転職活動と電話交渉やすり合わせに有効だが 増えてきた「電話に出ない人」
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「到達してあげる」のもサービスのうち
とりあえず、Tさんには電話で話ができるよう、メールで依頼することにした。仮にTさんが「説得されたくない」と思っていたとしても、チャンスを広げるためにある程度の「おせっかいを焼く」のが、人が介在するサービスである人材紹介の存在意義なのだ。
よく営業では「決定権者に到達してあげるのもサービスのうち」と言われる。受付や窓口で断られ続けても、社長や役員に会うことができたら、「こんな良い提案はもっと早く持ってきてほしかったよ」と言われることもある。それと同じことが、人材紹介のサービスでも言えるのではないか。
しかし、どうしても電話で話したいからといって、やりすぎは禁物だ。留守番電話を設定してない人に何度もコールすると、履歴に同じ番号からの着信が並ぶので、警戒させてしまうかもしれない。
その後、Tさんとなんとか電話で話すことができ、面接日を遅らせるかわりに結果は当日のうちに連絡する、ということで合意することができた。
ところで、多くの人が電話に出なくなったことで一番影響があったのは、何といっても人材と紹介会社のファースト・コンタクトである。現在、人材紹介会社への登録は、ほとんどの人がインターネットを通じて行っている。次の段階の「一度、転職相談にお越しになりませんか」という呼びかけも、メールで連絡することがほとんどだ。しかし、かつては電話で連絡するしか手段がなかったので、夜遅くまで事務所に残り、登録者の仕事が終わる頃を見計らって電話をかけることが多かった。日曜の夜は在宅率が高いので、休日出勤してまで電話をかけることもあった。
「あの時、適切なアドバイスをいただいて良い会社に入れました」
そう言ってもらえるよう、多少煙たがられても電話で親身になって転職相談を受けることは、人材会社で働く者にとって大事なことだと考えている。
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