に事前に予定を報告し、了解を得ていた点も考慮すれば、本人の落ち度というよりは「社内の情報共有や人事決定のタイミングのずれ」によるものと評価できます。
社員のモチベーション低下や会社への不信感を避ける観点からも、一定の配慮や補填は望ましいと考えられます。
3. 実務的な対応の選択肢
A. 補填しない(原則を貫く)
「赴任決定は業務優先であり、私的費用は会社負担対象外」と明確に伝える。
前例を作らないメリットはあるが、社員本人や周囲に「冷たい会社」と映るリスクあり。
B. 部分補填(会社の善意として一部支援)
例:キャンセル費用のうち 一定割合(例:50%) を会社が補助。
「特例として、新婚旅行に限り」と明記しておくことで前例化を防ぐ。
福利厚生費または赴任準備費用の一環として処理する。
C. 全額補填(モチベーション重視)
40万円+10万円を全額会社が負担する。
社員への配慮としては最も手厚いが、他の従業員から「なぜこの人だけ?」と不公平感が出やすい。
以後の同様ケースへの対応を準備しておく必要がある。
D. 別の形で埋め合わせ(費用補填以外)
赴任地での特別休暇を認める。
渡航後に記念休暇や家族同伴費用の補助を行う。
「費用補填ではなく機会の提供」で対応することで、前例管理が容易になる。
4. 望ましい進め方(ご提案)
原則は本人負担としつつ、
「新婚旅行の特殊性」と「上司了承済みであった経緯」を踏まえて、
一時的な特例措置(部分補填または別途休暇付与)を行う。
→つまり「業務優先の立場は崩さないが、会社として社員の人生の節目を尊重する姿勢を示す」ことが、制度と社員満足のバランス上もっとも良いと考えます。
もしよければ、
「会社として今後同様のケースにどう備えるか(制度化の有無)」
「今回だけの特例とするのか」
を明確にしておくと、社内の不公平感を抑えられると思います。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/25 20:01 ID:QA-0157174
相談者より
わかりやすく整理いただき、問題点ならびに対応方法に関して大変参考になりました。ありがとうございました。こちらのご意見をもとに対応方法を検討いたします。
投稿日:2025/08/26 14:24 ID:QA-0157256大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
まず、同様な前例がないのに、なぜ今回このような事が起きたのかです。
次に、本人は往復旅費を変更不可で予約しておりということですが、変更不可しか
選択肢はなかったのかです。
そして、上司は会社に報告するしくみはなかったのか、又会社として海外赴任を延期することはできなかったのかです。
上記を勘案して、このような事が起こった原因を検討するとともに、
再発防止策はないのか、又今後他の社員も同様なケースが起きたときに、
会社としてどこまで配慮できるのか、あるいは配慮しないのかを
検討してください。
投稿日:2025/08/25 21:53 ID:QA-0157178
相談者より
根本的にはご指摘の通りです。ありがとうございます。
人事の決定プロセスを見直すべき部分はあると思いますが、海外赴任は後任人事となることから、個人事情をどこまで考慮すべきかという点で検討します。
投稿日:2025/08/26 15:45 ID:QA-0157270参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、「上司には新婚旅行の日程も報告し了解は得ていたものの、その後に海外赴任が決定した次第です。」といった経緯に問題があるものといえます。
通常であれば、当人側から先に新婚旅行について会社側(上司)へ報告し了承済みでしたので、その時点でいきなりこれと被る日程で海外赴任を命じる措置は取られないはずです。
すなわち、当事案に関しましては明らかに会社側での状況確認不足といえますので、当人に対しましては陳謝の上、今回の件で直接発生した損害等については会社側にて全て補填をされるべきといえます。
投稿日:2025/08/25 21:59 ID:QA-0157179
相談者より
ロジカルに考えると確かにご助言いただいたとおりとなります。整理いただきありがとうございました。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/08/26 15:47 ID:QA-0157271参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
まず、前提としては、海外赴任命令自体は業務命令であり、
会社都合による旅行キャンセル費用を法的に補填する義務はありません。
しかしながら、現実問題として、新婚旅行は人生の大イベントですので、
法的理由を盾に、会社が何も認めない・対応しないことは、社内風土・指揮
を大きく落とすことが懸念され、何かしらの措置を講じる必要があるものと、
思案いたします。
最も有力なのは、赴任時期を後倒し調整することです。(勿論、可能であれば。)
それが難しければ、費用の半額相当を会社が負担することが妥当かと
思案いたしますが、「上司には新婚旅行の日程も報告し了解は得ていたものの」
とありますので、全額会社が費用負担するという判断も十分あり得ます。
会社が費用負担する際は、経営判断になるかと存じますが、このような事例は
今後も発生しうるものですので、貴社の会社規程における海外赴任時の取扱い
に、本件のケースが生じた際の規定を設けておくことをお勧めいたします。
投稿日:2025/08/26 07:46 ID:QA-0157188
相談者より
赴任時期の後ろ倒しも検討いたしますが、現実的に難しい状況です。適切なアドバイスありがとうございした。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/08/26 15:49 ID:QA-0157272大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
問題点は2つです。
・上司には新婚旅行の日程も報告し了解は得ていたものの、その後に海外赴任が決定
・往復旅費を変更不可で予約
上司は事情を理解しているのに、無理な転勤を命じた責任があります。人生の大イベントを考慮しない会社というイメージが付くことは、社員のモラール(士気高揚)上、大きな問題となる可能性があります。
一方、海外赴任がきわめて当たり前の業務であり、これまでも突如赴任命令が出るという環境であるなら、有給休暇で時期確保をしていない限りは、変更不可で予約というのは本人の落ち度でしょう。本人の責が大きいのであれば補償は不要、会社が無理筋であれば補償必要と考えます。
いずれにしても法律問題ではなく、純然たるモチベーション管理やモラールといった人事課題のため、正解はありません。貴社の事情や社内環境を勘案し、しっかりと経営判断で決めて下さい。
投稿日:2025/08/26 10:23 ID:QA-0157219
相談者より
大変的確なアドバイスをいただきありがとうございます。整理いただき助かりました。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/08/26 15:51 ID:QA-0157273大変参考になった
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