派遣社員の都合による正社員の出退勤時間変更
派遣社員の私的な都合で正社員の勤務時間を変えられるでしょうか。
派遣社員採用時に週5日・8時間勤務の希望だったのですが、朝早く出勤するのが辛いという理由から、同意の上最初の1ヶ月は9:30〜18:00、休憩1時間の7時間半勤務の契約で現在就労してもらっています。
しかし当初希望していた勤務時間から30分少ないこともあり、9:30〜18:30、休憩1時間の勤務に変更させてもらいたいと派遣社員から話がありました。
しかし同じ課内で働いている他の正社員2名、管理監督者1名は全員9:00〜18:00、休憩1時間という契約になっております。
会社側からは派遣社員の勤務時間変更は下記条件で了承をもらっています。
①課内で解決すること
②派遣社員に合わせて残業をすることは認めないこと
そこで課内の一部、もしくは全員の勤務時間を9:30〜18:30、休憩1時間に変更出来ないか管理監督者から正社員2名に聞いたところ、1人からは拒否されております。
管理監督者1名だけでは急病の際に対応できないため、もう1人の正社員も9:30〜18:30に半強制的に変更せざるを得ない状況になりました。
勤務時間を変更する正社員には説明をしておりますが、変更理由が派遣社員の朝が辛いという理由のため、同意を得られていない状態です。
上記のような場合、強制的に出退勤時間を変更できるでしょうか?
投稿日:2025/04/25 08:20 ID:QA-0151479
- あいさん
- 東京都/不動産(企業規模 501~1000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、派遣社員に限らず他の従業員の都合で労働契約上の始終業時刻を変更する事は当然ながら認められません。
自己都合で勤務時間が守れない従業員の為に、他の従業員に勤務時間変更を命じる等というのはまさに本末転倒ですし、従業員が拒否されるのは当然といえるでしょう。
対応としましては、課内で解決出来ない場合ですと、新たに対応可能な派遣社員を手配されるべきといえます。
投稿日:2025/04/25 09:19 ID:QA-0151489
相談者より
ご回答いただきありがとうございます。
私的な理由で他社員の契約上の時刻を変更するのはおかしいと感じていたため、認識と相違がなく安心いたしました。
当人達へ伝えたうえで対応を検討いたします。
投稿日:2025/04/25 20:48 ID:QA-0151529大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問のケースでございますが、
社員の方の労働時間帯が、9:00〜18:00の固定時間帯での契約であれば、
9:00からの勤務開始時間を変更することは出来ません。
よって、18:30迄の勤務を命じることは、18:00~18:30の間は、
残業命令として行うこととなります。
一方、「派遣社員に合わせて残業をすることは認めないこと」
の条件付了承があるとのことですので、実現は難しいかと存じます。
投稿日:2025/04/25 09:34 ID:QA-0151492
相談者より
ご回答いただきありがとうございます。
雇用契約書を確認したところ、固定の時間帯での契約でした。
おっしゃる通り勤務開始時間は変更出来ないため、別の対策を取るよう伝えます。
投稿日:2025/04/25 20:52 ID:QA-0151530大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
結論から言いますと、「派遣社員の私的理由」に基づいて、正社員の出退勤時間を一方的に変更することは原則としてできません。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
結論から言いますと、「派遣社員の私的理由」に基づいて、正社員の出退勤時間を一方的に変更することは原則としてできません。
以下に法律的・実務的な観点から整理してご説明します。
1.結論:正社員の勤務時間を派遣社員の都合で強制変更することは原則違法
勤務時間は労働契約の**「労働条件の根幹」にあたります。そのため、使用者側が正社員に対して一方的に勤務時間を変更することは、労働契約の変更=契約内容の変更**となります。
労働契約法第8条では、以下のように規定されています:
労働者及び使用者は、労働契約の内容について合意することによってのみこれを変更することができる。
つまり、正社員本人の同意がないまま勤務時間を変えることは原則として許されません。
2.就業規則に「始業終業の変更」がある場合でも限界あり
たとえば就業規則に「業務上の必要があるときは始業・終業時間を変更することがある」という条文があったとしても、その裁量には「合理性」が求められます。
この場合、勤務時間変更の**理由が「派遣社員の私的理由」であり、しかも正社員の勤務上の支障が出る可能性がある(急病時の対応等)**ため、合理性があるとはいえず、無効とされるリスクが高いです。
3.リスク:無理に勤務時間を変えるとどうなるか?
正社員から不利益変更として訴えられる(労基署への相談や裁判の可能性)
労働契約法違反となる(損害賠償請求や是正命令のリスク)
職場内のモチベーションや人間関係の悪化
4.望ましい対応案
(1) 正社員への変更依頼はあくまで「任意」とし、強制は避ける
本人の同意が得られなければ、他の対応を検討するのが筋です。
(2) 派遣社員の希望に対しては「業務上の制限」を丁寧に説明
派遣元と連携し、就業時間の変更が難しい旨を共有し、元の9:00〜18:00に戻すか、現状維持でお願いする方向に誘導する。
(3) 管理職1名でカバーできる範囲の業務配分に見直す
「急病時の対応」などが管理職だけで対応できるような体制を整えられないか、業務内容を棚卸しして検討。
4.補足:派遣法の観点
派遣社員の「就業条件の変更」は、派遣先・派遣元・本人の三者の合意が必要です。
また、派遣先の社員(=御社の正社員)がその変更のために不利益を被るような運用は、派遣先責任の不履行や不公正な労働条件として問題視されるおそれがあります。
5.まとめ
正社員の勤務時間を派遣社員の私的理由で強制的に変更することはできません
労働契約法上、「本人の同意」が必須
派遣社員の希望には一定の配慮は可能ですが、組織全体に無理を強いるのは避けるべき
必要に応じて派遣元との再調整や契約内容の見直しも視野に
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/04/25 10:00 ID:QA-0151495
相談者より
ご回答いただきありがとうございます。
本人の同意なしでの変更は法的に難しいと感じておりましたので、詳しく記載いただいたことで確認することができました。
ご教授いただいた対応案を参考に、各所と調整いたします。
投稿日:2025/04/25 20:56 ID:QA-0151531大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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