社内の他事業場への出張時の残業代について
初めて質問させていただきます。
当社の規程では、出張時はみなし労働として
残業代は支払っておりませんが、
社内の他事業場へ出張した場合は、
事業場外労働が明らかになっているとし、
残業代を支払おうと考えております。
お聞きしたいのは、
例えば、基本の所定の勤務時間が9時から6時迄として、
出張の移動ため、現地入りが10時頃となり、夜8時まで勤務した場合、
9時から働いているとして、2時間残業代を支払うのか、
10時から働いているとして、1時間残業代を支払うのか、
どのように考えたらよろしいのでしょうか?
投稿日:2008/10/02 14:56 ID:QA-0013856
- *****さん
- 大阪府/その他業種(企業規模 101~300人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
社内の他事業場への出張時の移動時間は労働時間?
■労基法38条の2第1項に定めのある《みなし労働時間制》は、「事業場外で業務に従事した場合」において「労働時間を算定し難いとき」に許される一種の便法制度です。従って、その条件を持たさない「事業場外ではない場合」や「算定し難くないとき」には、実際の時間外労働時間に基づいた割増賃金の支払が必要です。今回のご検討内容は、「事業場外労働が明らかになっている」というよりも「労働時間が算定し難くない」とのご判断に基づく措置だと思います。
■出張の際の往復の旅行時間が労働時間に該当するかどうかについては,一寸厄介で、通勤時間と同じ性質のものであって労働時間でないとする説と,移動は出張に必然的に伴うものであるから,使用者の拘束のもとにある時間とみて,労働時間であるとする説などがあります。前者の考えに基づけば、10時から、後者の場合は、9時からの就労ということになります。いずれの方式でも、法違反の問題ではなく、労使の合意次第ということになります。
■因みに、裁判例は,「出張の際の往復に要する時間は,労働者が日常出勤に費やす時間と同一性質であると考えられるから,右所要時間は労働時間に算入されず,したがってまた時間外労働の問題は起こり得ないと解するのが相当である」としていますが、多様な出張形態にすべて適用することが妥当とは言えず、ご検討中の事業所間の出張のケースには、移動時間も労働したものとする方に分があると思います。
投稿日:2008/10/02 20:08 ID:QA-0013862
相談者より
早々に回答いただきありがとうございます。
社員に不利にならず、ほっとしております。
投稿日:2008/10/03 09:36 ID:QA-0035495大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
文面の「社内の他事業場へ出張した場合は、事業場外労働が明らかになっている」の部分ですが、正確には「労働時間が明らかになっている」、つまり通常の労働時間管理が可能である状況とお見受けいたします。
以下そうした前提の上で回答させて頂きますと、基本的に出張に関する移動時間につきましては労働時間に含めない取り扱いが認められています。
但し、ご相談の件の場合には「所定の勤務時間内に移動時間が入っている」という点が大きなポイントとなります。
この場合ですと、本来の始業時間となる午前9時から実際の業務に就いていないのは会社の出張指示による移動の為でやむを得ない事態といえますので、たとえ移動時間であっても会社の指揮命令下にある状態と考えて労働時間扱いとするのが妥当というのが私共の見解になります。
従いまして、午前9時から10時の間の賃金を控除することなく、2時間分の残業代支払とすることが望ましいといえます。
投稿日:2008/10/02 22:35 ID:QA-0013863
相談者より
早々に回答いただきありがとうございます。
社内で意見が分かれていたものですから、
すっきりいたしました。
投稿日:2008/10/03 09:34 ID:QA-0035496大変参考になった
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