スタッフの絆を組織の強みに
――「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの“人自”戦略とは
想像戦略室 室長
梅澤 孝之さん
昼休み廃止、会議資料削減で「1日6時間勤務」へ
仲の良さといえば、御社にはカップルが多いそうですね。社内恋愛も、社内結婚も、会社がむしろ“奨励”しているとか(笑)
人自の視点でいうと、スタッフが職場でどんどんパートナーを見つけられるというのは素晴らしいことだと思うんです。魅力的で人間として尊敬できる人が、それだけ社内にいるということですから。そういうスタッフ同士が出会って、一組でも多くのカップルが生まれるよう応援していきたいですね。ちなみに現時点での公認カップルは40組程度、結婚して夫婦になったカップルは12組います。
ひと昔前は、職場で恋愛というと会社ににらまれたり、「寿退社」などといわれて、女性が暗に肩叩きにあったり、どこかタブー的な扱いでした。
弊社の場合、そういうネガティブなイメージはありません。会社公認で絆を育み、みんなに祝福されてゴールインするというパターンが多いので、寿退社どころか、むしろ本人たちとしては会社への愛着やロイヤルティがますます強まるみたいですね。子どもが生まれるカップルも年々増えてきました。人自としては、彼らが子育てや家族との時間をもっともっと充実させられるよう、最近は「時短」の取り組みにも力を入れています。
それが、話題の「1日6時間労働」ですね。ちなみにこの制度が導入されるまでは、御社も一般的な8時間労働だったわけですか。
ZOZOTOWNを開設した当初はそうでした。それをまず、2010年に「1日7.5時間」に短縮し、今年の5月からさらに1.5時間減らして原則6時間勤務にしています。基本の就業時間は午前9時から午後3時まで。昼休みは廃止しました。ランチの時間をあえて設けず、その分集中的に働いて早くあがろうという取り組みです。「それで業務が回るのか?」という質問をよく受けますが、もちろんまだ始めたばかりということもあり、100%達成できているわけではありません。僕自身、まだ定時に終われないときもありますし、お客様や取引先様に不便をかけないよう、2交代制で対応している部署もあります。だけど、会社を6時間で終わらせること自体が目的ではないんですよ。8時間労働が常識になっているけれど、本当に8時間必要なのか?もっと生産性を上げるにはどうすればいいのか?――6時間勤務へのチャレンジをきっかけにして、スタッフに働き方やライフスタイルに対する意識改革を促したい。それが、この施策の一番のねらいなんです。
梅澤さんの目から見て、生産性アップに向けた意識改革は進んでいますか。
何事も事前によく考え、準備するようになったとは思いますね。たとえばそれまでざっくり1時間単位で設定していた会議を30分、45分に短縮し、使う資料類も大幅に減らしたところ、かえってみんなが考えをよく整理して会議に臨むようになりました。シンプルな発言が増え、会議の効率も良くなった気がします。分厚い資料って、結局は持ちこむ人のパフォーマンスだったりしますからね。代表との打ち合わせでは、無駄な資料の使用は禁止。言葉だけで的確な説明が求められます。また生産性を上げるには、これまで以上に周囲と連携して助け合わなければなりません。だからこそ社内の連絡もフェーストゥフェースを呼びかけています。いちいち長いメールを書いてやりとりしなくても、一回会って話せば済む用件って、案外多いですよね。そのほうが意思疎通もスムーズだし、伝えたいことがより正確に、思いの部分まで伝わりやすいですから。