「シン・人事の大研究」調査レポート【第11回】
45歳以降のベテラン人事パーソンが体験する、
キャリアに関する「ドンヨリ」とは?
人事パーソンは何を学び、どんなキャリアを描いているのか。自身をどう評価し、どのように変わろうとしているのか――。立教大学 田中聡氏・中原淳氏と『日本の人事部』編集部による「シン・人事の大研究」の調査結果を基に、人事パーソンの実態を明らかにしていきます。
ベテラン人事パーソンは「ドンヨリ期」をどうやって乗り切るのか
人事のキャリアについて、34歳までの若手を「モヤモヤ期」、35歳~44歳までの中堅を「ウキウキ期」、45歳以降のベテランを「ドンヨリ期」と3区分し、これまで「モヤモヤ期」「ウキウキ期」を見てきました。今回は45歳以降の「ドンヨリ期」について見ていくことにします。
45歳以降になると、全般的に幸福活躍度が下がっています。では、ベテラン人事の“幸せな活躍”を促す仕事の特徴とは何でしょうか。調査では残念ながら「ポジティブ項目該当なし」という結果でした。
しかし、逆にマイナスに影響する項目はたくさんあります。上位から「仕事の意義を実感できない」「やらされ感が強い」「仕事の終わりが見えない」「やって当たり前だと思われる」という結果です。ベテラン期にはプラス面を考えるよりも、こうした負の側面をいかに最小限に抑えるかが現実的なアプローチになるといえそうです。
次に「常に新しい課題に対処しなければならない」状況にあるかどうかを聞いたところ、40代後半に向けて、新しい課題と向き合う機会が増えていることがわかりました。
これまでのレポートで見てきたように、新しい課題を「やらされ仕事」から「やりがいのある仕事」に見立てられることで、幸福活躍度は高くなります。ジョブ・クラフティングと言えるでしょう。ジョブ・クラフティングは、若手、中堅、ベテランとすべてのキャリア区分でプラスの影響を与えています。人事部門内でも、ジョブ・クラフティング的な機会を持つことが重要です。
次に職場外での学習行動を見ると、インプット重視の若手期、アウトプット重視の中堅期を経て、ベテラン期に入るとインプットとアウトプットをともにバランスよく実践し、自らをチューニングしていくことが重要だとわかりました。常にアップデートして新しい情報を取り入れながら、一方で学んだ知識をどんどん担当業務に活用して応用しています。このバランスをいかに保てるかが、ベテラン期での大きな成長課題と言えそうです。
またベテラン期には、「人間の持つポテンシャルの大きさを実感した」「経営層の視点に立って考えるようになった」「自社の経営戦略や事業課題について理解が深まった」という人事パーソンほど、幸福活躍度が高いことがわかりました。
ここで、ベテラン人事パーソンについてまとめると、「ドンヨリ期」を乗り越えるためには、以下がポイントといえそうです。
- 仕事面での負の影響を抑える
- 他者の声に耳を傾け、自分で自分の仕事を意味づける
- インプットとアウトプットの往還で自らをアンラーニングする
第12回のレポートでは、人事パーソンの仕事に対するエンゲージメントについて見ていきます。次回もお楽しみに!
実施時期 | 2022年2月1日(火)~ 2月28日(月) |
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調査対象 | 企業で人事関連の仕事(人事、人材開発、組織開発など)に従事している方 ※「人事関連の仕事」とは、ご自身が所属する組織の「人と組織にまつわる業務全般」を指します。所属部署が本社人事部であるか事業部であるかは問いません。採用支援や人事コンサルティングなど、人事担当者に対してサービスを提供する企業に従事されている方は該当しません。 |
調査方法 | Webでのアンケート |
回答者数 | 1,514名 |
全国の人事パーソンを対象に行った大規模調査の結果から、人事パーソンの実状を明らかにしていきます。