1ヶ月単位の変形労働制 就業規則への記載方法について
弊社は1ヶ月単位の変形労働制を採用することになりました。
就業規則へ明記すべき事項の【労働日および労働日ごとの労働時間】について質問させていただきます。
営業部の社員を適用の範囲とするのですが、
始業時刻、就業時刻、勤務時間、様々なため膨大なシフトパターンがあります。
そのため、「時間帯の範囲」+「代表的パターン」を記載し、「どの時間帯で、どのような勤務時間が設定され得るか」といった方法で記載を検討しております。
(イメージ)
午前8時00分から午後9時00分までの間で、1日あたりの労働時間が4時間〜10時間の範囲で、業務の必要に応じてシフトを組む。
1、勤務シフトの代表的なパターンは、次の通りとする。
(1)8:30~17:30(休憩1時間)
(2)9:00~18:00(休憩1時間)
(3)10:00~19:00(休憩1時間)
(4)13:00~21:00(休憩1時間) など
2、実際の勤務シフトは、毎月○日までに翌月分を作成し、対象労働者に通知するものとする。
大手の飲食店では、就業規則に定められていたのは原則4パターンであり、
実際のシフトは多数パターンの勤務をしていたことで、具体的なシフトが記載されていないため変則労働制とは認められなかったという判例もありました。
結果200種類のパターンを記載したという記事もありました。
「時間帯の範囲」+「代表的パターン」を記載し、「どの時間帯で、どのような勤務時間が設定され得るか」という記載では、具体的なシフトパターンを記載しているとは言えないでしょうか。
どうぞよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/18 23:41 ID:QA-0155693
- 管理部Sさん
- 東京都/その他業種(企業規模 51~100人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論:代表的パターン+範囲の記載では「原則不十分」
厚労省や裁判例の考え方では、「具体的な労働日および労働時間の定め」が不十分な場合は、変形労働時間制が無効とされるリスクがあります。
【根拠・背景】
労働基準法32条の2第1項では、「労働日および労働日ごとの労働時間を特定すること」が必要。
厚生労働省のガイドラインでも、就業規則には「具体的な勤務時間のパターン」または「勤務表の作成方法および通知時期」を記載するよう指導。
【参考裁判例】2008年 仙台地裁判決(某飲食チェーン店事件):
→ 「代表的勤務パターンのみでは、変形労働時間制の適用があるとは言えない」と判断されました。
2.貴社案の評価:「時間帯の範囲」+「代表的パターン」のみではリスクあり
現状の案は以下のとおり:
午前8時~午後9時の間で、4~10時間勤務/代表的パターンを例示
この記載だけでは、「実際の勤務時間が具体的にどう決まるのか」が不明確とされる可能性があります。
3.推奨される対応策
(1)「具体的なシフト作成ルール」の明記
以下のような項目を必ず明記することで、制度の有効性が高まります。
・実際の勤務シフトは毎月25日までに翌月分を作成する
・作成権限者(例:営業部長)
・勤務割表を○日前までに従業員へ通知
・代表例以外にも、業務の必要に応じて設定する場合がある
・このような勤務時間の設定は、労使協議により過半数代表と合意済み
(2)「勤務パターン一覧」などを別表添付する方法
就業規則に代表パターンと運用方法を記載したうえで、**「勤務パターン一覧表」などを別紙添付(労使協定または運用文書として)**する方法もあります。
これは実務でも多く使われており、合理的かつ柔軟性があります。
4.まとめ:必要なポイント整理
項目→要点
法的要件→労働日ごとの労働時間を「具体的に」定める必要
代表的パターンだけでは?→原則として不十分、無効とされるリスク
有効化のための工夫→勤務時間帯の上限下限+具体的パターンの列挙+シフト作成ルールの明示
補足→多数のパターンがある場合は、別表などで対応可能
以上です。よろしくお願い申し上げます。
投稿日:2025/07/22 08:17 ID:QA-0155714
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
変形労働時間制に対する就業規則への規定については、
労働日及び労働日ごとの労働時間については、個別に定めることが困難な場合に
は、始業・終業時刻の範囲と、代表的な勤務パターンを就業規則に定めるだけ
ではなく、決定方法も具体的に規定しておりませんと、パターンと実態との間で
大きな乖離あり=変形労働制として認めらないと判断される場合があります。
よって、ご質問者様記載の、
「どの時間帯で、どのような勤務時間が設定され得るか」がきちんと記載されて
さえいれば、問題は生じ得ないものと思案いたします。
上記のルールの定義付が難しい場合、膨大かもしれませんが、全ての
シフトパターンを別紙の形で、作成いただくことをお勧めいたします。
投稿日:2025/07/22 08:32 ID:QA-0155715
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、変形労働時間制の場合は、事前に労働日と労働時間を確定させる事が要件とされています。これは、通常の制度で発生する時間外割増賃金の発生を抑えるという当該制度の主旨に照らしても不可欠とされる事柄になります。
従いまして、代表的なパターン等で済ます事は認められませんし、事前に決められないようであれば、変形労働時間制の適用は不可といえます。
投稿日:2025/07/22 09:19 ID:QA-0155722
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
パターンが決まっているのであれば、
全て別紙等で記載しておく必要があります。
あるいは、
始業時刻等について法則性があるのであれば、
例えば、8:30~15:00までの30分刻みなど
読み切れる表現でもかまいません。
投稿日:2025/07/22 13:16 ID:QA-0155732
プロフェッショナルからの回答
通達
以下、回答させていただきます。
(1)通達(昭和63.3.14基発150号)において、以下のような記載があります。
(問)勤務ダイヤによる一箇月単位の変形労働時間制を採用する場合、各人
ごとに、各日。各週の労働時間を就業規則に定めなければならないか。
それとも、就業規則では、「始業、終業時刻は、起算日前に示すダイヤ
による」とのみ記載し起算日前に勤務ダイヤを示すことだけで足りる
か。
(答)就業規則においてできる限り具体的に特定すべきものであるが、業務
の実態から月ごとに勤務割を作成する必要がある場合には、就業規則に
おいて各直勤務の始業終業時刻、各直勤務の組合せの考え方、勤務割表
の作成手続及びその周知方法等を定めており、それにしたがって各日ご
との勤務割は、変形期間の開始前までに具体的に特定することで足り
る。
(2)これを踏まえれば、「各日ごとの始業終業時刻」は、「就業規則において
定められている各直勤務の始業終業時刻、各直勤務の組合せの考え方、勤務
割表の作成手続等」によって自ずと得られるものであると認識されます。
「代表的パターン」で足りるものではなさそうです。
投稿日:2025/07/23 23:28 ID:QA-0155782
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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