若手社員研修のテーマ・種類・選び方
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若手社員研修は、一般的に入社3年目くらいまでの社員を対象に行う研修のことをいいます。新入社員の時期に基本的なビジネスマナーやコミュニケーションスキルを学んだうえで、より高度なスキルや知識を身につけるために行われます。それぞれの企業が必要とするスキルは異なるため、自社に合わせた研修の選択が大切です。本記事では、若手社員研修の概要や導入の注意点などを紹介します。
若手社員とはどのような存在か
若手社員は、組織に新しい視点やアイデアをもたらし、未来を担う重要な存在です。若手社員の定義は、企業や業界によって異なりますが、一般的には入社3年目くらいまで、年齢にして25、26歳くらいまでの社員を指すことが多いようです。
若手社員の期間は、新しい環境に適応し、基本的なビジネススキルや企業文化を学ぶ時期です。新入社員の時期には、指示された仕事を正確に遂行することが重視されますが、その後は自分で仕事を見つけて積極的に取り組むことが求められます。先輩や上司の指示がなくても動けるようにならなければなりません。後輩ができれば、指導者としての役割も求められます。
しかし、まだ仕事への取り組み方がわからなかったり、問題に直面して戸惑ったりするなど、悩みを抱えることも多い時期です。2023年10月20日に発表された、厚生労働省の調査結果(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00006.html)によれば、就職3年以内の離職率は大卒32.3%、高卒37.0%(2020年3月卒業)と高く、早期退職を考える時期でもあります。
若手社員研修の目的
若手社員研修の目的は、早期に必要なスキルや知識を身につけさせ、企業の将来的な競争力を向上させることです。組織の基本的な原則や構造を理解し、企業の一員として組織の発展に貢献する意識を持つことを学びます。また、今後の長い社会人人生で必要不可欠である、基本的なビジネススキルも学びます。後輩ができる時期には、リーダーシップや周囲と協力して円滑に仕事を進めるためのコミュニケーションスキルも身につけなければなりません。若手社員研修の最終的な目的は、自律・自走できる人材の育成です。
対象となる若手社員は、業務を円滑に進められるようになることでモチベーションの向上やそれに伴う離職防止効果が期待できます。
『日本の人事部 人事白書2023』で、企業に「若手社員に身につけさせたい力」を聞いたところ、「自ら課題を設定する力」(60.9%)が最も多く、次いで「コミュニケーション力」(53.9%)、「協調性、チームワーク力」(45.1%)という結果になりました。
若手社員研修のテーマ
若手社員研修の内容は、企業の特性やニーズに合わせてカスタマイズする必要があります。一般的に取り上げられることの多いテーマをいくつか紹介します 。
ロジカル・シンキング
ロジカル・シンキングとは、論理的な思考力です。問題解決、意思決定、交渉、プレゼンテーションに活用できるため、重要なスキルです。ロジカル・シンキングには「MECE(ミーシー)」「ピラミッドストラクチャー」などのいくつかのフレームワークがあります。
特に若手社員は、業務の幅が広がり、他者と協力しながら、自分の力で業務を推進することが求められはじめます。考え方のフレームワークを身につけることで、コミュニケーションや問題解決などさまざまな場面において自走できる人材への成長を促進することができます。ロジカル・シンキングの研修の中には、架空の具体的な事例をもとに、問題を発見し、解決手法を考える「ケーススタディー」の方法で行う研修もあります。
コミュニケーション能力
ビジネスにおいては、上司や後輩、顧客など、さまざまな人とコミュニケーションをとる必要があります。上司には日常的に「報告・連絡・相談」が必要になるため、的確に「報告・連絡・相談」ができる話し方を身につける必要があります。だんだんと後輩も増えてくるため、後輩が何に困っているのか、何がわからないのかを的確に読み取り、それに応じて指導するコミュニケーション力が求められます。顧客に対しては、顧客のニーズをくみとるための「傾聴力」、自社の商品・サービスの特長を的確に説明するための「プレゼンテーション能力」が必要になります。
コミュニケーション能力研修では、こうしたスキルを学びます。参加者同士で実際にコミュニケーションをとってみる、といった「ロールプレイング」を取り入れた研修もあります。
リーダーシップ
リーダーシップは、リーダーや管理職だけに求められるものではありません。自分から動くことで人を動かす力は若手社員にも求められます。同僚や後輩を引っ張ったり、チームをまとめたりする力も必要です。また、次世代のチームリーダー・管理職の候補になるという意味で、若手社員のうちから、チームをけん引する力を身につけることも重要です。
リーダーシップ研修では、リーダーの役割や責任、コミュニケーション、業務の計画、目標設定や業務改善などのスキルなどを学びます。
タイムマネジメント
限られた時間の中で効率的に仕事をこなす能力は、基本的なスキルとして早期に身につけておく必要があります。特に若手社員は徐々に業務の幅や量が増えてくるタイミングです。労働時間が長くなりがちで、ストレスを抱える可能性も少なくありません。多くの業務を限られた時間でこなせるよう、タイムマネジメント力をつけることが重要です。
タイムマネジメント研修では、PDCAサイクル、優先順位の付け方、段取りなど、時間の使い方を計画し、実行するためのスキルを学びます。
若手社員研修のさまざまな形式
若手社員研修の形式は多岐にわたり、企業のニーズや目標によって選択されます。以下に、主な形式を紹介します。
公開講座
公開講座は、研修会社が提供する講座に、複数の企業の社員が参加する形式です。専門家や経験豊富な講師が講義を行い、参加者は知識やスキルを学びます。他の企業の社員と交流することで、新たな視点や刺激を得ることが可能です。
一般的には講師派遣型研修よりも価格は低くなります。多くの研修会社が多種多様な講座を提供しているため、いつ、どこでも参加しやすいというメリットもあります。一方、コースの内容が固定されており自社に合わない内容が研修に含まれる可能性があることや、ニッチなテーマの場合、他社の参加者が少なく講座が開講されていない、などのデメリットがあります。
研修受講対象者が少ない場合や費用を抑えて研修を実施したい場合に適した形式です。また、コロナ禍を経てオンライン形式が主流となりましたが、一部対面形式のものも開催されています。
講師派遣型研修
「講師派遣型研修」とは、専門的な知識や技術を持った講師が企業を直接訪れ、研修を行う形式です。企業のニーズに合わせてカスタマイズされたプログラムが提供され、受講者は自分たちの職場環境や具体的な問題に即して学ぶことができます。
メリットとしては、まず、自社のニーズに合わせて日程・場所を決められること、 参加者の移動が不要なケースも多く、時間や交通費の節約につながることなどがあります。また、研修内容を組織の特定のニーズに合わせて調整できるため、より実践的で効果的な学習が期待できます。デメリットとしては、まず、講師の質や専門性が研修の質を大きく左右することがあります。また、対面の場合は会場や機材、オンラインの場合は配信ツールなどを用意する必要があります。講師派遣型研修は一般にカスタマイズされた内容であるため、コストが高くなる傾向があります。
eラーニング
eラーニングとは、ITを用いて動画を視聴することなどによって学習する方法です。eラーニングは時間と場所を選ばずに受講者のペースで学習できるため、集合研修が持つ課題を解決できるとして注目を集めています。映像や図解、イラスト、音声を活用して、効果的に学習できるeラーニング教材が増えています。
研修担当者の負担が軽減される、受講者の進捗管理が容易、最新の内容を常に届けられる、などのメリットもあります。しかし、受講者の自主性にある程度任される部分が大きく、学習意欲や集中力がどこまで保たれるか、という課題もあります。受講者としても、リアルタイムの交流ができない、体験を伴う研修を受講できない、などのデメリットもあります。
若手社員研修・研修会社を選ぶときのポイント
企業のニーズや若手社員の特性に合わせた研修や研修会社を選ぶことで研修の効果を高め、若手社員の成長を促すことができます。
カリキュラム
自社の目的や社員のニーズに合わせて、最適なテーマを選択することが重要です。場合によっては、カリキュラムを自社のニーズに合わせてどこまでカスタマイズできるかも確認する必要があります。 また、同時にどのような講師が研修を務めるのかも確認する必要があります。講師の資質や経験は研修の質に大きく影響します。専門的な知識や経験を持っていることはもちろん、教える能力やコミュニケーション能力、人柄も重要です。講師の略歴を調べ、可能であれば発注前に打ち合わせを行います。
実績
研修会社の実績も重要です。「若手社員向け研修」の「実施件数」「導入されている業界」「得意な従業員規模」「利用企業や受講者の声」などに着目し、研修会社のWebサイトを見たり、営業担当者に確認したりします。「研修が導入されている業界」「得意な従業員規模」を確認し、同業種・同規模の企業に多く利用されている研修会社であれば、自社に合う可能性も高い、といった考え方もできます。また、「利用企業や受講者の声」に加えて、どれぐらいの企業がその研修をリピートしているのかなどを確認することによって、研修の質と効果が高いかどうかを推測します。
フォローアップ体制
研修後も定期的にフォローアップを行い、学んだことが実践できているかを確認することが重要です。追加の教育が必要な場合などに、フォローアップを行ってくれる研修会社もあります。研修後にどのようなレポートが得られるのか、研修の効果測定をどのように行ってくれるのかといった観点で研修会社を選ぶと効果的です。
料金
研修の料金も重要な選択基準です。複数社の研修会社の料金を比較検討します。料金だけで研修を選ぶのではなく、その内容や効果を考慮に入れた上で、コストパフォーマンスが高い研修を選ぶことが重要です。公開講座の場合は講座を受講する人数で費用が決まり、一般的なものは1講座に対して一人あたり20,000円~50,000円程度が相場です。一方、講師派遣型の場合は派遣する講師の人数や時間、内容によって費用がきまるケースが多いです。eラーニングの場合はeラーニングを受けられる期間で費用が決まるものが一般的です。
若手社員研修を導入するときの流れ
研修を導入する際の流れは次の通りです。
1)目的と目標を明確にする
自社の戦略を軸にしながら、対象となる社員がどのような状況にあるのか、どのような力を身につける必要があるのかを分析し、研修の目的と目標を明確にします。
例えば、会社の方針として新規事業開発に力を入れているのであれば、事業開発をけん引できる人材を育てるために若手からリーダーシップ研修に力を入れ、5年目までにマネジャーに昇格する人数を10%増やすといった目標が考えられます。その際、社員の現状分析のためにはサーベイの導入も有効な手段の一つです。ただ、現状分析をもとに研修を導入する際は「ストレスチェックにひっかかる若手が多いからレジリエンス研修を導入する」のように結果を直接研修と結びつけるのではなく、研修実施以外の方法も含めて根本原因を解決することが必要です。
2)対象者を特定する
研修の対象者を特定します。対象者は、入社2年目や3年目などの年次や営業職・企画職・バックオフィスなどの職種で分けることができます。そのうえで、実際に受講する人の選定の仕方としてはいくつかの方法があります。
まず、「手挙げ式」です。希望した人に受講してもらいます。自分で自分の課題を考えて、カリキュラムを選ぶことで、学ぶ意欲と責任感が高まります。次に、「上司が推薦する」方法です。上司が部下の課題や伸ばしてほしい力などを考え、推薦します。「この部下は『報告・連絡・相談』がうまくできていない。顧客のニーズを聞き出せておらず、受注件数が伸び悩んでいる。だから、コミュニケーション研修を受けさせたい」などと推薦します。 もちろん、「2年目になったら全員研修を受講する」など、条件に当てはまる人全員が対象者となるケースもあります。
3)研修(会社)を選定する
目的や目標に応じて、ビジネスマナーやコミュニケーション能力など、必要なテーマを検討します。また、半日・1日だけの短期間の研修、数日間にわたる長期間の研修などの「期間」について、公開講座、講師派遣型研修、eラーニングなどの「形式」、「オンラインか対面か」についても併せて考えます。
また、「若手社員研修・研修会社を選ぶときのポイント」で見たように、「実績」「フォローアップ体制」「料金」などの観点もふまえて、最終的に研修(会社)を選定します。
4)導入する
内容や方法を検討したうえで、実際に研修を導入します。 人事担当者などの研修導入担当者は、外部の研修会社への申し込みや研修会社とのやり取りの窓口、社内の研修受講者への連絡、スケジュール調整、などを担当することが多いです。受講者がスムーズに研修を受講できるように必要に応じてフォローします。
5)効果を検証する
研修の導入後は、参加者のアンケートや研修報告書、ヒアリングなどを通じて、研修の効果を検証します。また、長い目で参加者のその後の成果や成長を定期的に検証する必要があります。それにはいくつかの方法があります。
例えば、一定期間経過後に、受講者の上司からヒアリングを行う、などです。受講者である部下が、どのように変化したのか、当初の研修の目的・目標は達成されたか、などを上司に聞きます。また、受講者本人にヒアリングすることも有効です。受講者本人が研修の前に立てた目標が達成されたかどうかを聞いたり、テストやサーベイを実施して客観的に測ったりします。たとえば、「タイムマネジメント」研修を受講した人であれば、どの程度労働時間が減ったのかなどを測ります。このような効果検証をふまえ、研修内容や方法を改善して継続していくことが重要です。
若手社員研修を提供する全国のソリューション企業一覧
- アーティエンス株式会社
- IDEA DEVELOPMENT株式会社
- 株式会社アイ・ラーニング
- 株式会社アクティブアンドカンパニー
- 特定非営利活動法人アサーティブジャパン
- アチーブメントHRソリューションズ株式会社
- 株式会社アビタス
- アルー株式会社
- アンドア株式会社
- 株式会社インソース
- 株式会社インバスケット研究所
- 株式会社インプレッション・ラーニング
- 株式会社ウィル・シード
- エイチアール合同会社
- 株式会社HRインスティテュート
- 株式会社エイチ・アール・ディー研究所
- H&innovation株式会社
- 株式会社エイチ・ティー
- 株式会社EdWorks
- NS人材教育株式会社
- 株式会社NTT HumanEX
- Original Point株式会社
- 株式会社俺
- ガイアモーレ株式会社
- 株式会社カケハシ スカイソリューションズ
- 株式会社キャリアチアーズ
- 株式会社共創アカデミー
- 株式会社グローセンパートナー
- 株式会社グロービス
- 株式会社経営コンサルタント協会
- 株式会社Surpass
- サイコム・ブレインズ株式会社
- 株式会社シェイク
- 株式会社シナプス
- ジャンプ株式会社
- 株式会社情熱
- 株式会社スキルベース
- 株式会社Schoo
- 株式会社ソシオテック研究所
- 株式会社タナベコンサルティング
- 株式会社チームダイナミクス
- 株式会社チェンジ
- 株式会社デルタスタジオ
- 株式会社TOASU
- 株式会社トライアンフ
- 株式会社トランストラクチャ
- 株式会社日本能率協会マネジメントセンター
- 株式会社NEWONE
- 株式会社パソナジョイナス
- 株式会社パフ
- 株式会社PDCAの学校
- 株式会社ピープルフォーカス・コンサルティング
- ビジネスコーチ株式会社
- 株式会社ビジネスパスポート
- 株式会社ヒップスターゲート
- 株式会社ヒューマンラボ
- 株式会社ビヨンド
- 株式会社ファーストキャリア
- Brew株式会社
- 株式会社プレセナ・ストラテジック・パートナーズ
- 株式会社プロレド・パートナーズ
- 株式会社ベーシック
- 株式会社ボディチューン・パートナーズ
- マーキュリッチ株式会社
- ALL DIFFERENT株式会社
- ラーニング・マスターズ株式会社
- 株式会社ライフ・ポートフォリオ
- 株式会社ライフワークス
- 株式会社リードクリエイト
- リ・カレント株式会社
- 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
- 株式会社リスキル
- 株式会社リンクアンドモチベーション
- ルジュナ合同会社
- 株式会社レアリゼ
- 株式会社ワコールキャリアサービス
人と組織の課題を解決するサービスの潮流や選定の仕方を解説。代表的なサービスの一覧も掲載しています。