新型コロナウイルス感染拡大によって働き方が大きく変化
転職したばかりの人はどうなっているのか?
新型コロナウイルスの感染拡大により、社会全体でさまざまな予定や行事が変更を余儀なくされている。その中でもいちばん大きな影響を受けているのは「新入生」や「新入社員」など、4月から新しい生活を始めた人たちだろう。ただでさえ新生活には不安が多いのに、オンライン授業やリモートワークが続くようでは、学校や会社組織になじむことが難しくなるからだ。そんな「新入社員」の中には、4月という節目に転職したキャリア組も少なくない。
「変則」が常態化する企業
「ご紹介いただいて入社したAさんの件なのですが……」
取引先企業の人事からこういった連絡があると、一瞬「何があったのだろう?」「まさか早期退職では?」といった不安が頭の中を駆けめぐる。人材紹介という仕事に携わったことがある人なら、誰でも経験があるだろう。早期退職になると、それまでのすべての努力が無駄になるだけでなく、最悪の場合は取引先や転職者との信頼関係にもヒビが入る。最も避けたい事態であることは間違いない。
とりわけ今年は新型コロナウイルスの流行によって、さまざまな「変則」が発生している。しかも4月という、人事が新入社員研修などにマンパワーを割かれ、キャリア転職組に手が回らない時期を直撃した。転職早々、在宅勤務では仕事や環境に慣れるどころではない。例年以上に「ひょっとしたら早期退職が増えるのでは?」と心配をしてしまうのだ。
幸いその日の取引先からの連絡は、紹介手数料の請求書をネット経由で送るようにしてほしいという内容だった。思わずホッとしてAさんの近況を確認した。
「ところで、Aさんも在宅勤務をしているのでしょうか」
「いえ、Aさんの所属部署はオフィスに来ないとできない業務があるので、交替で出社しています。こんな時期に通勤させるのは申し訳ないのですが、職場には慣れてきているようです」
ただ、Aさんのケースは珍しい例かもしれない。4月に入社した人の多くは2月ごろに採用が決まったと思われるが、感染症の影響がここまで大きくなるとは予想もしていなかっただろう。いざ転職して、事態の急変に戸惑っている可能性も大いにある。当然、最近転職した人材から連絡があると、いつも以上に心配になる。先日も、1件電話を受けた。