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人材採用“ウラ”“オモテ” 
企業・求職者・人材紹介会社の「転職」三角関係

転職して1年でまた転職
筆記試験は受けたくない

転職に失敗?再度の転職の際には…

分かってくれている紹介会社を利用したいという気持ち

転職して1年程度でまた転職準備…というのは、やはりインターバルが短いといわざるをえない。短期間での再転職には何かとハンディが多いものだ。しかし、それでも大きな問題があったからこそ再び転職を考えているのだともいえる。そんな問題のある会社を紹介した人材紹介会社など二度と利用したくないのが普通だと思うが、意外と再度ご利用いただく場合がある。

わずか1年で再転職することに…

「ご無沙汰していましたね。またお世話になりたいと思いまして…」

1年ぶりにお目にかかったFさんは、意外と元気そうである。

「1年前はいろいろとお世話になりました。結果としては、短期間でまた転職の準備をすることになりまして…ちょっと申し訳ないんですが」

実は、Fさんはちょうど1年前にも転職のお手伝いをさせていただいた方だ。何社か内定をもらっていたのだが、最終的には私がご紹介したK社に入社された。その時には、内定していた数社を比較検討してK社を選び、自分の希望にぴったりの仕事ができる会社だということで、非常に喜んでいただいた記憶があった。それだけに、1年しか経っていないのに、Fさんが再度転職の準備をしているというのは、意外でもあった。

「K社に入社されて、お仕事はいかがでしたでしょうか。イメージとの違いが何かありましたでしょうか」

私は一番気になることを聞いてみた。私自身が紹介してお勧めした企業である。Fさんの身に何があったのだろうか。

Fさんによると、某大手企業のグループ会社であるK社は、安定しているし規模の大きい仕事ができるというところが最大の魅力だったという。しかし、その「安定」や「大手グループ」には、実は悪い面もあったのだ。

「K社では、役員クラスは全員、親会社からの出向です。最初は、大手企業のグループだから仕方ないと思っていました。しかし、この役員の人たちは、2年くらいでどんどん入れ替わるんです。そのため、新しいことに取り組もうという話がまったくできないんですよ」

もし、新しいことに取り組んで失敗したら、本社に戻るのが遅れる…。そう考える役員たちは、全員がものすごい保守主義者になってしまうのだという。だから、Fさんが業務で使っているシステムなども、時代遅れのものが一向に刷新される気配がない。

「本当に仕事にならないですし、将来が心配になってきますよね…」

事情を分かってくれている人に頼みたい…

「そうだったんですか…。1年前には、そういう深い情報まではお伝えできなかったですね。申し訳ありませんでした…」

私が謝ると、Fさんは手を振って言った。

「まあ、それは仕方ないですよ。人材紹介会社に対してそんな内幕の話までする企業はありませんから。それをどうこう言いにきたんじゃないんです」

Fさんは、新しく書き直した履歴書と職務経歴書を取り出しながら続ける。

「それより、新しい会社をご紹介いただきたいんです。今度は在職しながら、じっくり次の会社が見つかるまで、長期戦覚悟で転職活動をしたいと思います」

1年で再度転職しなくてはならないというのは、前回の転職が、はっきりいえば失敗だったということになる。その失敗のもとをつくったのは、ある意味でK社を紹介した私である。普通なら、「もうあの人材紹介会社には頼まない」となるはずだろう。それなのにまた依頼してくれたのだがら、当然感謝しなくてはならないだろう。

「ありがとうございます。今回もなんとかお手伝いできるよう頑張ります」

Fさんの表情に笑顔が戻った。

Photo

「こちらこそよろしくお願いします。それに同じ紹介会社にお願いするのには理由もあるんですよ。まず、1年前からお願いしていますから、私の希望やこれまでの経歴はすべてご存じですよね」

「もちろんです」

「それと、1年で再転職というのは、新しい人材紹介会社なら、この人は根気がないんじゃないか…と疑うと思うんです。その点、以前からお世話になっていた紹介会社なら、今回の転職の経緯もご存じですし…より親身になってくださるのではと思いまして」

転職希望者にとっても、同じ紹介会社を利用するメリットはあるというのだった。たしかにその通りである。また、この場合、紹介会社の側にもメリットがある。取引先の意外な内幕はなかなか分からないが、それをお聞きできるということだ。

「分かりました。次回は必ず満足していただけるような情報をご提供したいと思います…」

こうしてFさんと私は新しい企業情報の検討に入ったのだった。

いろいろ理由はあるようですが…

筆記試験なんか絶対受けたくない!という人

「テスト」に良い思い出のある人などいないのではないだろうか。やっと学校を卒業して、長年苦しめられたテストともサヨナラできたと思っていたのに、思いがけないところで再会することがある。その一つが転職の際の「筆記試験」だ。しかし、「筆記試験を行います」と言われただけでどんな試験なのか想像がつく人はほとんどいない。とても不安に感じてしまう人も多いようである。

いったいどんな筆記試験でしょうか…

「すいません、一つお聞きしていいですか。この選考方法の欄に書いてある“筆記試験”というのは、どんな内容なんでしょうか」

求職者の方に求人票をご覧いただいているときに、よくある質問の一つがこれである。たしかに「筆記試験」とあるだけでは、どんなものか見当もつかないだろう。

「これは会社によって千差万別なんですよ。たしかこの会社は…」

そう、人材紹介会社でもいちいち調べないとその内容は分からないのが普通だ。一番多くの企業が採用しているのは、いわゆる「適性試験」だろう。その人の性格やタイプのようなものを判定する試験で、10分程度で終わるような簡単なものから、1時間以上かかるような大がかりなものまである。

「適性試験は準備してどうなるものでもありません。むしろ結果を操作しようという意識が働きすぎると、“自分をよく見せようとする傾向がある”などという判定が出てしまうこともありますから、無心で受験するのがベストですよ」

適性試験については、このようにアドバイスしている。たいていの方はそれで安心されるようだ。

一方、やっかいなのは国語、数学などの基礎学力を見るような能力試験、業務上の知識を問うような試験、そして英語の試験…などだろうか。新卒の学生向けに行うような、一般常識を問う試験を実施する企業は少数派のようである。

「能力試験は一般的に、専門の業者が作成した問題を使うことが多く、代表的なものがSPIでしょう。SPIはさまざまな対策本や模擬テストがあるほど有名ですが、ほかにも多くの種類の試験があり、どの試験なのかは通常公開されません。事前に準備をしても、試験そのものがSPIでなければ意味がないので、対策はそれほど必要ないと思います」

能力試験についてのアドバイスもこんなところで、決定的な対策はないのが現状だ。

試験を受けさせられること自体に不信が…

「では、実務試験や英語の試験についてはどうでしょうか…」

実務についての試験は、それぞれの企業が独自に作成するケースが多い。実際に入社してから必要になる知識を問う場合がほとんどなので、一夜づけで勉強してたまたま合格しても、本当にその知識が身についていなければ、後で困るのは本人ということになる。英語の試験も同様である。従って、基本的な点を確認しておく程度の対策で十分だということになる。

「結論としては、筆記試験だからといって身構える必要はないということなんですね…」

まさにその通りなのだが、筆記試験を受けたくないという人が時折いらっしゃる。

「この会社の筆記試験というのはSPIですか。だったら、応募は見送らせてください…」

そう言い切ったのはMさんだった。海外の大学院を卒業した非常に優秀な方で、その当時も有名な大手企業にお勤めだった。Mさんが試験を受けたくないという理由はいくつかあるらしい。

「まず、忙しいので試験を受けられる時間までに仕事が終わらないんです」

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確かにSPIテストは一式受験すると相当な時間がかかる。同じ日に面接も実施するとなると、合計でかなりの時間を要するため、試験をあまり遅い時刻に設定してもらうわけにもいかない。

「もうひとつは、キャリア採用なんですから、ちゃんとキャリアを評価して選考してほしいということですね。試験に頼って人物を判定している時点で、あまり行きたい会社じゃないなぁ…」

Mさんのような方は、多かれ少なかれご自身のキャリアにプライドを持っている。そのキャリアをきちんとレジュメ(職務経歴書)で示しているのに、さらに試験となると、正直カチンとくるのではないだろうか。

Mさんのような優秀な人物でもやはり試験は受けたくないものなのである。



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