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人材採用“ウラ”“オモテ” 
企業・求職者・人材紹介会社の「転職」三角関係

紹介ゼロから一転
景気回復の波に乗ったキャリア人材

景気回復期の人材募集

マネジャー、管理職を求める企業が増加

薄日が射してきたかな…という感じもある世界経済。景気が本格的に回復してくると、人材紹介業界でもそれを実感できる傾向が現れる。「マネジャー、管理職を募集する企業が増える」ことだ。特に外資系企業では、不況になると年収が高い人材から人員削減の対象になったりする。景気が回復してくると、まっさきにその空いたポジションを埋めにかかると言われている。

1年ぶりに出た求人情報

「なかなか厳しいですね。もう無理なのかな…」

数年前にITバブルが崩壊した後、やはり景気がパッとしない時期があった。その頃、Bさんはすでに1年以上も求職活動を続けていた。外資系メーカーでのマネジャー経験が豊富。当然、前職での年収も高かった。年収については大幅なダウンもやむなし…という条件で求人情報を探していたのだが、年齢的にもベテランということが影響してか、ご紹介できる求人がまったくないという状況が続いていた。

「人材紹介会社には、私くらいの年代の求人はあまりこないんでしょうかね…」

定期的に連絡をもらうたびに、厳しい状況を伝えなければならないこちらも辛い。

「景気によるんですよね。外資系企業は年齢にはあまりこだわらない企業も多いですから、もう少し景気が回復してきたら求人は必ずあると思うんですが…」

そうはいっても、Bさんにも焦りはある。時々、もどかしさからか「あまり求人もないようなので、いったん登録をはずしてもらえないですか…」と言ってくることもあった。

もちろんここで登録を止めてもメリットは何もない。情報源が一つ減るだけだ。

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「ご紹介できなくて本当に申し訳なく思っています。でも、人材紹介の場合、登録しておくこと自体に費用はかかりません。また、特別なお手間をかけることもないと思います。ですから、登録だけはそのままにしておくことをお勧めします…」

そう言うとBさんは、「そうですね、ではそうします…」といって電話を切るのだった。そんなBさんに、ぜひご紹介したいマネジャーの求人が見つかったのは、登録解除について何度目かのやりとりを交わした数週間後だった。

「この条件ならBさんもきっと受けてくれるだろうな。即戦力だし企業も喜ぶだろう…」

Bさんならほぼ無競争で採用してもらえるのではないか。そんな計算が私にはあった。

景気回復とともに求人も復活

「Bさんのご経験にぴったりの求人が見つかりました!」

電話した私の声は弾んでいたかもしれない。求人票をメールで送ると、Bさんも「いいですね、ぜひ受けてみたいです。お願いします」と言ってくれた。しかし、念願の求人が出たわりには、Bさんの声にどこか陰りがあるのが気になっていた。

Bさんは順調に書類選考を通過し、企業との面接の日を迎えた。長らくお待たせした罪滅ぼしの思いと同時に、電話した時のBさんの声の調子が気になっていたので、私はその日の面接に同行することにした。面接が終わった後、近くの喫茶店で感触を聞いてみた。

「面接の手応えはいかがでしたか?」

「問題はなかったです。仕事も以前経験したことがある内容ですし、先方の役員も話しやすい方だったので、一緒にやっていけると思いました」

Bさんはまずまずの手応えを感じていたようだ。しかし、直後に衝撃的な話が待っていた。

Photo

「大変言いにくいんですが…。今、他社にも最終面接のアポイントを入れてもらっているんです。知人経由で先日急に頂いたお話なんですが、もう1年以上もまともな求人がなかったので、飛びつく思いで面接に行ったところ、先方の社長が気に入ってくださいましてね…」

「実は、もう1社の人材紹介会社からもある企業を紹介してもらっているんです。私にもこれだけ求人が来るんですから、景気も徐々に回復しているということなんでしょうねぇ」

私には申し訳なさそうにしているが、Bさんは本音では笑いをこらえられない気分だったのかもしれない。

私は、3社を比較して決められるのは良いことですよね…と相槌を打ちながら、景気回復の波は来る時には一気に来るものなのだな…と改めて痛感したのだった。



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