人事部だけでなく社員全員が参加して現状を変えていく
働き方改革を自分ごと化するオカムラの「WiL-BE」
株式会社オカムラ 執行役員 コーポレート担当 CHRO(人事部・人財開発部・お客様相談室・サステナビリティ推進部)
佐藤喜一さん
コロナ禍で急速に進むペーパーレス化やチャット活用
残る三つのアクションについてもお聞かせください。
二つ目のアクションは「Work Rule」です。人事部が主体となって働きやすい制度を作り、運用・定着を進めています。
制度づくりだけでなく、さまざま取り組みを進めていますが、その中に「カエル!プロジェクト」というものもあります。職場ごとにチームを作り、業務改善や効率化のために自分たちは何ができるかを考え、実行しています。当初は「カエル」にかけて、みんなが早く帰れるように会議のやり方を変える、朝の段階で「○時に帰ります」と宣言する早帰りカードをPCに貼るなど、意識を変えるアクションを行ってきました。
現在は、ペーパーレス化に力を入れています。コロナウイルス感染防止のため在宅勤務をしてきましたが、伝票処理でどうしても事務所に出なければいけない社員もいました。「カエル!プロジェクト」の今年の活動としてペーパーレス化を全社目標に掲げ、各職場で進めているところです。
コロナ禍で明らかになった課題に対して、さっそく取り組んでいらっしゃるのですね。
はい。三つ目のアクションである「Work Smart」も、現状に対応していくためには欠かせません。これは業務改革部が中心となってICT環境を整え、仕事力と業務効率をアップする取り組みです。これまでにはRPAの導入やOffice365などの導入を進めてきました。最近では社内メールではなくMicrosoft Teamsのチャットを活用するようになっています。RPAの導入によって年換算で4,350日分の仕事が削減できたという結果も出ています。
単に効率化を呼びかけているだけではありません。職場ごとに「どれだけチャットを活用できているか」「チャットでどれくらい発信しているか」など具体的な目標を立て実績を検証しています。私たち役員も、目標を持っているんですよ。1ヵ月間にチャットを使う回数やチャットによる発信など目標を数値化しています。達成状況はオープンに公開されますから、「自分はデジタルにうとくて……」などとは言っていられません。最近では役員の会議の資料もTeamsで共有するなど効率化を図っています。
そして四つ目が、オカムラのビジネスの根幹でもある「Work Place」の取り組みです。ワークデザイン研究所とスペースデザイン部が主導して自分たちで働く環境を変え、効率と創造を高めていき、実績を検証して得られた成果をもとにお客さまへも提案していきます。
直近ではアフターコロナを見据えて「アフターコロナにむけたワークプレイス戦略」を発表しました。当社では、アフターコロナを「ワクチンが開発・承認され、社会へ広く行き渡った段階」と定義しています。現在は「感染防止に最大限留意しながら経済活動を進めていく」ウィズコロナの段階で、しばらくはこの状況が続くのではないでしょうか。在宅勤務やシェアオフィスでの勤務など働く場所は多様化しています。「オフィスへの出社率100%」は、今後はもうあり得ないのではないかとも考えます。当社は現在(取材日:2020年7月上旬)で出社率50%の勤務体制で業務を進めていますが、これが妥当かどうかも含め、今後とも検証していきます。